受験生乗せたバスが貯水池へ転落、21人死亡...実態は運転手の「計画的な自殺」か。“道連れ“に広がる怒り

男は事故当日の朝、行政のコールセンターに電話し、住宅についての不満を訴えていた

中国・貴州省で7月7日、路線バスが突如道端の貯水池に転落し21人が死亡した事故で、現地の公安当局は12日、運転手が自殺のために故意にバスを転落させたと発表した

この事故では、大学の統一入学試験(高考)の受験生も犠牲になっていて、現地では怒りが広がっている。

貴州省安順市の事故現場(7月7日)
貴州省安順市の事故現場(7月7日)
China Daily CDIC / Reuters

■転落の瞬間映像に

事故が起きたのは7月7日の正午過ぎ。貴州省安順市で、路線バスが突如、左折して車線を乗り越えると、急加速してそのまま道路を横断し貯水池に突っ込んだ。

警察や消防が救助活動にあたり、37人を引き上げたが、そのうち21人が死亡した。運転していた男(52)も死亡した。

この様子を捉えた監視カメラの映像がネットで拡散されていた。さらに、バスには中国の大学の統一入学試験を受ける学生も乗っていたことから、中国では原因などに注目が集まっていた。

■酒を詰め替え...

現地の公安当局は12日、事故について調査結果を公表し、運転手の自殺だったと結論づけた。バスに故障はなかったという。

発表によると、運転していた男は2016年に離婚。それ以来、自身の不幸を嘆くようになり、今年に入ってから住んでいた公営住宅の取り壊しも決まったという。

男は事故当日の朝、行政のコールセンターに電話し、住宅についての不満を訴えていた。

自殺は計画的だった。男はバスを運転する前、アルコール度数の高いことで知られる「白酒」を購入し、他の飲料の容器に詰め替えていた。そして、事故発生の3分前に酒をあおると、そのまま貯水池に突っ込んだという。

受験生を含む20人を道連れにした形の事故に、中国では怒りと悲しみが広がっている。現地メディアが調査結果を伝えると、「なぜ罪のない人が巻き込まれてしまったのか」などといった投稿が相次いだ。

また、「運転手個人の問題ではない。一般の労働者がなぜこうなってしまったのか、社会を良くしないと、悲劇の再現もあり得るはずだ」と問題提起する声もあった。

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