『風と共に去りぬ』のオリビア・デ・ハビランドさん、104歳で死去。俳優の権利向上のため奔走したその人生

その功績は、銀幕の中にとどまらなかった。彼女がハリウッドにもたらしたもの。

かつて大ヒットを記録した1939年に公開した映画『風と共に去りぬ』のメラニー役などで知られる俳優のオリビア・デ・ハビランドさんが7月26日、104歳で亡くなった。

ハリウッドの黄金時代を支えた名優であり、存命だった中では最も古くオスカー像を獲得した俳優としても映画界にその名を馳せた。

亡くなった俳優のオリビア・デ・ハビランドさん (Photo by Hulton Archive/Getty Images)
亡くなった俳優のオリビア・デ・ハビランドさん (Photo by Hulton Archive/Getty Images)
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オリビア・デ・ハビランドさんは1916年、東京で生まれた。当時、東京に住んでいたイギリス人の両親のもとに生まれ、のちにアメリカのカリフォルニア州に移り住んだ。

キャリアの初めは舞台が中心だったが、1935年公開の『真夏の夜の夢』でスクリーンデビューを果たし、1939年に公開された映画『風と共に去りぬ』で、主人公スカーレット・オハラに寄り添う女性のメラニー・ハミルトン役を演じ、アカデミー賞の「助演女優賞」にノミネートされた。

この時はオスカー像獲得はならなかったが、その後は1946年公開の『遙かなる我が子』と1949年公開の『女相続人』でアカデミー賞の「主演女優賞」を立て続けに2度受賞し、世界的名優の地位を築きあげた。

一方、その功績は銀幕の中にとどまらなかった。

大手映画会社ワーナー・ブラザーズを相手に訴訟を起こし、1944年に勝訴。“デ・ハビランド法”として知られるようになった法的な勝利によって、それまでは不平等に制限されていた俳優の権利向上に大きく貢献した。

ハビランドさんは2008年にアメリカの「国民芸術勲章」、2010年にはフランスの「レジオン・ドヌール勲章」を受賞した

ハビランドさんは、ハリウッドを中心とした映画界における男女の扱いの差について「男性は良いアイデアを持っている女性に脅威や不信感を感じていた。ディレクターやプロデューサーに対して、かなりの配慮をしなければならなかったのです」などと過去に語っている

1965年、ハビランドさんは世界三大映画祭の一つであるカンヌ映画祭の審査員を務めた初の女性となり、映画界に関わる女性の権利向上という意味でも、映画産業全体に大きな影響を及ぼしてきた。

彼女が出演している映画『風と共に去りぬ』は、描写が「人種差別的だ」などと批判を受け、配信元のHBOが6月10日に「民族的、人種的な偏見が描かれており、説明や批判を明記せずに配信するのは、無責任だと感じる」として配信の一次停止を発表していた。

しかしその後、約4分半の説明動画が追加され配信が再開された。

私たちは色褪せない彼女の姿を、作品の中でまた観ることができる。

映画『風と共に去りぬ』のワンシーン。写真中央が 俳優のオリビア・デ・ハビランドさん(Photo by Mondadori via Getty Images)
映画『風と共に去りぬ』のワンシーン。写真中央が 俳優のオリビア・デ・ハビランドさん(Photo by Mondadori via Getty Images)
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