周庭さん、香港警察から保釈される。「逮捕、いったいどういう理由で」

香港警察に逮捕された民主活動家の周庭さんが8月11日深夜、保釈された。拘束中、頭の中にずっと浮かんでいたのは、欅坂46の「不協和音」の歌詞だったという。
保釈後、メディアの取材に応じる周庭さん
保釈後、メディアの取材に応じる周庭さん
Billy H.C. Kwok via Getty Images

「香港国家安全維持法」(国安法)違反の疑いで逮捕された香港の民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)さんが8月11日深夜、保釈された。毎日新聞など複数のメディアが報じた。周さんは保釈後、報道陣などの前で「引き続き香港人の一人として香港の民主化運動、民主主義、そして自分のために闘っていきたいと思います」と誓った。

香港の民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)さんは、保釈後に報道陣からの質問に応じる周さんを撮影した動画を自身のTwitterで公開した

周さんは「昨日の逮捕は突然のことなので、私は昨日までは心の準備ができていないままで逮捕されました。香港の民主化運動に参加して8年目になり、今まで4回逮捕されましたけれども、正直今回は一番怖かった。一番きつかったです」と心境を明かした。

周さんの逮捕後、日本のTwitter上では「#FreeAgnes」「#周庭氏の逮捕に抗議する」といったワードが拡散し、トレンド入りするなど周さんを支持する声が高まった

こうした動きに対し、周さんは「拘束されている24時間の間で、香港市民、日本や世界の皆さんからも応援いただいた。日本人のみなさんが私のためにハッシュタグを作ったという事を弁護士から聞きました。本当にありがとうございました」と感謝を述べた。

■法律を「政治的な弾圧に利用」

逮捕の理由には疑問を隠さなかった。

「今回(の逮捕は)SNSで国際社会との連携(を呼びかけた)という容疑なんですけれども、正直理由とか証拠を把握していない。今回の逮捕について、いったいどういう理由で、私はどういう形で国家安全法に違反したのか、過去24時間全然聞いていないので、まだわかっていないことがたくさんあります。だから国家安全法はまさに政治的な弾圧をするために利用したものじゃないかなと思います」

「もともと法律は市民の権利を守るもの。今、香港政府にとって法律は市民の権利を侵害するものになってしまってとても残念だと思っています」

6月30日に、中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会で国安法が可決。香港の民主派団体「デモシスト(香港衆志)」からは、黄之鋒さんや周庭さんら中心メンバーが相次いで離脱を表明し、団体は解散を宣言していた

■民主化のために闘う

今後の活動について、周さんは「6月30日に声明を出しましたけれども、国際社会との連携にこれからは参加できないけれども、引き続き香港人の一人として香港の民主化運動、香港の民主主義、そして自分のために闘っていきたいと思います」と決意を述べた。

「今回の逮捕は本当に怖かった。今回の罪も今まで逮捕された4回の中で一番罪が重かった。拘束されているときに、ずっと(欅坂46の)不協和音という日本語の歌の歌詞が頭の中に浮かんでいました。これからも香港人の一人として頑張っていきたいと思います」

■「不協和音」とは?

周さんが逮捕されてから「頭の中に浮かんでいた」と言及した欅坂46の「不協和音」。グループ4枚目のシングルとして、2017年4月にリリースされた。既成概念や調和を強いられることなどに抵抗する意志を訴える歌詞で、秋元康氏が作詞した。センターを務めていた平手友梨奈さんの「僕は嫌だ!」という叫びや、難度の高いダンスなどで知られる。

【訂正】2020/8/12 14:00

記事のタイトルで「釈放」としていましたが、正しくは「保釈」でした。

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