生理用ナプキンのCM、海外ではこう変わりつつある「痛みで叫ぶ姿を見せてもいい」とディレクター

インドの広告ディレクターの女性は「運動をしたり、会議に出たりする強い女性である必要はありません」と話している。

日本で放送されている大手メーカーによる生理用ナプキンのCMといえば、商品の機能性や使い心地に焦点を当てたものが多い。

吸収力の実験結果を示すにも、青色などの液体を使用する場合がほとんどだ。CMには、20代の女性の俳優やタレント、モデルなどが起用されるケースが多い。

一方、海外の生理用ナプキンでは、赤い液体を使用し、生理をリアルに表現するようなCMも存在する。インド、イギリス、韓国の近年発表された動画を調べてみた。

インド:「強い女性である必要はありません」

インドの日用品メーカーNobel Hygieneが販売する生理用ナプキン「RIO」のCMでは、血液を直接的に表現する赤色の液体を使用。

赤いバルーンから、液体が滴り、時に多くの量がどっと出てきたり、蛇口をひねったように流れたり…。女性が立っているのは薄暗い場所で、その表情やBGMからは、重々しい雰囲気が伝わってくる。

現地メディアThe Times of Indiaによると、RIOの広告は女性が脚本、監督、撮影したもので、女性が共有する実話に基づいている。

広告ディレクターの女性は 「少女が横になって痛みで叫んでいる姿を見せてもいい時がようやくきたのだと、私たちは認識していました。運動をしたり、会議に出たりする強い女性である必要はありません」と話している。

さらに、「女性の子宮は試験管ではなく、青色の出血でもありません。 血液を標準にすることが重要なのです」と、赤い液体を使った理由についても明かしている。

CMに起用されたのは、ボリウッドで活躍するラーディカー・アープテーさん。アープテーさんは、インドで安価で安全な生理用品の開発を成し遂げた男性の実話をもとにし、ヒットした映画『パッドマン』などにも出演している。

イギリス:「生理のタブー視」に疑問

生理の血を赤く描いたナプキンのキャンペーン動画は、2017年にイギリスの生理用品メーカーBodyformが公開し、多くの反響があった。

同社は「生理のタブー視」をなくすことを目的に、「ブラッド・ノーマル(#bloodnormal)」キャンペーンを実施。

動画の説明には「女性は青い液体を流さず、赤い血を流す。生理は自然なこと」とつづられており、動画には生理用ナプキンに赤い血が染み込んでいく様子や、男性が生理用品を購入するシーンなどが映っている。

同社は、女性の身体や生理などをテーマに、これまでも革新的な動画を発表している。

2020年7月には、「子宮の物語(#wombstories)」と題したキャンペーンを始め、生理や妊娠、出産、不妊治療などを経験する女性の姿を描いた。

女性の身体は多様であるとし、「お互いを知るため、助けるため、見るために、私たちの#wombstoriesを共有する必要がある」と訴えた。

韓国:「何もしたくない、それが生理だ」

韓国では、生理用ナプキンブランド「natracare(ナトラケア)」のCMが2018年11月に公開された。

日本でも、2020年7月にTwitterのユーザーが日本語訳をつけて投稿した動画が拡散。16万以上(8月25日時点)のいいねがつき、多くの共感の声があがるなど、話題になった。

動画では、「その日」という言葉を繰り返し使用。朝は服選びに困り、眠りにつく前に経血漏れが不安になり、仕事にも集中できないといった女性たちの憂鬱そうな様子を捉える。

そして、これらの様子が映しだされたPCを勢いよく閉じた女性が、「その日?その日って一体なんなの」とうんざりした表情で語り、そこから一転。

前半に登場した女性たちが「痛くてイライラする」「不安だ」「絶対に爽快じゃない」「何もしたくない」「それが生理だ」などと、率直な言葉で、生理を語る。

動画は「何もしなくても大丈夫。それもまたあなたの選択」というフレーズで締め括り、女性の苦痛や精神的な落ち込み、ストレスなどに寄り添う内容になっている。

日本でも「『何もしない』という選択肢が描かれるのが素晴らしい」「日本のCMの女性はいつもキラキラしていて、全然共感できなかった。でもこれは共感できる」「生理でも別に頑張らなくていいんだと初めて背中を押された気がした」など、称賛の声があがった。

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