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2020年08月31日 17時14分 JST | 更新 2020年08月31日 17時14分 JST

新型コロナによる、女性のキャリアへの影響を考える。世界のデータと実体験から

COVID-19は女性のキャリア、ジェンダーレスのキャリア形成にどのような影響を及ぼすのだろうか。この先、世界で企業と経済の課題になるのではないかと思っている「コロナと女性のキャリア形成」をテーマにまとめてみた。

Kohei Hara via Getty Images
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今年の春から世界各地、日本でも影響を及ぼしているCOVID-19(新型コロナウィルス感染症)。日本では4月の緊急事態宣言による休校、保育園の閉鎖により働くママが在宅勤務と育児の両立に悩まされたのは記憶に新しい。

COVID-19は女性のキャリア、ジェンダーレスのキャリア形成にどのような影響を及ぼすのか、は私の最近の関心事だ。これはここから半年、1年、2年と世界で企業と経済の課題になるのではないかと思っている。ゆえに、コロナと女性のキャリア形成をテーマにまとめてみたい。

私がまとめようと思い至った背景は2つある。ひとつめは私が当事者として実体験を持って話せるということ。ふたつめは世界ではデータとしてCOVID-19によるジェンダーギャップつまり女性の仕事と就労とキャリアへの影響が明確に出ていること。

ひとつめについて。私には3歳と6歳の子どもがいる。私が住む米国のオレゴン州ポートランドは、忘れもしない3月16日から一斉休校となった。その後、年度内はすべて休校になることが決まり、夏休みにそのまま突入し8月末まで半年間、6歳の息子は自宅でオンライン学習になった。そして3歳児は、エッセンシャルワーカーの緊急性が高い保育に限って保育園は受け入れているし、いまだ感染が多い現状で自宅保育を自主的に選ぶ家庭も多く、我が家も自宅保育をしている。この状況において、平日の朝から夕方は私は家事と育児をしている(夫の会社の粋な計らいがあり水曜だけは仕事をさせてもらっている、詳細はこちらに書いた)。私は幸いにも日本とのリモートワークをしている。そのため時差があることがこれ幸いと、夜の子供が寝た後にMTGはできている。が、明らかに、私の仕事の仕方と時間は変わった。

ふたつめの明確なデータについて。IMF(国際通貨基金)からCOVID-19におけるジェンダーギャップに関して明確な数値データが公開されている。

-米国では女性の失業率が男性より2%高い
-女性はコミュニケーションを主とした対面で働くことが多いため、米国でも54%がリモートワークができない。ブラジルは67%、低所得者層は12%。
-カナダの就職レポートでは5月の再雇用の戻りが男性は2.4%に対して1.1%(ブログ内ではその理由は介護・家事・育児と書かれている)。
-同じレポートで6歳未満の子どもがいる家庭は男性の復職可能性は女性の3倍。

この発表を受けて共同通信は、記事内

国際通貨基金(IMF)は21日、コロナによるジェンダー格差に関して「この30年間の努力を消してしまうほどに女性の経済的な機会が損なわれる恐れがある」と警鐘を鳴らした。

と記載しているぐらいだ。これは7月の話だ。

 

秋から欧米は新学期。そこで学校が開くかが重要だった。

海外は、9月から新学期が始まる。私も含め、ママたちは新学期には…という思いが少なくはなかったはずだ。が、9月からの新学期、私の住むポートランドは引き続きオンライン学習(自宅学習)が決定した。少なくとも米国では、カリフォルニアをはじめ、そういう地域は少なくはない(確認したところ、幸いにもヨーロッパは対面授業を再開している地域が多い)。

小学校から新学期もオンライン学習とのお知らせが届いた日、次男の通う予定の保育園からも9月から受け入れは難しい(決まっていたのに!枠確保のフィーも払ったのに!)、1月以降、あるいは来秋のウェイトリストに優先的に入れると連絡があった。一瞬私は凍った。

私だけじゃなく、街中の働いているママたちに戦慄が走った日だったと思う。いや。きっとみんな薄々は予感はしていたのだ。でも、実際に通告され現実になると、その衝撃は大きい。ひゃーっ!!!となった。

いま、ママたちは、必死で9月からのプランを練っている。もちろん自分たちのためだけではない。子どもたちにとっても社会的な子ども同士のコミュニケーションの場を週に1〜2時間でもいいから、つくってあげたい。でも公衆衛生とソーシャルディスタンスの課題はクリアしておきたい、といった難しいお題に対して、それぞれ初めての事態に各家庭が悩みながら対応に動いている現状だ(我が家もまだ途中で詳しく書けないのだけど…)。

私個人は、休校と外出自粛が続いた5月ぐらいに、もうこれは8時間子どもを預けて働く暮らしは戻ってこないだろうな、と腹を括ってはいたものの、とはいえ秋になれば少なくとも週に1〜2日は仕事時間がとれるだろう、という甘えがどこかにあった。が、それもなくなった瞬間、「まとまった仕事の時間がとれるようになったら」という考え方を捨てざるを得なくなった。自分ひとりで集中して4時間以上没頭できる時間を日中に得ることは当分不可能に等しい。待っていても訪れないとわかれば、この状況下でやるしかないわけで、その手法を考えよう。逆にやりたいことは待たずに今すぐやろう、と方針を転換した。

が、これは私がフリーランスというか自営というか、そういう形でのキャリアを進めているからの話だ。雇用関係のある会社で仕事をしていたとしたら…。それは、会社、あるいはそれを支える行政の仕組みと協力なしには不可能だ。だからこそ、このnoteを書こうと思った。日本でも各地で、突然の休校が訪れたりすることもあるようだから。

 

世界で働く女性が立たされている実情

実際に世界はどういう状況なのか(女性が活躍しつつあった国において。私が米国にいるので米国中心ではることは悪しからず)を調べてみた。いくつかダイジェストで、ポイントだけ簡易の訳をつけて紹介する。

 

サイエンス領域における女性研究者への影響

まず冒頭の深夜に寝かしつけた後、朝4時まで仕事をするママの話。これが現実だ。

-パンデミックの中心だった3〜4月の論文の筆頭者に女性がある確率は前年良り19%減った
-休校中に子供をみる責任が「私のみ」と答えた女性は30%に対して、男性は10%に止まる
-Nature Human Behaviorによるとパンデミック後、研究に費やす時間は男性より女性の方が5%少なくなった

この記事内の印象に残った、インタビューを受けた女性の言葉を紹介しておく。

“You have to be excellent to continue moving [forward] in the field,” she says. “But how do you maintain excellence while you’re also trying to balance life?”

キャリアを広げ続けるためには優秀でいなければならない。でも、家事や育児(life)とバランスを取ろうとした時、どうやってその優秀さを保つことができるのだろう。

本音の葛藤だ。この記事では、そういう子育て中の女性でなく別の人に仕事を渡す方法は楽だけど、週に40時間を必要としない勤務スケジュールで女性が科学者と母親の両方でいることを可能にすることの必要性も示唆している。

この記事では他にも、データが公開されているのでぜひ参照してほしい。

 

Wall Street Journal「Women’s Careers Could Take Long-Term Hit From Coronavirus Pandemic」

こちらは有料記事なので詳細は割愛するがMovieの中から紹介すると、ジェンダー格差、意識の格差を狭めてきた国でもShelter in placeや休校によってキャリアの後退を余儀なくされているのは女性に多いと示されている。パンデミック下において、男性の無職率13.5に対して女性は16.2%に登ったと。

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COVID−19による影響や、ここに開示されている情報の男女という法律的な性の元でのデータ比較がすべて正しいとは私は思っていない。

でも、ここにCOVID-19による女性のキャリアや仕事への影響の片鱗は見えるような気がしている。少なくとも、これから半年、1年で、時代にセンシティブな企業や政府は、ここに対峙した施策や方針を提示しようと準備をしていると思うのだ。COVID-19以前とは働き方、仕事の概念、給与の仕組みが変わるようなプランを。

現状として上に紹介したIMFのブログ内で紹介されていた事例をあげておく。

-オーストリア、イタリア、ポルトガル、スロベニアにて。一定の年齢未満の子供を持つ親に対しての有休の導入。フランスは、学校の閉鎖において保育の手配ができない場合、病気休暇を適用。

-ラテンアメリカの女性リーダーが「Coalition of Action for the Economic Empowerment of Women」を設立。パンデミックのあとの経済回復にむけた女性の参加を拡大するための政府施策として。

私は女性という性を持っている。だからこの状況下において、女性も働きやすい場所をつくりたいと思う。日本の社会や企業も、この現状を真摯に捉え、新しい働き方、暮らしと共にあることができる働き方が可能なルールや、会社のあり方に向かってかわっていくきっかけとできたらいいのにと、願っているところもある。

とはいえ、まずは自分から。おそらく年内(延べ10ヶ月)家庭保育&家庭学習を共にし母親として生きながらも、私個人のキャリアや生き方、やりたいことも同時に実現していくことを模索していこうと思う。

もしかしたら社会人になってから一番のチャレンジかもしれない。でも、暮らすことと仕事をすること、をパッキリと分断して過ごす日々はもう終わったのかな、とそう思う。リビングの中、子どもとの空間の中に仕事があり、仕事の中に子どもや家族の顔がある。それが、これからの日常だ。

あと数日で9月。そして、オンラインの新学期が始まる。

(2020年08月28日の松原佳代さんnote掲載記事「コロナによる、女性のキャリアへの影響を考える。世界のデータと実体験から。 」より転載)