大坂なおみ選手、射殺された黒人女性の名前がプリントされたマスクで入場 全米オープンでも差別に抗議

全米オープンでもBlack Lives Matterへの連帯を示しました。大坂なおみ選手によると、7枚のマスクを用意しているそう。
大坂なおみ選手。「ブレオナ・テイラー」と書かれたマスクをつけて入場した。
大坂なおみ選手。「ブレオナ・テイラー」と書かれたマスクをつけて入場した。
EPA=時事

テニスの4大大会、全米オープンが8月31日に開幕し、日本の大坂なおみ選手と土居美咲選手が1回戦で対戦した。試合はフルセットの接戦で、大坂選手が勝利。大坂選手は入場時、警察官に銃撃された黒人女性の名前がプリントされたマスクを着用し、アメリカで広がっている抗議デモ「Black Lives Matter」への連帯を示した。

大坂選手のマスクにプリントされたのは、2020年3月に警察官に射殺された黒人女性ブレオナ・テイラーさんの名前だ。

<入場時の動画>

警察官に撃たれ死亡 「ブレオナ・テイラー事件」とは

事件はケンタッキー州ルイビルで起きた。CNNなど米メディアによると、私服警察官3人が麻薬捜査の一環でノックをせずテイラーさん宅に入り、一緒にいた交際相手が侵入者だと思って発砲。警察官が就寝中のテイラーさんを繰り返し撃ち、テイラーさんは死亡した。

捜査の対象はテイラーさんではなく別の容疑者で、NBCニュースによると、テイラーさんの住所は薬物の受け取り先になっているとして令状に記載されていたという。テイラーさんのアパートから麻薬は見つからなかった、と報じられている。

警察官は20発以上発砲し、そのうちの8発がテイラーさんに当たったという。発砲に関わった警察官3人のうち1人が免職処分となった。

ルイビル市警はテイラーさん宅に入る前にノックをして身分を明かしたと主張しているが、この事件をきっかけに、ノックをせず予告なしに家宅捜査をすることを禁じる法律が成立した

警察官による黒人への暴力に反対する「Black Lives Matter」運動が広がるアメリカでは、この事件に抗議する声が上がっている。

ルイビルでは、テイラーさんの射殺に関わった警察官の訴追を求める屋外広告が提示された。
ルイビルでは、テイラーさんの射殺に関わった警察官の訴追を求める屋外広告が提示された。
Jon Cherry via Getty Images

大坂なおみ選手がBLMに連帯「7枚のマスクでは足りない」

SNSなどを通してBlack Lives Matter運動への参加を呼びかける大坂選手。

8月下旬のウエスタン・アンド・サザン・オープンでは、黒人差別に抗議するため準決勝の棄権を表明していた。大会側が大坂選手の抗議を支持し、全試合の延期を決定したことで、大坂選手は試合に出場。

準決勝の試合会場に入る際には、「Black Lives Matter」とプリントされたTシャツを着用した。

拳をつきあげたイラストと、「BLACK LIVES MATTER」の文字がプリントされている。
拳をつきあげたイラストと、「BLACK LIVES MATTER」の文字がプリントされている。
Matthew Stockman via Getty Images

全米オープンでも、ブレオナ・テイラーさんの名前がプリントされたマスクを着用することで、Black Lives Matter運動への連帯を再度示したかたちだ。

大坂選手によると、この大会では別の名前がプリントされたマスクを7枚用意しているという。

インタビュー動画では、「7枚用意していますが、悲しいのは、7枚のマスクでは犠牲者の名前を出すには足りないということ」とし、「ファイナルまで行って、すべてのマスクを見せたい」と意気込みを語った。

土居美咲選手と対戦した大坂選手。
土居美咲選手と対戦した大坂選手。
Matthew Stockman via Getty Images
土居美咲選手
土居美咲選手
Matthew Stockman via Getty Images

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