日系アメリカ人強制収容を「軽視」。米司法長官のコロナ外出禁止めぐる発言に広がる批判

第2次世界大戦下に起きた日系アメリカ人強制収容を軽視しているとして、批判の声が上がっている。

「コロナによる外出禁止令は、奴隷制を除いて、アメリカ史上において市民の自由への最大の侵害だ」

アメリカのウィリアム・バー司法長官の発言が物議を醸している。ネット上では、ロックダウンと奴隷制と比べたことや、第2次世界大戦下に起きた日系アメリカ人の強制収容を軽視しているとして、批判の声が上がっている。

発端はバー司法長官の発言。

9月16日にバージニア州で開かれたイベントで、次のように語った。

「国中をロックダウンして、外出禁止令を出すことは、自宅軟禁するようなものだ。奴隷制、異なる種類の拘束だが、これを除いて、アメリカ史上において、市民の自由への最大の侵害だ」

コロナ禍のロックダウンや外出禁止令と、奴隷制を比較したことに対して、不適切だと批判の声が上がった。

さらに、「奴隷制を除いて、自由への最大の侵害」と発言した点が、第2次世界大戦下に12万人以上の日系アメリカ人が政府によって強制収容所に送られたことを軽視しているとして、さらなる批判を呼んだ。

元連邦検事のレナト・マリオッティ氏は、バー長官の発言を紹介するツイートを引用しながら「私たちは紛れもなく日系アメリカ人を収容所に強制的に送った」と指摘した。

Twitter上では、日系アメリカ人の強制収容に触れるツイートが相次ぎ、「日系アメリカ人は(バー長官に)反論するはずだ」といった批判の声が上がっている。

日系アメリカ人強制収容とは?

全米日系人博物館のサイトによると、真珠湾攻撃から2カ月余りたった1942年2月、当時のフランクリン・ルーズベルト大統領が、日系アメリカ人が国家の脅威になるとして、陸軍省に強制立ち退きを命じる権限を与えたという。

これにより、アメリカ西岸やハワイに住む日系アメリカ人が強制立ち退きを命じられ、強制収容所に送られた。その数は12万人以上に上ると言われている。

CNNによると、強制収容所に送られた人たちの大部分が、アメリカ市民権を持っていたという。アメリカ史上、最大規模の強制立ち退きと言われている。

そこからおよそ80年。

強制立ち退きにかかわったカリフォルニア州が2020年2月、日系アメリカ人に対して公式に謝罪した。

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