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2020年09月28日 16時43分 JST

「一つの中国原則を支持」VTuber所属事務所の声明、日中で批判が寄せられる。台湾めぐる「踏み絵」は過去にも...

運営会社が中国向けに「一つの中国原則を支持」などとする声明を出したことで、今度は日本のファンから抗議の声が上がる事態となっている。

バーチャル世界で3Dアバターとなって活動する「VTuber」が、生放送中に不適切な言動をしたとして、運営元会社は当該タレントについて一定期間、活動を自粛させると発表した。

問題となった放送は、タレントが「動画の視聴者が多い国」を発表するというもので、このなかで台湾を取り上げたことから「台湾は中国の一部」と主張する中国大陸のユーザーから批判が相次いでいた。これを受け、運営会社が中国向けに「一つの中国原則を支持」などとする声明を出したことで、今度は日本のファンから抗議の声が上がる事態となっている。

カバー株式会社の公式サイトより
運営会社の声明文

■日中違った声明が話題に

VTuber事務所「ホロライブ」を運営する「カバー」は9月27日、所属するVTuberタレント2名の生放送で、機密情報であるYouTubeの統計情報を開示したことや、一部で不適切な発言があったと謝罪。2名については3週間の活動自粛とした。

問題となった放送は、タレントが、YouTubeのアナリティクス(分析)画面を映しながら、自身の動画の視聴者が国を発表するというもの。このなかでランクインしていた「台湾」を読み上げた。

この内容に中国大陸の視聴者とみられる人たちから批判の声が上がった。中国政府は、台湾は中国の一部であるとする「一つの中国」原則を掲げていて、「台湾はすでに独立国家だ」とする蔡英文・台湾総統との違いは鮮明。台湾に関する話題は、中国のネット空間では極めてデリケートな存在といえる。

運営元会社は、日本語の声明では「公にしていない情報の開示やナショナリズムの配慮に欠けた言動」があったとして謝罪する一方、動画サイト「bilibili(ビリビリ)」では中国向けの声明を出し「中国の領土と主権の完全性を常に尊重し、日中共同声明と日中平和友好条約を尊重し、一つの中国原則を支持します」と中国ユーザーに配慮した内容になっている。

ビリビリ動画より
中国向けの声明。「弊社所属タレントの生放送において誤った内容が流れた件に対する声明」

「bilibili」ではこの会社に所属する多くのタレントが動画をアップしている。

日本向けと中国向けの声明の違いが、新たな批判を呼ぶ形となった。日本ではTwitterで中国向けの内容が拡散したほか、中国のネット空間でも「Twitterに同じ内容を書いて欲しい」などのコメントが多く寄せられている。

■半沢でもあった?トラブル

台湾をめぐるトラブルは過去にも起きている。人気VTuberの「キズナアイ」は2019年、中国語で活動するチャンネルで、台湾を「中国台湾」などと呼び批判が寄せられた。「中国台湾」は大陸の主張を反映した呼び方で、日本や台湾のネットユーザーから疑問視された。

また、大人気ドラマ「半沢直樹」では一部で台湾政府が「国旗」とする「青天白日満地紅旗」が映り込み、大陸で批判の声が上がった。再放送ではこの旗が他の国の国旗と一緒に消されたが、理由についてTBSは回答を避けた

今回の騒動は、日本のコンテンツが中国大陸や台湾で広まった時に、こうした認識をめぐる問題が意図せず「踏み絵」として出現する可能性があることを改めて示した格好だ。

ハフポスト日本版では、日中それぞれに異なった声明を出した理由などについて運営元会社に質問している。返答があった場合、追記する。