私の壁見えてますか
2020年10月12日 16時07分 JST | 更新 2020年10月16日 12時05分 JST

日常で起きる性暴力に対してできること。あなたは『行動する傍観者』になれますか?(動画)

「私たちみんなが一歩を踏み出せば、性暴力を許さない社会を作ることができます。あなたにできることは何ですか?」こう呼びかける動画を制作した、性教育YouTuberのシオリーヌさんに話を聞いた。

すれ違いざまに胸を触られる女性、ナンパを迷惑そうにしている女性…。目の前で、性暴力やそれに近い行為が行われているのを見かけたら、あなたはどう行動しますか?

『#ActiveBystander=行動する傍観者』になろうと呼びかける動画が、10月11日の国際ガールズデーに合わせて公開された。

「私たちみんなが一歩を踏み出せば、性暴力を許さない社会を作ることができます。あなたにできることは何ですか?」

こう訴える動画はどうできたのか?

動画を監督した性教育YouTuberのシオリーヌさんに話を聞いた。

「なんなら私が脚本を書いてやる、ギャラは千円でいい」

「きっかけは作家で友人のアルテイシアさんのコラムでした」

エッセイストのアルテイシアさんは8月に公開したコラムの中で、セクハラの加害者でも被害者でもなく傍観者に対して行動を呼びかけるカナダ・オンタリオ州政府のセクハラ啓発防止動画を紹介し、こうつづった。

(カナダの動画の)最後に流れる字幕には「何もしないなら、彼(加害者)を助けたことになる。でも、何かしたら、彼女(被害者)を助けられる。あなたは誰を助ける?」という言葉が流れます』

 

日本の鉄道会社や警察はこういうのを作らんかい。なんなら私が脚本を書いてやる、ギャラは千円でいい。

コラムを読んだシオリーヌさんは、すぐにアルテイシアさんに連絡をとったという。

「日本の啓発動画って、被害者に自衛を求めるものが多いんです。夜道を歩く時はイヤホンを外そう、とか。でも、被害者が頑張るだけでなく、周囲の人がアクションを起こしてくれる機会が増えたら、性暴力そのものをしにくい社会になるのではないかと思いました」

「冗談だったと思うのですが、『私が脚本を書いてやる、ギャラは千円でいい』と言ってくれたので、連絡して、脚本を書いてもらって(笑)。『ギャラはいらない』と言ってくれたけれど、1000円お支払いしました」

 

性暴力の現場から目を逸らしてしまうのは、誰? 

動画の主人公は男性だ。エスカレーターでスカートの中を盗撮する男性を目撃するが、「自分には関係ない」と目をそらしてしまう。

その後、カメラが主人公の男性の目線に切り替わる。女性がわざと男性にぶつかられて転んでしまう様子やバーで席を立った女性のドリンクに連れの男性がこっそり錠剤を入れる様子を目にするが、いずれも視線をそらしてしまう。

性暴力の現場を見ないフリをして通り過ぎてしまう主人公は、私たち自身と重なる。

「その逸らした視線が 性暴力をしやすい社会を作っています」

動画の中盤、こんなメッセージが投げかけられる。

【性教育YouTuber】シオリーヌ公式YouTube
動画「#ActiveBystander=行動する傍観者」より

シオリーヌさんも、すれ違いざまに自転車の男性に胸を触られる被害に遭う女性役で出演している。

「すれ違いざまに触られたりぶつかられたりって、女性にとってはよくあるじゃないですか?でも、男の人は知らないんですね。女性にとって、性暴力は日常の中にこんなにも存在するということを知らない人が多いのだと、知りました」

胸を触る加害者役は夫にお願いした。撮影時、夫や協力してくれた男性陣からは「本当にこんなことあるの?」「どんなシーンなの?」と驚く声が上がったという。

 

無関心をやめて、できることから始めよう

動画は後半、主人公の男性が一つ一つの場面をやり直す。

転んだ女性には「大丈夫ですか?」

ナンパに困っている女性には、知り合いのフリをして「久しぶり!」

胸を触られた女性には「見てました。警察に行きますか?」

バーでは、店員に目撃したことを耳打ちで伝えるーー。

 

「加害者と直接対決をしなくても、できることはあります。加害者を直接止めることができなくても、通報する勇気がなくても、できることから始めてほしい」

シオリーヌさんは、こう訴える。

動画は最後に「あなたにできることは、何ですか?」と質問を投げかける。

「被害者は、加害者によって傷つくだけでなく、周囲の無関心にも傷つきます。手を差し伸べてくれる人がいると信じられれば、SOSを出してみようと思える被害者もいると思う」

「動画を見て、『こんなことがあるのか』と知って、『これくらいなら自分もできるかもしれない』と小さな一歩を踏み出してくれたらいいなと思います」