WOMAN
2020年10月27日 17時11分 JST | 更新 2020年10月27日 17時19分 JST

緊急避妊薬(アフターピル)「薬局でも入手可能に」。10万筆の署名と要望書を国に提出

プロジェクトのメンバーらは、「女性が自分の体のことを自分で決められることはとても大切なこと。薬局での販売によって救われる人たちがいる」と訴えている

染矢さん提供
記者会見をする共同代表の染矢明日香さん(左)と遠見才希子さん

緊急避妊薬(アフターピル)のアクセス改善を求める市民プロジェクトのメンバーたちが10月27日、10万筆を超える署名と要望書を国に提出した。プロジェクトの代表らは提出後に記者会見を開き、「女性が自分の体のことを自分で決められるのはとても大切で、誰もが当事者になり得る」などと述べ、アフターピルの薬局での販売を早期に実現するよう訴えた。

 

処方が必須、高い価格もハードルに

緊急避妊薬は、妊娠する可能性のある性行為から72時間以内に服用することで、高い確率で妊娠を防ぐことができる薬。性交後、早く飲むほど妊娠を避ける効果が高い。日本は、緊急避妊薬を入手するには産婦人科などでの受診や処方が必須。さらに海外に比べて高額であることから、アクセスのハードルの高さが問題になっている。緊急避妊薬のアクセス拡充に取り組むICECの公式サイトなどによると、世界約90か国で薬局での入手が可能。未成年には無料で提供している国もある。

国に要望書を提出したのは、緊急避妊薬を必要とする全ての女性たちが、安心してアクセスできる社会を目指す団体「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」。性に関する正しい情報の啓発に取り組むNPO法人「ピルコン」や産婦人科医、アクティビストが共同代表を務める。

プロジェクトが取り組むネット署名の活動では、緊急避妊薬を医師による処方箋が必要なく、薬局で薬剤師の関与のもと購入できることや、海外との価格差をなくすこと、文部科学省と連携して性教育を充実させることなどを求めている。賛同者は10月27日時点で10万7千人以上に上る。

PeopleImages via Getty Images
薬局のイメージ写真

厚労省への要望は、25の市民団体が連名で提出した。要望書では以下の4点を求めている。

1)緊急避妊薬が適切かつ安全に使用される環境づくりを推進すること

2)緊急避妊薬の対面診療およびオンライン診療の提供体制を整備、強化、周知すること

3)緊急避妊薬のスイッチOTC化(※)に関する審議を早急に再開し市民の声を反映すること

4)緊急避妊薬を薬局で薬剤師の関与のもと処方箋の必要なく購入できるようにすること

(※)スイッチOTC化=医療用医薬品から、一般用医薬品に切り替えること。医師の処方箋なしに薬局などで販売・購入ができるようになる

「面前内服」、課題も

10月8日に開かれた内閣府の専門調査会は、男女共同参画計画の策定に向けた「基本的な考え方」のうち、緊急避妊薬に関して次のような内容を盛り込んだ

 「避妊をしなかった、または、避妊手段が適切かつ十分でなかった結果、予期せぬ妊娠の可能性が生じた女性の求めに応じて、緊急避妊薬に関する専門の研修を受けた薬剤師が十分な説明の上で対面で服用させることを条件に、処方箋なしに緊急避妊薬を利用できるよう検討する

この「面前内服」の条件について、プロジェクトの共同代表の一人で産婦人科医の遠見才希子さんは「転売など組織的な犯罪に使用されるという懸念に対し、面前内服を推奨する薬剤師研修が行われているようだが、例えば性暴力被害者などの女性に対して、そのような理由で目の前で服用することを求めるというのは、女性を信用せず、二次被害にもつながるためあってはならない規定。当事者の背景や心境を踏まえた運用をしてほしい」と呼びかけた。

政府は正式な計画を年内にまとめるという。 

 

性教育が「先」か?

緊急避妊薬のアクセス改善に関して「薬局で入手できたら、薬の乱用や避妊しない性行為などが増えかねないため、性教育の拡充が先だ」とする反対意見もある。これに対し、NPO法人「ピルコン」理事長の染矢明日香さんは記者会見で、「すでに困っている人たちがいる中で、アクセス改善は多くの人を救う。アクセス改善と性教育を両輪で進めることが急務」と強調した。