黒人男性を警察官が射殺、抗議広がる。略奪や放火も...大統領選の激戦区・ペンシルベニア州で起こっていること

事件があったフィラデルフィアは、ペンシルベニア州で最大の都市。アメリカ大統領選の行方にも影響しそうだ
フィラデルフィアでウォレスさんが警察官に射殺された後、デモ隊が機動隊と衝突した
フィラデルフィアでウォレスさんが警察官に射殺された後、デモ隊が機動隊と衝突した
Yuki Iwamura / Reuters

アメリカ・ペンシルベニア州のフィラデルフィアで、黒人男性を警察官が射殺した事件で、抗議デモが広がる中、略奪や暴動が発生し混乱に包まれている。フィラデルフィアは、ペンシルベニア州で最大の都市。アメリカ大統領選の行方にも影響しそうだ。

どんな事件だった?

BBCによると、死亡したのはウォルター・ウォレス・ジュニアさん(27)。10月26日夕、北フィラデルフィアで、武器を持った男がいるとの通報を受け、2人の警察官が現場に駆けつけた。警察当局は、ウォレスさんに対しナイフを手から落とすよう求めたが応じず、彼らに向かって進んできたと主張している。2人の警察官はウォレスさんに向かって数回発砲。ウォレスさんは搬送先の病院で死亡が確認された。

ウォレスさんは躁うつ病を患っており、ウォレスさんの家族の代理人弁護士は、家族が警察官の発砲前にウォレスさんの持病のことを伝えていたという。

平和的デモ、略奪も

黒人に対する警察官の暴力行為は後を絶たない。ウォレスさんが発砲される場面を撮影した動画がSNSで拡散し、事件翌日の10月27日、現地では大規模な抗議デモが始まった。当初は平和的に繰り広げられていたが、一部で警察当局と抗議者が衝突。略奪行為も起こった。強盗や暴行容疑などで逮捕者が続出し、負傷者も出ている。夜間外出禁止令も発出される事態になった。

こうした略奪などの暴動に対してウォレスさんの家族は平和的なデモを求めている。ウォレスさんの父親はCNNの取材に、「全ての暴力や略奪、混乱で、息子と私の家族に傷跡を残したくない。だから(暴力行為を)止めてもらいたい。略奪では息子を取り戻すことはできず、事態を悪化させるだけだ」と訴えている。

トランプ氏「バイデンは暴徒を支持」

BBCによると、27日にウィスコンシン州で開かれた選挙集会で、トランプ大統領は、暴動を起こしている人たちと、大統領選の対立候補である民主党のバイデン氏とを結び付けようとした。「フィラデルフィアはバイデンを支持する過激派によって引き裂かれた」「バイデンは暴徒を支持し、私は警察のヒーローたちを支持します」などと発言した。暴動とバイデン氏が関連しているという証拠は示さなかった

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