アメリカ大統領選、注目すべき激戦7州の状況は【開票速報】

フロリダ、ノースカロライナ、オハイオ、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシン、アリゾナの7州。
米大統領選/バイデン氏とトランプ氏
米大統領選/バイデン氏とトランプ氏
AFP=時事

アメリカ大統領選はその仕組み上、わずか数州、数百万人による投票がその行方を左右する。

これは、「選挙人」という独特の制度によるものだ。

アメリカの全州とワシントンD.Cで計538人の選挙人のうち、270人を取った候補の勝利となる。

選挙人の数は、各州の人口比に応じて割り振られている。2つの州をのぞいて、得票数の最も多い候補が、その州を“総取り”する仕組みだ。

多くの州で、支持される政党はほとんど変わらない。

例えばニューヨークやワシントンは1984年からずっと、民主党候補が勝利している。一方、アラバマやオクラホマは、ここ7回の大統領選で、全て共和党が勝利している。

そこで重要となるのが、「スウィング・ステート」と呼ばれる激戦州だ。

トランプ氏は、民主党有利とみられていた中西部の州で予想外の勝利を収めた。ペンシルバニアやウィスコンシン、ミシガンでの勝利が、トランプ氏を大統領に押し上げた。

激戦州と呼ばれる7州を紹介する。

11月5日午後0時時点(日本時間)の状況は次の通り。一方、まだ開票が続いている郵便投票は、バイデン氏に有利とされており、依然として勝敗の行方は不確実だ。

★フロリダ州:99%開票 トランプ氏の勝利確実
▽ノースカロライナ州:94%開票 トランプ氏リード
★オハイオ州:96%開票 トランプ氏の勝利確実
★ミシガン州:99%開票 バイデン氏の勝利確実
▽ペンシルベニア州:89%開票 トランプ氏リード
★ウィスコンシン州:99%開票 バイデン氏勝利確実
★アリゾナ州:86%開票 バイデン氏勝利確実

フロリダ州(29人)

ASSOCIATED PRESS

フロリダ州の勝利は、大統領となる大きな助けとなる。バラク・オバマ氏は2008年と12年の選挙で勝利し、トランプ氏は2016年にクリントン氏に1.2%差で勝利している。

フロリダ州を取らずに大統領となった直近の共和党候補は、最後は1924年のカルビン・クーリッジ氏まで遡る。

2016年の選挙では、フロリダ州からの11万3000票で決まった。

定年後の居住地とされているフロリダでは、トランプ氏の新型コロナ対応への評価にかかっている。

トランプ氏が勝利した場合、バイデン氏にとっては痛手となるが、それでもバイデン氏の大統領の可能性は残される形となる。

2016年の結果:ドナルド・トランプ(49%)、ヒラリー・クリントン(47.8%)

ノースカロライナ州(15人)

ノースカロライナ州はここ数十年の間、ほとんど共和党に投票されてきた。ジョージ・W・ブッシュは2000年、2004年、二桁パーセント差で勝利をしている。

しかし、オバマ氏が2008年は、1976年以来初めてこの州で勝利した。2012年と16年には、共和党が僅差で勝利を取り戻した。

しかし、今年の世論調査を見ると、バイデン氏が民主党の勝利を取り戻す可能性を示している。

ノースカロライナとフロリダは、選挙当日に結果が公表される見通しだ。バイデン氏とトランプ氏の序盤の情勢をはかる指標となる。

2016年の結果:トランプ(50.5%)、クリントン(46.8%)

オハイオ州(18人)

1964年以来、オハイオ州を取った候補者が、大統領となっている。そのため長らく、“次期大統領の指標”となっている。

トランプ氏は2016年の選挙で、クリントン氏に8%差で勝利。今回2020年は、世論調査は、接戦の見込みで、勝利報告が後ろ倒しになると見られている。

2016年の結果:トランプ(51.8%)、クリントン(43.7%)

ミシガン州(16人)

「青の壁」の一角とされるミシガン州は、1992年〜2012年は民主党候補が勝利してたが、2016年にトランプ氏が勝利した。トランプ氏の2016年の勝利は、わずか0.2%、1万704票差だった。

だが、労働者層の投票をクリントン氏から奪い取ったトランプ氏の勝利の象徴でもある。2012年はオバマ氏が9%差で勝利していた。

世論調査ではバイデン氏がここ数カ月、断続的にリードしている。

2016年の結果:トランプ(47.6%)、クリントン(47.4%)

ペンシルべニア州(20人)

次の伝統的な民主党寄りの「青の壁」は、ペンシルべニア州。

トランプ氏は2016年、このペンシルバニア州を激戦州に変え、クリントン氏にわずか0.7%差で勝利した。

世論調査で、トランプ氏ににって、ペンシルベニアでの勝利を「マストウィン」としている。ここを落とすと、大統領選の勝利の道が狭まることになるという。

一方バイデン氏は、ここを落としたとしても、可能性は開かれている。

ペンシルベニア州は、バイデン氏の出身州で、世論調査ではここ数カ月リードしている。

2016年の結果:トランプ(48.6%)、クリントン(47.9%)

ウィスコンシン州(10人)

トランプ氏は4年前に勝利した。

クリントンは、ここでの選挙キャンペーンに十分な時間を使わなかったことで批判を浴びた。

郵便投票と期日前投票の量が理由で、ウィスコンシンはペンシルベニアとミシガンの同様、数日間結果が明らかにならない可能性がある。

それはつまり、最終的な勝者がしばらくの間明らかにならない可能性があることを示している。だが両候補とも、票のカウントの停止や中止を求める法的措置にでる可能性もある。

2016年の結果:トランプ(47.8%)、クリントン(47.0%)

アリゾナ州(11人)

二つ目の「サンベルト」に位置する州のアリゾナ。アリゾナのような州の存在が、バイデン氏がトランプ氏よりもホワイトハウスへの道筋が多い理由だ。

1996年のビル・クリントン氏以来、民主党候補の勝利はなく、2016年にはトランプ氏がヒラリー・クリントン氏を5%差で破っている。

しかし今年は、バイデン氏は、このアリゾナを激戦州に変えた。世論調査では、優勢とされている。

アリゾナ州は他の激戦州よりも、選挙人の数が多くはないが、バイデン氏がフロリダ州を落とした場合に、重要な場所となる可能性が高い。

2016年の結果:トランプ(49.0%)、クリントン(45.5%)

この記事はハフポストUK版を翻訳・編集しています。

Maya Nakata / Huffpost Japan

11月5日夜9時(日本時間)から、モーリー・ロバートソンさん、長野智子さんとともに議論します。また、これまでアメリカの「ラストベルト(さびついた工業地帯)」を訪ね歩き、今回も現地で取材をしている朝日新聞機動特派員の金成隆一さんと中継をつなぎ、投票直後の「アメリカ」を伝えていただきます。

番組はこちらから⇒ https://twitter.com/i/broadcasts/1lDGLylbnRQJm

(時間になったら自動的にはじまります。視聴は無料です)

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