「“大統領選で選ばれたものはいない”と議会が公式声明」はデマ。実際は共和党議員が書いた手紙

トランプ大統領はこれまでに「集計は違法だ」などとして各地で裁判を起こしているが、いまだに具体的な証拠は示しておらず、次々と敗訴している。

「『大統領選で選ばれた人間はいない』とアメリカ連邦議会が公式声明を出した」という誤った情報が、Twitterで拡散している。

これは議会の公式声明ではなく、共和党のジョディ・ハイス下院議員が連邦政府一般調達局(GSA)にあてて書いた手紙だ。政権移行にはGSAの承認が必要となるが、これを認めないよう求める内容となっている。

ハイス議員(左)と局長宛の手紙(右)
ハイス議員(左)と局長宛の手紙(右)
Getty Images

■共和党員らも「ハイス議員が送った」

Twitterで拡散されたのは、共和党所属で、下院小委員会の少数政党の筆頭を務めるジョディ・ハイス議員が、GSAのエミリー・マーフィー局長にあてて書いた手紙だ。

アメリカの法律では、GSAが選挙の勝者認定を行わない限り、政権移行チームが政府予算や情報機関にアクセスすることができない。ブルームバーグによると、バイデン氏の政権移行チームは9日、GSAのマーフィー局長に対し、バイデン氏を勝者と認めるよう呼びかけた。

ハイス議員の手紙はこうした動きに対抗するものだ。手紙では「民主党があなたに間違って伝えた事実を訂正したい」としている。

ハイス議員は、トランプ陣営が複数の州について法廷闘争を行っていることなどから、まだ選挙の勝敗ははっきりしていないと主張。「大統領を決める際には、メディアではなく、合衆国憲法と前例に従うことを強く勧めます」としている。

この手紙が“議会の公式声明”だとして誤って拡散された。上部には青文字で「Congress(議会) of the United States」とあり混同しやすいが、中身を読めばハイス議員が送ったものだとわかる。

ハイス議員は複数の小委員会に所属しているが、議会を代表する立場にはない。

所属先の一つ、アメリカの下院監視・政府改革委員会の共和党員らも公式サイトやTwitterで、議会ではなく「ハイス議員がマーフィー局長に手紙を出した」と伝えている。

一方で、日本のTwitterでは「議会の公式声明」とするツイートが3000回以上リツイートされ、「議会はまともだ」「マスコミは報道しないだろう」などといったコメントが相次いでいる。まとめサイトも取り上げている。

トランプ大統領はこれまでに「集計は違法だ」などとして各地で裁判を起こしているが、いまだに具体的な証拠は示しておらず、次々と敗訴している

GSAのマーフィー局長はトランプ氏が任命した。GSAは選挙の勝者を確定していない

混戦の末、バイデン氏が勝利を確実にしたアメリカ大統領選。敗北したトランプ氏ですが、前回より多い7000万以上の票を得るという結果になりました。これが意味することは? 選挙が終わってもアメリカ社会の「分断」は残り続けるのか?

#ハフライブ では、日本から大統領選に在外投票したモーリー・ロバートソンさんらを迎え、「トランプ支持者の“心の中“と分断社会のこれから」をテーマに議論しました。(生配信日:2020年11月5日)

番組アーカイブはこちら⇨https://youtu.be/iqjG-xll4j8

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