伊藤詩織さん、はすみとしこさんの裁判始まる。「枕営業」などのイラストをツイート

この日の口頭弁論では伊藤詩織さんのみが出廷。被告のはすみさんは請求棄却を求めた。
伊藤詩織さん
伊藤詩織さん
Jun Tsuboike / HuffPost Japan

Twitterに投稿された侮辱的なイラストなどが名誉毀損に当たるとして、ジャーナリストの伊藤詩織さんが漫画家のはすみとしこさんら3人に対し計770万円の損害賠償を求めている裁判の第1回口頭弁論が11月17日、東京地裁(小田正二裁判長)であった。

はすみさんは請求棄却を求め、争う姿勢という。

どんな裁判なのか

訴状によると、はすみさんは2017年6月〜2019年12月、5本のイラスト画像やテキストをTwitterに投稿した。

うち一つの画像は、左胸に「山口」と書かれた白いシャツの女性を描いたもので、「枕営業大失敗」という文言が添えられている。

また、『CLAP BOX』というタイトルの本を手にもった女性と、「そうだ!デッチあげよう」との文言が描かれたイラストもあった。

訴状では、イラストに描かれた女性が、元TBS記者の山口敬之さんによる性被害を訴えた伊藤さんと酷似している点などを指摘。「(イラストの)女性と伊藤さんを同定することは容易に可能」とした上で、イラストが伊藤さんの名誉を傷つけたとして、慰謝料など550万円と投稿の削除、謝罪の掲出を求めている。

また、はすみさんの投稿をリツイートした都内在住の医師ら2人に対しても提訴し、それぞれ慰謝料など110万円と投稿の削除を求めている。

はすみさんは一連のイラストについて、自身のTwitterやYouTubeなどで「風刺画はフィクション」「伊藤さんとは無関係」と主張している。

「私の魂を深く傷つけた」

この日、裁判の最後に、伊藤さんは意見陳述を行った。 伊藤さんはイラストについて「私の魂を深く傷つけた」と語り、「なんとか被害から立ち直りたい、日常を取り戻したい、という私の思いは踏みにじられました」と述べた。

「この社会には、性被害の被害者を、セカンドレイプといえる言動で攻撃する人、インターネットでセカンドレイプの拡散に加担する人が大勢います」と訴え、裁判官に対し「私の被害を正面から受け止めていただくことを、心より願っています」と締めくくった。

伊藤さんは閉廷後、囲み取材に対応。提訴会見後、Twitter上で前向きな言葉とともに伊藤さんのイラストを投稿し、伊藤さんへの連帯を示す動きが広がったことに言及し、「アートはポジティブなパワーをもっていると信じています」と話した。

ネット上の誹謗中傷問題をめぐっては、発信者の特定のために情報開示請求が必要になるなど、中傷を受けた人が訴訟を起こすまでに高いハードルがある。伊藤さんは、「プラットフォーム側にも一緒に取り組んでほしい問題だと思います」とも指摘した。

元TBS記者の山口敬之さんからの性暴力被害を訴えていた伊藤さんは、2019年12月に東京地裁で開かれた民事裁判で勝訴した。山口さんは控訴している。

山口さんとの裁判の判決後、伊藤さんは自身に対するSNSでの中傷やセカンドレイプなどについて法的措置をとることを明言。

はすみさんら3人のほか、自民党の杉田水脈衆院議員、元東京大学大学院特任准教授の大澤昇平さんを相手取り訴訟を起こしている。

【UPDATE 2020/11/17 12:15】伊藤さんの意見陳述、囲み取材の内容を追記しました。

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