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2020年11月21日 14時55分 JST

在宅勤務を「内職」扱い。 保育園選考の「在宅差別」を見直し、コロナで思わぬ変化

不利な扱いを受けてきたフリーランスだが、コロナ禍で在宅ワークを経験する人が増え社会的な共感が一気に高まった。

保育園選考の「在宅差別」を見直し コロナで思わぬ変化

 働く場所が「外か自宅か」で差がついていた自治体の保育園の入園選考が、変わろうとしている。不利な扱いを受けてきたフリーランスらが長年是正を訴えてきたが、コロナ禍で在宅ワークを経験する人が増え、社会的な共感が一気に高まった形だ。

■在宅勤務を「内職」扱い

 東京都千代田区では、勤務場所によってつけてきた認可保育園の入園優先度の差を、来春から撤廃することを決めた。

 これまで、在宅で働く保護者は、「通勤時間が短い」などの理由から、外で働く保護者より1段階優先度を低くしていた。だが、コロナ禍で在宅勤務が推奨され、「子どもをみながら就労する難しさへの社会的認識が高まった」として、変更することにしたという。担当者は「保護者の実態をより丁寧に反映できると考えている」と話す。

 この春、全国で最も待機児童が多かったさいたま市も、運用で実質的に差をなくす方針だ。コロナ禍で在宅勤務をする保護者が増えてきたことを受け、主な就労場所が自宅となっても、一時的なものであれば、外で働くのと同様の優先度とみなすという。

 入園選考ではこれまで、デザイナーやプログラマーなどのフリーランスで、職場が自宅の場合、「育児も兼ねられる」などとして内職扱いにし、優先度を低く評価する自治体が多かった。

 政府が働き方の多様化を奨励しながら、保活激戦地では保育の提供が受けられないと当事者たちから批判が噴出。厚生労働省は2017年末、職場が自宅の内か外かで差をつけないよう自治体に通知していたが、コロナ禍で在宅ワークが多くの人にとって身近なものになり、見直し作業が加速している。

 フリーランスで働く人たちの権利を訴えてきたプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の平田麻莉代表理事は「育児は仕事の片手間にできるものではないと、私たちが長年訴えてきた当たり前のことが、コロナ禍により社会で共感されるようになった」と話す。

■週休3日制のワナ

 一方、今後課題となりそうなのが、「働く日数」の問題だ。

 コロナ禍でこれまで限定的だった「週休3日以上」などの働き方が様々な企業に広がり、12月からはみずほフィナンシャルグループも希望する社員に週休3、4日制などを導入すると発表している。

 しかし、働く日数が減ると、入園選考で不利な自治体もある。例えば大阪市では、合計の労働時間は同じでも、週4日勤務と5日勤務では、5日が優先される。担当者は「あくまでも『保育が必要なのは週に何日か』で考えるため」と説明する。

 一方、兵庫県明石市では、日数は問わず、月に160時間以上勤務すると、優先することにしている。以前からの運用で、24時間態勢で勤務する交代制の職場など、日数で評価することが難しい場合があるとの立場だ。「結果的に、週休3日以上などの働き方にも柔軟に対応できる」としている。

 保育園を考える親の会の普光院亜紀代表は「そもそも定員の絶対数が足りず、様々な理由で利用者を『選考』してきたことがおかしい」と指摘。その上で、「多様な働き方を含め、どのような状況でも『必要な人に保育が提供できる』ことが求められている」と話す。(中井なつみ)

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(朝日新聞デジタル 2020年11月21日 07時27分)

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