平井デジタル担当大臣が「ファーウェイ機器を導入」は誤り。本人が否定、政府調達も「事実上の排除対象」

「確かに、ファーウエイの技術力には驚かされましたが、採用することはできません。日本企業には税制と補助金で支援しています」(平井デジタル改革担当大臣)

平井卓也・デジタル改革担当大臣が、新設されるデジタル庁に中国通信機器大手「ファーウェイ」の機器を導入しようとしているという、誤った情報がTwitterで拡散した。

平井氏本人がTwitterで否定しているほか、平井氏の事務所もハフポスト日本版の取材に対し、2018年にファーウェイなどを事実上の排除対象とした政府調達方針に則ると説明している。

デジタル改革関連法案ワーキンググループであいさつする平井卓也デジタル改革担当相(右)=11月26日、東京・霞が関
デジタル改革関連法案ワーキンググループであいさつする平井卓也デジタル改革担当相(右)=11月26日、東京・霞が関
時事通信社

■「デマが拡散」本人がツイートで否定

平井氏をめぐる情報が拡散されたのは12月25日ごろ。ファーウェイの社屋で撮られたとみられる平井氏の画像とともに、「中国側に取り込まれているのではないか」などとするツイートが5000回以上リツイートされ、似た内容の投稿も相次いだ。

そこから、「ファーウェイをデジタル庁に導入?」「セキュリティを強固にするために庁を新設したのに、これでは意味がない」などの投稿もされるようになった。

平井氏は公式ツイッターでこうした情報を否定。

「事実と異なるネットのデマ情報が拡散されているようです。当然のことながらデジタル庁では、セキュリティ上懸念のある通信インフラや機器は採用しません。くれぐれもデマ情報に惑わされないようお願い申し上げます」と投稿した。

さらに、「日本のデジタル庁はファーウェイのシステムを使うらしい」などとする投稿についても「デマを拡散しないでください」と自身でリプライ(返信)している。

平井氏の国会事務所によると、これらの投稿はいずれも平井氏本人が行なっているという。

平井氏の公式フェイスブックには、2018年5月にファーウェイの研究開発施設を視察した際の投稿が残っている。またフリー百科事典の「wikipedia」では「Huawei製品のファン」などとする記述があり(現在は削除)、こうした情報が絡み合って憶測を呼んだ可能性がある。

平井氏はファーウェイの視察についてはTwitterで「確かに、ファーウエイの技術力には驚かされましたが、採用することはできません。日本企業には税制と補助金で支援しています」(原文ママ)としている。

そもそも、日本政府は情報通信機器の調達においてファーウェイなどを事実上の排除対象としている。

2018年12月に策定された「IT調達に係る国等の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」では、「情報の窃取・破壊や、情報システムの停止等の悪意のある機能が組み込まれる懸念」のある機器などを調達しないことにしている。このなかで名指しこそされていないものの、ファーウェイと中国のZTE(中興通訊)の2社は事実上の排除対象とされる。

平井事務所はハフポスト日本版の取材に対し「特定の事業者や機器を名指しで排除してはいませんが、この方針に合った事業者や機器を適切に調達をしていきます」と回答している。

■Zoomにも批判

平井氏をめぐっては、同時にWeb会議ツール「Zoom」の使用についても批判の声があがっている。

「Zoom」が政府側と国会議員とのやりとりに使われるという方針は事実だ。一方で平井事務所によると、官僚が国会議員に政策の内容を説明する通称「議員レク」などには使われる方針だが、機密性の高い情報を取り扱う会議では使用されることはないという。

平井氏は「Zoom」をめぐる批判について「霞ヶ関のウェブ会議は現状は各府省のLAN上で利用可能なアプリ(Skype for Businessなど)の他、Webexのアカウントを配布し利用可能としています。一部野党からの質問通告など、先方の要請の下、機微情報に当たらない連絡に関してはその他のシステムでも対応しております」とTwitterに投稿している。

■ファーウェイとZoomをめぐる疑惑とは

ファーウェイは中国・深センに本社を置く情報通信機器大手。これまでも通信内容が漏洩する「バックドア」などの存在が指摘されてきた。ファーウェイはこうした疑惑に対し「根拠がない」「技術的に考えられない」などと反論している。

また「Zoom」は中国の「天安門事件」をめぐる会議を妨害したとして、アメリカ司法省に中国人幹部が訴追されている。ロイターによると、この幹部は社内規定に違反とした解雇されたという。

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