昼食時のおしゃべり止めるには?ある学童のアイデアに反響広がる

感染対策のため、食事中のおしゃべりNGをどう理解させるか...ある放課後児童支援員が取り組みをシェアしたツイートが話題です
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Trevor Williams via Getty Images

コロナの感染拡大をどう防いだらいいのか、学童保育などの現場も対応を模索している。特に食事の時間はマスクを外すため、子ども同士の会話による感染リスクの高まりも懸念される。

こうした中、ある放課後児童支援員が、子どもたちの食べながらのおしゃべりを回避するために始めた学童保育での取り組みをTwitterで紹介したところ、大きな反響を呼んでいる。

「できる環境を作るのが役目」

ツイートしたのは、きしもとたかひろさん@1kani1dai)。放課後児童支援員として、日々学童保育で子どもたちと関わっている。

きしもとさんは1月7日、Twitterで次のように投稿した

<うちの学童では、子どもたちが昼食で喋ってしまう問題を、プロジェクターで映画を流して鑑賞しながら食べるという方法で解決した。自然と同じ方向を向いて会話も減る。なにより指導回数も減るので食事が楽しい時間のまま。できていないことを注意するのではなく、できる環境を作るのが僕たちの役目だ。>

ツイートは8日午後3時までで約2万件リツイートされるなど、取り組みに賛同する声が広がった。きしもとさんは、問題解決のために「行動する」ことへの思いを描いた漫画もツリー投稿した。

子どもも大人も疲弊した

きしもとさんによると、2020年春の緊急事態宣言で小学校が一斉休校になった際も、勤め先の学童保育は子どもたちを受け入れていた。

玩具の消毒やマスク着用、換気といった感染防止策を徹底した。マスクを外して集団で食事をする時間は特に感染リスクが高いと考え、昼食の際は向かい合って座ったり、会話をしたりしないように指導していた。通常、生徒20〜40人が同じ部屋で食事するという。

「子どもたちにコロナの状況を伝えていたので、各自しゃべらないよう気をつけてはいましたが、やはり簡単にはいかず個別に注意していました。感染対策では『密にならないで!』『マスクして!』などと、次第に子どもたちを監視するような指導になっていたため、子どもも大人も疲弊していました」(きしもとさん)

どうしたら、押し付けではない形で子どもたちのおしゃべりを止めることができるのか?

職員たちでアイデアを出し合う中で、映画鑑賞の案が上がった。実際に取り入れたところ、子どもたちのおしゃべりの量が大きく減ったという。

「指導によってルールや我慢を強いることで、子どもたちを精神的に追い込んだり、『怒られるかもしれない』という恐怖で食事が嫌になったりしては、子どもの育ちには悪影響になるかもしれません。注意することにもされることにもみんなが疲弊していた中で、お互いが『静かに食事と映画を楽しむ』という目的をもって感染対策を行ったことで、一歩前に進むことができました」

解決策を提案して非難されることも
解決策を提案して非難されることも
きしもとさん提供
見てみぬふりをしていると...
見てみぬふりをしていると...
きしもとさん提供
穴を少しずつ小さくする方法を編み出していく
穴を少しずつ小さくする方法を編み出していく
きしもとさん提供

万事解決ではない

ツイートには「良いアイデア」「素晴らしい発想」などと称賛する声が多数寄せられた。一方で、「映画に集中して箸が止まる」といった否定的な意見もあった。

きしもとさんは「『しゃべったらあかん!』と注意されるのと『映画楽しいけどご飯も食べや』と声をかけられるのとでは質は全く変わってきます」と話す。

「映画を観たくない子に無理に観せることはありませんし、映画にいちいち声を出してコメントしてしまう子もいます。この方法で万事解決ではなく、その都度最善の方法を考えなければなりません。今後も新たな解決策を講じていくことで、問題が少しずつ小さくなっていけばと思っています」

普段なら、テレビなどを見ながらの食事は「行儀が悪い」と批判されることもある。

「いい方法だと思っても、批判を恐れて実行できない人が多くいることを知りました。今のところ保護者からそうした指摘はなく、現場がどんな状況かを間近で見たら、現状での苦肉の策だと理解してもらえるのだと思います。今回のツイートをきっかけに、『新しいことを試してみようか』という現場が一つでもあれば嬉しいです」

(國崎万智@machiruda0702/ハフポスト日本版)

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