これからの経済
2021年01月25日 16時46分 JST | 更新 2021年01月25日 20時55分 JST

ファッションは悪なのか? アパレル各社のサステナ戦略、3つのポイント

アパレル各社も、サステナビリティに関する取り組みを経営戦略として強化している。そして、それを可能にしているのはテクノロジーの力だ。

「ファッションは、あなたがどんな人間かを一目で伝える言語のようなもの」

イタリアのファッションデザイナーの名言だ。

カマラ・ハリス副大統領は紫色のファッションで融和を呼びかけた。身に着ける一枚を選ぶという行為は、自分の内面や生き方を表現する手段にもなる。

 

「世界第二の環境汚染産業」とされるファッション業界だが、アパレル各社も近年、経営戦略としてサステナビリティに関する取り組みを強化している。そして、それを可能にしているのはテクノロジーの力だ。

明日の1枚を意思を持って選ぶために、私たちが知るべきファッションを取り巻くSDGsの取り組みを紹介する。

KCHANDE via Getty Images
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①余った商品はどうなるの?

売れ残った余剰在庫は「廃棄しない」。そう取り組むのは、いまや国民的ファッションとなったユニクロを展開するファーストリテイリング。

広報担当者は「ベーシックでトレンドに左右されないデザインなので、ワンシーズンで着られなくなることはありません。質も良いと自負しています」と語る。

顧客の声や販売実績などをもとに、生産量の予想精度の改善や物流改革にも取り組み、それでも売れ残ったものは翌シーズンに持ち越すか、セールなどで売り切っているという。

同様に値引きや在庫を他国に移すなどして「廃棄」を回避しているのが、アパレル大手のH&M。

 「いかなる余剰在庫も避けたい。そのため、そもそも余剰在庫が出ないように取り組みを進めています」

 同社では、AIを活用し、どの製品を、どの国や地域、店舗に、どんなタイミングでどう配分するべきか、把握するためのシステムを構築。廃棄物や余剰在庫の削減につなげている。直近の6四半期では値引き販売の削減に成功したという。

 

②リサイクルのその先へ

手放した洋服や靴から燃料や素材を再生するだけでなく、再び新しい洋服や靴へ。

極力ムダな資源を使ったりゴミを出したりしない、リサイクルのその先をいく循環型リサイクルへの取り組みも進んでいる。

アディダスジャパン
アディダスが2019年に発表した、単一素材から作られ100%再生可能なFUTURECRAFT.LOOP(フューチャークラフト.ループ)

2024年までにすべての製品にリサイクルポリエステルを100%使用するという目標を掲げているアディダス。2015年からは海洋環境保護団体と協力し、海洋プラスチック廃棄物などから作られたシューズを販売している。

2019年には、単一の素材で作られた100%リサイクル可能なランニングシューズ「FUTURECRAFT.LOOP」を発表。シューズは回収して粉砕された後に溶かされ、再び新しいシューズに生まれ変わる。

ユニクロのダウンジャケットも、ダウンとフェザーの100%リサイクルに取り組んでいる。

2020年秋冬シーズンには、着なくなったユニクロのダウンを回収して作った「リサイクル ダウンジャケット」を発売した。1年で回収されたダウンは62万枚にのぼる。

東レが開発した技術によって、ダウン商品の切断から攪拌分離、回収までを完全に自動化し、羽が飛ぶ中での手作業を廃止した。広報担当者は「ダウン以外の繊維についても同じことをやりたいが、技術的なハードルもあり研究中です」と語る。

ファーストリテイリング
回収したユニクロダウンで作られた「リサイクルダウン」

③トレーサビリティ(商品追跡)

私たちの手元にある1枚のシャツは、どんな工場でどのように作られたのか。その生地や糸は、どんな風にできたのか。

繊維の生産から製品となって私たちの手元に届くまでの行程を、総じて「サプライチェーン」という。

近年は、サプライチェーンの透明性をはかるための企業努力も進んでいる。

 例えば、パタゴニアでは商品を購入する際に、その商品がどのように、どこで作られたのかを見ることができる。

パタゴニア公式サイト
パタゴニアの商品ページでは、その商品がどのように作られたか、どこで作られたかを確認することができる

取引のあるサプライヤーは、すべて独自の基準を満たし、第三者機関などの監査を受けている。

H&M傘下のARKETでは、商品タグに製品データを含んだボタンをつけることで、商品を追跡可能にしている。VeChainというアプリケーションを利用し、モバイルでボタンをスキャンすると、画面上に使用素材、生産国、生産工場などのサステイナビリティ情報が表示される試験的な取り組みだ。

2017年に誕生したアパレルブランド10YC(東京都)では、その製品の生地や縫製、染色がどこで行われているかだけでなく、どの行程でどれだけの費用がかかっているのかも公開している。

創業者の下田将太氏は「どういう工程でどれくらいのお金がかけられているかが分からなくなっている。知ってもらうことで良くなるはずだ」と語る。

10YC公式サイト
10YCの商品ページでは、サプライチェーンの情報や各工程のコストを公開している。

意識の変化が企業を変える、企業が変われば意識も変わる 

こうした企業の取り組みの背景には、環境保護団体の存在や若い消費者の意識の変化がある。

2017年から主要縫製工場のリストを公開しているファーストリテイリングでは、2015年に取引先工場の労働環境の問題を国際人権NGOに指摘された経験から、サプライチェーン全体の透明性を高めていく必要を認識したという。

2021年に発売するランニングシューズのうち9割以上のシューズにリサイクル素材を採用すると発表しているアシックスでは、製造コストは上がるものの、環境意識の高い10代が増えているとみており、「主要顧客である20~40歳代となる時に備えて今から準備しておく」という。

 

<取材・文:中村かさね(@Vie0530) リサーチ:吉田遥、湯浅裕子、松原和裕>

 

 

1月26日のハフポスト日本版の生配信番組「ハフライブ」では、トラウデン直美さんらをゲストに迎え、「ファッションとSDGs」をテーマに、①ビジネスの裏にある環境・人権問題の実態 ②一人ひとりが取り組めることは? などについて話し合います。

ハフライブ

番組概要:

1月26日(火)夜9時〜

番組はこちらから⇒

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