BLOG
2021年01月27日 11時56分 JST | 更新 2021年01月27日 11時56分 JST

たとえカズレーザーが楽しそうに家事をしていても…。家事分担の平等に解決策はあるのか

ここ数年、男性の家事参加を促す声が大きくなっている。しかし、残念なことに家事の負担を完全に平等に分けることは、おそらく不可能だ。

mattjeacock via Getty Images
イメージ写真

残念だが、家事の負担を平等に分けることは、不可能

ここ数年、男性の家事参加を促す声が大きくなっている。ウェブメディア、新聞やテレビ、雑誌が報道する。SNSでも声を上げる人たちがいる。CMでも、男性が家事をする場面を描くものが増えた。『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)など、男性の家事を描くテレビドラマも人気だった。インスタのフォロワーが100万人を突破した人気バラエティ『家事ヤロウ!!!』(テレビ朝日系)では、カズレーザーさんなど家事初心者の男性タレントが、楽しそうに家事に挑戦する。

女性たちは、家事シェアの先に何を思い描いているだろうか? パートナーが家事に参加してくれたら、自分の負担が半減しフィフティフィフティになる日が来るかもしれない、と思っているのだろうか? しかし、今回は残念なお知らせをしなければならない。家事の負担を完全に平等に分けることは、おそらく不可能である。

 

でも、希望は失ってはいけない

だからといって、希望を失ってはいけない。その先には、新たな可能性が開けている。それはどういうことだろうか?

では、なぜ家事の負担を、平等にシェアできないのかから考えよう。理由は二つある。その一つは、これまでもくり返しお伝えしてきた「名前のない家事」の存在である。

名前のない家事には、名前のある家事のついでに発生するものと、気配りの結果生まれるもの、生活習慣の一部と化しているものがある。いずれにしても、家事に対して責任感を持っている人でなければ、やるべきことに気づきにくく手を出さないという問題がある。

例えば、こんな場面に思い当たるフシはないだろうか? 

会社勤めの夫は、出勤の際にゴミ出しをする。しかし、ゴミ箱を家じゅうから集めてくるのは、自分である。生ゴミから水分がにじみ出ても大丈夫なように、ビニールをゴミ箱にセットし、夫が出て行った後にすべてのゴミ箱を元の場所に戻す。こぼれたゴミを捨てる、あるいは掃除機をかけるのは、自分である。すると、ゴミ出しは夫だけの仕事にはなっておらず、むしろ7対3ぐらいで、自分のほうが負担が大きい。他の家事でも、こんな風にパートナーがした家事のフォローをする人は、多いのではないか?

シェアの仕方は家庭によって異なるが、同じ家事を交替でやるにせよ、担当を決めるにせよ、そこからこぼれ落ちる名前のない家事を行なう人は、家事を中心になってやっている人である。だから、一見平等なシェアは結局、より責任を持ってメインでやる人の負担が重くなってしまうのだ。

 

根気よく説明に務めるのは、負担を減らす一つの方法

パートナーは、そうしたあなたのフォローに気づいているのかいないのか。気づいてくれないとしたら残念だし、気づいているとしても、それは「責任者はあなた」という印象を、ますます相手に刷り込む結果につながりやすい。

気づいたパートナーが主体的に、フォローまで自分でやるようになる、あるいはあなたが指示してパートナーが自分の担当として最後まで責任を持つようになる、という可能性はもちろんある。一つの家事の周辺まで、シェアした相手がやるようになるまで、根気よく説明に務めるのは、自分の負担を減らす一つの方法だ。

そこまでしても、メインで家事を行うあなたの負担は、パートナーと同じにはならない。それは、「名前のない家事」に気づいてフォローしてしまう問題に関連している。

家庭内の関係は、友人関係のようにフラットにはならない。カップルが2人だけで暮らす場合は比較的対等に近づく場合もあるが、子どもや親が同居しているなら、対等にはなりえないケースがほとんどだろう。家庭では、誰かがリーダーにならなければ、家事だけでなくあらゆることが回らない。

Maskot via Getty Images
イメージ写真

指示を出し取りまとめる人の必要性と負担

家父長制をひきずった関係ではないから対等だ、という家族も、もちろんあるだろう。それでも、誰かしらが指示を出している。同居する親に行動を促す人がいる。デイサービスの人と、打ち合わせを主導する人がいる。

どこかに外出する、遊びに行く、大掃除をするなど、家族で協力する場面でも、指示を出し取りまとめる人が必要だ。より対等な夫婦関係の場合はもちろん、旅行の行き先は妻が決め、大きな出費は夫が決めるといった具合に、目的に応じてリーダーが入れ替わる場合もあるだろう。家事以外のことであっても、何か一つのことを協力してやり遂げるには、指揮をする誰かが必要となる。家事だけが、その例外ということはあり得ない。

家事は家の中全体を見渡し、どんな作業が必要で何が不要かを見定める人が必要。誰が何を行なうべきかを、決める人も必要である。それは、家族が一つ屋根の下に暮らす共同体、あるいは共に生活を営む組織だから。共同体には長がいる。組織にはリーダーがいる。協力して何かを行なう、あるいは分担して何かをするには、誰かが指揮して円滑に物事が進むよう、気を配らなければならない。

 

完全にフィフティ:フィフティになる日は来ない

家事をメインで行う人の負担が大きくなる原因は、家族や生活を共にする人と比較したときに分かる。家族は分担する人数が少なく、幼い子供や高齢者と暮らしているなど協力できる人がさらに少ない場合がある。企業などの大きな組織では、リーダーは責任がより重なりがちだが、自ら作業を行う機会は少なくなる可能性もある。指揮することに専念できる人もいるだろう。

だが、家族は違う。人数が少ない家族の場合、リーダーが指揮するだけでは済まない場合が多い。

全体に気を配り、自分自身で作業もする。他の家族のフォローもある。そのため、夫婦で家事を半々に分けているはずが、7対3、8対2と、いつの間にか指揮をしている人の負担が多い結果となる。

つまり、完全に5対5になる日は来ないのだ。しかし、その理由が明確になったので、もう少しだけでも自分の負担を減らすことは可能になるのではないだろうか。まず家族に、分担している家事の周りで発生している名前のない家事を説明し、最後まで責任を持ってやり遂げることが大切だと分かってもらう。あるいは、家族の担当を増やす、自分が担当する家事の一部に、外注の道を考える、といった方法がある。

家事をシェアしているはずなのにしんどい、と思っている人は、思い切ってきちんとパートナーに説明し負担の大きさを理解してもらい、外見上はパートナーがより負担しているように調整したり、外注をする分担を検討してはどうだろうか。

(文:阿古真理 編集:榊原すずみ/ハフポスト日本版)