シン・ウルトラマンに「ゾフィーの言葉」。予告に隠された要素は?特撮ファンの記者が読み解く

普段特撮の話をできる人が周りにいないので、筆が走ることこの上ない。

2021年初夏に公開予定の映画「シン・ウルトラマン」の“特報映像”が1月29日に公開され、気になる内容についてファンたちの憶測を呼んでいる。

話題作「シン・ゴジラ」を手がけたタッグでもある庵野秀明さんが企画・脚本を、樋口真嗣さんが監督を務めることもあり、公開前から話題のこの映画。今回公開された情報には、どんなヒントが隠されているのか。ウルトラシリーズファン歴約30年の筆者が見てみた。

「須賀川特撮アーカイブセンター」(福島県須賀川市)の『シン・ウルトラマン』スタチュー
「須賀川特撮アーカイブセンター」(福島県須賀川市)の『シン・ウルトラマン』スタチュー
Ⓒ2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ

まずは、円谷プロが公開したビジュアルを見てみよう。

キャッチコピーは「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」

これはもう言うまでもない。「ウルトラマン」最終回(39話)「さらばウルトラマン」に出てくるゾフィーのセリフが元になったものだろう。

無敵を誇ったウルトラマンは、最終回で宇宙恐竜・ゼットンに敗れる。そんな彼を迎えにM78星雲からゾフィーがやってくる。

「一緒に光の国へ帰ろう」と呼びかけるゾフィー。しかしウルトラマンはこれを拒否する。そもそもウルトラマンは、科学特捜隊のハヤタの乗る小型ビートルと衝突し瀕死の重傷とさせてしまったことから、自身の命を分け与え一体化していた。そのため「私が帰ったら一人の地球人が死んでしまう」とハヤタの身を案じたのだ。

そしてウルトラマンは、「私の命をハヤタにあげて地球を去りたい」「ハヤタはまだ若い。彼を犠牲にはできない」とゾフィーに申し出る。それに驚いたゾフィーが放ったのが「ウルトラマン、そんなに地球人が好きになったのか」という一言だ。

結局ゾフィーは命を2つ持ってきたことを明かし、ウルトラマンとハヤタの二人は生き続けることになった。「人間」「地球人」と少しの違いはあるものの、このキャッチコピーから、Twitterでは「ゾフィーも出るのか?」といった期待の声が上がっている。

また、写真には科学特捜隊の流星マークとよく似たバッジとIDタグ、それにハヤタが変身アイテムとして使ったベーターカプセルのような銀色に輝くアイテムがある。いずれも原作「ウルトラマン」とはややデザインが違うものの、科学特捜隊がベースになっていることは間違いなさそうだ。「シン・ウルトラマン」でも、斎藤工さん演じる主人公がベーターカプセルを掲げ変身する姿が見られるかもしれない。

怪獣の姿も公開された。映像の怪獣は、透明怪獣「ネロンガ」とウラン怪獣「ガボラ 」ではないだろうか。いずれも原作に登場した怪獣だ。

ネロンガの初登場は第3話「科特隊出撃せよ」。電気を食べる怪獣で、体を透明化させる能力を持つ。「シン・ウルトラマン」の映像でも透明化した怪獣が一瞬映り込んでおり、シルエットからネロンガと思われる。

ちなみに「ウルトラマン」が得意の電気攻撃を胸で受け止め、平然とする様子はファンの間では有名なシーン。最新シリーズの「ウルトラマンZ」にも登場するなど、記憶にも新しい怪獣だ。

「ガボラ」はウランを主食とする怪獣。顔を堅固なヒレ状の物質で覆っているのが特徴で、映像ではその素顔をのぞかせるシーンもある。

ちなみにガボラはアメリカのハリウッドを拠点に作られた「ウルトラマンパワード」にも登場。こちらでは全体的にシャープなフォルムとなり、顔も禍々しさが増すデザインとなっていて、「シン・ウルトラマン」のガボラもこちらに近いかもしれない。ちなみに「ウルトラマンパワード」の怪獣・メカニックデザインを手がけたのは今作の監督の樋口真嗣さんだ。

わずか2枚の画像と36秒の動画に詰まった「ウルトラ要素」に、ファンたちは公開が待ちきれない様子。もちろん筆者もウルトラ楽しみだ。

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