『ハリポタ』俳優、当時のアジア系差別を告白。広報担当からは「口止め」か

『ハリー・ポッター』で、ハリーの「初恋相手」のチョウ・チャン役を演じたケイティ・リューングが明かした。ファンサイトには悪意あるコメントが並び、降板を求める投票サイトもあったという。
ケイティ・リューング(2018年撮影)
ケイティ・リューング(2018年撮影)
Photo by John Phillips/John Phillips/Getty Images

映画『ハリー・ポッター』シリーズで、主人公ハリーの初恋相手チョウ・チャン役を演じた俳優のケイティ・リューング。

ポッドキャスト番組「Chinese Chippy Girl」で、同シリーズ出演時に人種差別を受けたことを明かした。リューングはアジアにルーツを持つイギリス生まれの俳優で、16歳の時から同シリーズに参加している。

『ハリー・ポッター』が制作された2001〜2011年当時は、ハリウッドの大作映画において、非白人の出演者は少なかった。

DeadlineVarietyによると、リューングの『ハリー・ポッター』出演が報じられと、撮影前の時点からファンからの反発があったという。Googleで検索して見つけたファンサイトでは、人種差別的な悪意あるコメントが多く書き込まれていた。リューングは、「私はすべてのコメントを読んだことを覚えている。その多くは人種差別的な内容だった」と当時を振り返った。

また、チョウの役を「降板すべき」との意見を集める投票サイトもあったという。

ハリー・ポッターの出演者。右から2番目がケイティ・リューング(2007年撮影)
ハリー・ポッターの出演者。右から2番目がケイティ・リューング(2007年撮影)
Photo by Jon Furniss/WireImage

リューングは、そのことを広報担当に告げるも、サポートは受けられずに、そういった差別は存在しないように振る舞うように言われたという。

「あるとき広報担当がこういったのを覚えています。『噂になっているそのウェブサイトのことは、見なかったことにしてほしい。それについて尋ねられた時は、それは事実ではないと答えてほしい』と」

Peopleによると、リューングの言う「広報担当」が、彼女が所属するエージェントのことなのか、制作会社であるワーナー・ブラザースの広報担当なのかということについては明らかになっていない。

リューングは「このキャストに選ばれたことは本当に感謝しています。しかしながら、当時はあまりにもつらかったのです」と心境を明かした。

『スター・ウォーズ』俳優も、差別の経験明かす

作品出演時に人種差別的な攻撃を受けた経験を明かした俳優は、リューングだけではない。ディズニー映画『ラーヤと龍の王国』で主演声優を務めるケリー・マリー・トランもその1人だ。

ケリー・マリー・トラン
ケリー・マリー・トラン
Getty Image

トランは、『スター・ウォーズ』に出演した際、ネット上で人種差別や誹謗中傷を受けていた過去を明かしている。トランのインスタグラム(現在は削除)の投稿に、演じた役への批判や、容姿や人種、性別をめぐる差別的なコメントがあった。

トランは2018年8月、ニューヨーク・タイムズにその時の経験について明かしたエッセイを寄稿。「非白人の子どもたちが、白人になることを夢見て育つことや、女性が容姿や言動に対して厳しく指摘されることもなく、人種や性別、宗教、社会的地位、性的指向などにかかわらず、誰もが同じ人間として尊重される世界を願ってやまない」などとつづった。

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