振付師・MIKIKOさんが開会式演出チームから「排除された」と文春報道。組織委は何と答えたのか

週刊文春は、振付師のMIKIKOさんが「演出チームから排除された」とも伝えている。組織委はどう答えたのか。
振付師のMIKIKOさん、組織委の武藤敏郎事務総長
振付師のMIKIKOさん、組織委の武藤敏郎事務総長
時事通信社 / Getty Images

東京オリンピック・パラリンピック開閉会式の演出の総合統括を務めていたクリエイティブディレクターの佐々木宏さんが、渡辺直美さんの容姿を侮辱するような企画を提案していたと週刊文春が報じた問題。東京2020組織委員会は3月18日に会見を開き、佐々木さんの辞任を発表した。

週刊文春は、オリンピックの開閉会式の責任者を務めていた振付師のMIKIKOさんが「演出チームから排除された」とも伝えている。会見に出席した武藤敏郎事務総長はこうした報道について、「MIKIKOさんの気持ちは私から言うのは適切ではない」などと述べるにとどめ、詳しくは回答しなかった。

「MIKIKOさんを排除」文春が報道

週刊文春によると、MIKIKOさんはオリンピック開閉会式演出の「執行責任者」を2019年6月から担当。

しかし、2020年3月に大会延期が決まり、佐々木さんが新型コロナの「緊急対策リーダー」に指名されたことをきっかけにMIKIKOさんは責任者から降ろされ、MIKIKOさんが中心となって進めていた企画案が白紙になったという。

週刊文春は、MIKIKOさんが演出チームから「排除」され、結果的に自ら辞任届を提出したと報じている。スタッフの話として、ストレスで体調を崩したとも伝えられた。

佐々木さんはこうした報道について、自身の声明で、「前任者の企画を乗っ取ったかのような内容は、事実ではないと思います」「MIKIKOさんを中⼼に考えられていた開会式プランは、私が⽩紙化した事実はなく」などと否定している

「MIKIKOさんの気持ちは私から言うのは適切ではない」

武藤事務総長
武藤事務総長
Pool via Getty Images

組織委の会見では、MIKIKOさんの辞任をめぐる経緯についても質問が及んだ。

組織委の武藤事務総長は、MIKIKOさんがオリンピックの開閉会式演出の執行責任者を務めていたことや、大会延期に伴い佐々木さんが統括する体制に変更になったことを説明。

MIKIKOさん本人から辞意の表明があったことも認めた。

一方で辞任の理由については、「自分が引き続きやっていくという考え方について、納得をされない何かがあるという趣旨だったと思います」と述べたが、「MIKIKOさんの気持ちは私から言うのは適切ではない」として詳しく説明はしなかった。

また、「演出チームから排除された」との報道については、「(演出メンバー)それぞれ思いがありますので、これが事実だとか、それが事実じゃないと申し上げる立場にない」と述べるにとどめた。

関連の質疑応答は以下の通り。

ーーMIKIKOさんが辞意を表明した経緯は

MIKIKOさんから辞意の表明があるというのは事実なんですけれども、我々は慰留をいたしました。ぜひ残っていただいて従来通りやってほしいということを述べました。そういう状況の中で、MIKIKOさんのお考えを私の方からお伝えするのはかえってプライバシーに不利益なことを与えるのではないかと思いました。MIKIKOさんが発表されるのであれば話は別ですけれども、我々から発表する立場にないということであります。

ーー文春オンラインではMIKIKOさんが体制から排除されたという趣旨で記事が書かれている。事実なのか、事実ではないのか

7人のクリエイティブディレクターは高い頻度で色々な意見交換をされています。それ全体が一つのクリエイティブな演出企画の作業でありますので、組織委はその中に立ち入らないようにするように控えておりました。その中でメンバーの中に色々な思いがあるということは、そこにむしろ立ち入らないのが我々の考え方ということでやってきましたので、あそこに書かれていることはそれぞれ思いがありますので、これが事実だとか、それが事実じゃないと申し上げる立場にないと考えています。

ーーMIKIKOさんが辞任を表明した理由は

これはMIKIKOさんがどのように思ったかということですので、MIKIKOさんからお話しするのが筋で、私から申し上げるべきことではないと思います。

ただなぜそういう気持ちになったかは、状況が変化していく中で、MIKIKOさんがそのようにお感じになったということじゃないでしょうか。

ーー(昨日の報道があってから)MIKIKOさんに話は聞いたか

MIKIKOさんに伺うべきことはなかったという風に思います。

ーーMIKIKOさんの辞任理由は。それを話せないのであれば、そういう状況に陥っている演出チームについて事務総長はどういう風に受け止めていたのか

MIKIKOさんの気持ちをお尋ねになったので、MIKIKOさんの気持ちは私から言うのは適切ではない。MIKIKOさんがチームの中で一緒にやっていくことが困難だと感じられたからこのようなことになっている。その状況は我々も了解をしています。

しかし、メンバーそれぞれのお気持ちということになりますと、そこまで我々が立ち入るのは控えたほうがいいのではないかというのが先ほど申し上げた趣旨でございます。

ーー事務総長に辞意を届けられた時は、理由について(MIKIKOさんから)説明はなかったのか?

MIKIKOさんとしての理由は述べられました。要するに、自分が引き続きやっていくという考え方について、納得をされない何かがあるという趣旨だったと思います。

しかし、それは色々な様々な理由があって、佐々木さんの謝罪文にもその辺りのことが書かれているわけですけれども、そういうお互いの話し合いの中で理解されるべきことであって、どういう気持ちでそれぞれの方が何を考えて何に不満があるかということになると、それは7人の中でご議論をしていただく。

演出企画に関係してのことですので、まさにそれが7人のやるべき仕事でありまして、我々が介入するのは控えたほうがいいというのが我々の考え方です。

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