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2021年05月01日 16時37分 JST | 更新 2021年05月01日 18時08分 JST

メルカリが「卵子凍結」する社員を支援。配偶者・パートナーも対象

利用を推奨するものではなく、あくまで社員の生き方や働き方の選択肢を広げるための制度で、たくさんある制度のうちの一つという位置づけだという。

メルカリ
メルカリのオフィス

メルカリは5月1日、卵子凍結保存を補助する社内制度を試験導入した

社員の配偶者やパートナーを含む全社員が対象で、社内の反応を見ながら今後の継続を決めるという。

企業が卵子凍結を後押しすることに対しては、懸念の声もある。

メルカリと2015年から制度を導入しているサニーサイドアップの担当者に話を聞いた。

 

2015年に導入したサニーサイドアップは、社内勉強会

メルカリが今回導入する「卵子凍結支援制度」は、採卵や凍結保存、凍結卵子融解、体外受精や顕微授精までの妊活に関する費用について、1子当たり200万円を上限に会社が負担する。

最終的に凍結した卵子を使用しなかったり、妊娠や出産に至らなかったりした場合も費用の返還は求めない。

卵子凍結は女性の選択肢を広げる技術として注目を集めているが、凍結保存しても必ず妊娠できるわけではなく、女性の健康へのリスクも指摘されている。

広報担当者は「シリコンバレー系の企業で導入が進んでいることもあり、キャリア形成やライフプランを考えるうえで、社員に幅広い選択肢を提供することが目的です。利用をすすめるわけではありません」と話す。

アメリカでは、AppleやFacebookが女性従業員を対象に、卵子凍結にかかる費用の一部を補助する制度を取り入れている

日本では2015年7月、PR会社「サニーサイドアップ」がいち早く卵子凍結補助を打ち出した。同社では、採卵や凍結、保存などの費用のうち30%を10年間を上限に、会社が負担している。

これまでの利用者は若干名。卵子凍結のメリットとデメリット、医学的なリスクについて、専門家を招いた社内勉強会も行っているという。

 

「会社が利用を推奨するものではない」

Science Photo Library via Getty Images
卵子凍結保存のイメージ写真

 企業が卵子凍結を後押しする動きを懸念する声もある。

『近未来の<子づくり>を考える 不妊治療のゆくえ』の著者で、産婦人科医の久具宏司さんは、ハフポスト日本版のインタビューに対し、卵子凍結をめぐる企業と女性の利害は一致するが、それが女性に対する「圧力」にもなりかねないなどのリスクを指摘していた。

サニーサイドアップの担当者も、卵子凍結補助について「会社として制度の利用を推奨するものではないし、そうするべきでもない」と語る。

サニーサイドアップには「失恋休暇」や「離婚休暇」、会社が社員の書籍代を補助する制度もある。

メルカリも、社員本人やパートナー、ペットなどの病気や怪我を理由とした10日間の休暇制度「Sick Leave(シックリーブ)」など、様々な働き方やスキルアップを補助する多様な仕組みが整っている。

両社とも、あくまで社員の生き方や働き方の選択肢を広げるための制度で、たくさんある制度のうちの一つという位置づけだという。

卵子凍結保存とは?

卵巣から卵子を採り出し(採卵)、特殊な保護液に浸した上で、ストロー状のチューブに入れて、超低温の液体窒素に入れて凍結する。ほぼ機能を保った上で、半永久的に保存できる。妊娠する際は、体外受精または顕微授精が必要となる。

結婚や出産の年齢が上がっていることを背景に、医学的な理由ではなく、将来の妊娠に備えて若いうちに卵子を凍結保存しようという「ノンメディカル」な凍結保存への関心が高まっている。