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2021年05月03日 11時40分 JST

「許せない」「毎日心が痛い」世界40都市のミャンマー人、一斉デモ

黒っぽい服装で国軍の弾圧で犠牲になった多くの人を追悼し、3本の指を赤く染めた手袋で抵抗の意を示した。

朝日新聞社
ミャンマー国軍による市民への弾圧で多くの血が流れていることに抗議するため、指先が赤い手袋をしてデモに臨む人たち=2021年5月2日午前10時13分、東京都千代田区、井手さゆり撮影

「毎日心が痛い」世界40都市のミャンマー人、一斉デモ

 ミャンマーの軍事クーデターから3カ月が過ぎた2日、世界各地に住むミャンマー人らが一斉に国軍への抗議活動をし、拘束されたアウンサンスーチー氏らの解放や、民主派が樹立を宣言した「統一政府(NUG)」への支持などを訴えた。日本でも東京、名古屋、神戸など各地で行われ、東京では約3千人(主催者発表)が参加した。

 日本の主催者によると、各地に住むミャンマー人の若者らがSNSを通じて、ミャンマーのほか、米国、英国、豪州、台湾など17の国・地域の計40都市でデモの実施を呼びかけた。参加者は抵抗の意思を示す3本指を掲げて抗議した。

 ミャンマーでは最大都市ヤンゴン、第2の都市マンダレーなど各地でデモがあった。ヤンゴンでは朝から通りに大勢の若者らが集まり、行進した。弾圧の強化で最近は目立ったデモが見られなくなっていたが、この日は一斉行動の呼びかけに応じ、多くの市民が危険を覚悟で街頭に出た。

 ロイター通信によると、治安部隊の発砲で少なくとも7人が死亡した。SNSには、治安部隊に拘束されたとする市民の写真などが流れている。現地の人権団体「政治犯支援協会」によるとクーデター以降、1日までに殺害された市民は759人に上る。

■日本各地で広がる抗議

 都内のデモに参加した飲食業のインマートェーさん(29)には「ミャンマー国民が軍から暴力を受けているのは許せない」との思いがある。ヤンゴンに住む家族は収入が減り、生活が苦しくなったという。「今日は世界中の仲間が一緒にデモをして心強いし、うれしい。私も日本から声をあげ続ける」と話した。

 日本のデモの主催者の一人、スェイさん(28)は「世界のミャンマー人が一丸となって国軍を認めない意思を示すためにデモをした。日本政府には国軍の暴力や人権侵害を止めさせ、軍に流れる公的資金の停止など具体的な行動を求めたい」と話した。

 神戸市では、関西に住むミャンマー人ら約350人(主催者発表)が集まって国軍に抗議の声を上げた。支援団体などでつくる「ミャンマークーデター抗議西日本実行委員会」が主催した。

 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言下のため、予定していたデモ行進は取りやめに。雨が降るなか、参加者は神戸市中央区の公園で間隔をあけて並び、抗議を示す3本指を赤く塗った手袋をはめて「私たちのリーダーを解放せよ」などと叫んだ。日本政府には、スーチー氏の支持派が樹立を宣言した統一政府を正式なミャンマー政府として認めることなどを求めた。

 参加した大阪市の留学生パパトゥンさん(28)は、2月に2年間の留学期間を終えて帰国する予定だったが、混乱が長引いているため留学を延長しているという。「毎日心が痛い。自分の将来やミャンマーにいる家族、市民、全てが心配です」と話した。

 名古屋市でも東海地方在住のミャンマー人ら約300人が集会を開き、国軍に抗議した。新型コロナウイルスの感染対策で距離をとって整列。黒っぽい服装で国軍の弾圧で犠牲になった多くの人を追悼し、3本の指を赤く染めた手袋で抵抗の意を示した。

 集会では、1988年の民主化運動の際に市民らの抵抗の象徴になっていたという歌を歌った。「軍事政権を許さない」との意味が込められているという。主催者の一人、シトゥサンさん(26)は集会の目的を民主派が新たに結成した統一政府への支援だとし、「日本の人、名古屋の人にミャンマーのことをもっと知ってほしい。国際社会が支援し、弾圧をやめさせてほしい」と語った。(福山亜希=バンコク、笠原真、鈴木春香、東谷晃平)

(朝日新聞デジタル 2021年05月02日 23時23分)

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