「峠の釜めし」おぎのや長野店が閉店へ。観光バスの需要減少、新型コロナが追い討ちに

「思い出の場所が…」と悲しみの声。他の店舗は営業を継続し、今後は観光以外の分野での展開にも力を入れるという。
峠の釜めし
峠の釜めし
荻野屋公式サイトより

弁当「峠の釜めし」の販売で知られる荻野屋(群馬県安中市)は5月13日、ドライブイン「おぎのや 長野店」(長野県長野市)を8月31日で閉店すると発表した

長野店は1997年1月にオープン。上信越自動車道長野インター近くに位置し、峠の釜めしをはじめ、おやきや信州そばなど長野県名物を含めた土産物や食事を販売してきた。観光バスを誘致して食事を提供するなどしており、1000人が一度に利用できるスペースもあった。

荻野屋によると、2010年代ごろから観光バスの需要が右肩下がりとなり、ドライブインの営業は徐々に厳しくなっていた。さらに、新型コロナウイルスが感染拡大して以降は「ほとんど観光バスが来なくなった」という。

東京や埼玉、千葉県からの客が多かったこともあり、首都圏に緊急事態宣言が出るたびに時短営業などの対策を行い、客数が減ったことに合わせて店内で製造・販売していたおやきも製造をやめるなどして対応してきた。

緊急事態宣言が出されていない期間にはマイカーの客が戻った時期もあったが、観光バスは戻らないまま。一般の地元客が日常的に利用する業態ではないことも影響したという。

担当者は「新型コロナだけが原因というわけではないが、もともと観光バスの需要が落ちていたところへの追い討ちになった」と説明する。

「おぎのや 長野店」以外の既存店舗は、ドライブインの2店舗を含め全て営業を継続。その上で、「今後は観光以外の分野での事業展開にも力を入れる予定」としている。

長野店の閉店はTwitter上でも大きな話題となり、「寂しくなるな」「小中学校の林間学校の帰り道だいたいここの釜飯がお昼ご飯だった」「子供が小さい時に寄らせてもらった」「思い出の場所が…」といった悲しみの声や、「ここまで追い詰められてるとは思わなかった」など驚きの声が上がっていた。

注目記事