レゴ、使用済みペットボトルを再利用したブロックを開発。子どもたちからの要望を反映

1リットルのペットボトルから、2×4型のレゴブロック10個分の原材料がとれるという。
サステナブル・ブランド

デンマークの玩具メーカー「レゴ」は23日、使用済みのペットボトルを再利用したレゴブロックの試作品を発表した。年間約10万トンの石油由来プラスチックを使用する同社は、2030年までにすべてのパーツを持続可能な資源からできたプラスチックに変える目標を掲げる。ロイターによると、2年以内にこのリサイクル素材を使った製品の発売を目指すという。同社は2020年からの3年間で、気候変動対策などを含むサステナビリティに関する取り組みを加速させるため、最大4億ドル(約444億円)を投じる方針を明かしている。(サステナブル・ブランド ジャパン=小松遥香)

レゴはSDGsが国連で採択された2015年、レゴのすべてのパーツを2030年までに持続可能な資源由来のプラスチックにするという目標を掲げた。

2018年には、サトウキビ由来のバイオポリエチレン製プラスチックを、木や葉などのサイズが小さく柔らかいパーツに採用した。現在では100種類以上のパーツに使われ、今後数年間で少なくともその2倍の数のパーツに使用する計画だ。一方で、バイオポリエチレン製プラスチックは既存のレゴブロックよりも強度が弱く、今回のリサイクル素材の開発に至ったという。

Maria Tuxen Hedegaard

2020年には、2025年までにすべての包装材を持続可能な素材でつくると発表した。今年からの4年間で段階的に、製品の内袋に使われているビニール製の袋を、持続可能な方法で調達された木材に与えられるFSC認証を取得したリサイクル可能な紙袋に変えていく。同社のニールス・B・クリスチャンセンCEOはこの転換の背景について、「子どもたちから、使い捨てプラスチック包装をなくして欲しいという内容の手紙をたくさんもらった。これまでも代替品を探していたが、子どもたちの情熱とアイデアに触発され変化を起こし始めた」とコメントしている。

ALLAN RINGGAARD

使用済みペットボトルを使った試作品は、デンマークにある本社のサステナブル・マテリアル・チームが開発した。持続可能な素材の研究・開発には150人以上が携わっているという。

同社は、持続可能な素材の条件について、再生可能もしくはリサイクル素材を使って責任を持って生産されること、廃棄物がほとんど発生しないこと、持続可能な化学物質を使用していること、製品寿命が尽きた時に完全にリサイクル可能なこと、を挙げている。

試作品のリサイクル素材は、米国食品医薬品局(FDA)および欧州食品安全機関(EFSA)による品質保証を受けた米国のサプライヤーから調達。1リットルのペットボトルから、2×4型のレゴブロック10個分の原材料がとれるという。

耐久性を強化する再生ペット樹脂と強化添加剤の配合は特許を出願中だ。同社がこれまでの60年以上にわたってつくってきたレゴブロックと同等の耐久性と強度、品質に優れた製品を開発するために、ブロックの色や形にバリエーションを持たせるテスト、成型時の品質テストを行うなど開発を進め、試験生産段階に踏み込むかを決めていく。市場への投入には18―24カ月間を見込むとロイターは報じている。

同社の環境責任およびサステナブル・マテリアルズ・センターの責任者ティム・ブルックス氏は、「子どもたちは環境に関心を持ち、製品をより持続可能なものにすることを望んでいる。私たちの取り組みを子どもたちに伝え、実現までの道のりを一緒に歩んでもらいたい。実験や失敗は、学習やイノベーションの重要な要素。子どもたちが家でレゴブロックを使って組み立てたり、崩したり、組み換えたりするように、私たちも研究所で同じことをしている。遊び心を刺激するだけでなく、使用する素材によっても、地球に良い影響を与えたい」と話している。

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