「車内熱中症」の怖さ、知っていますか?気温25℃以下でも、車内は危険な状態に

厳しい暑さが続くこの季節、意外と見落とされがちなのが「車内熱中症」です。「小さな子どもやペットを車内に残すことは、少しの時間であってもやめてほしい」とJAFは呼びかけています。
ウェザーニュース

多くのエリアで梅雨明けし、早速厳しい暑さが続いています。猛暑となると、気をつけたいのが熱中症。各方面で注意喚起の呼びかけが行われていますが、意外と見落としがちなのが車内での熱中症です。

室内に比べて車内がどれほど危険な温度になるのか、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)がデータを公表しているので紹介します。

炎天下で車内の温度はどうなるか

真夏の車内温度を調べたJAFユーザーテストによると、炎天下(35℃)の屋外に止めたミニバンの中は、1時間後に50℃を超えました。このときに行われたのは3種類のテストです。

【テスト1】サンシェード装着などの対策で、車内温度の上昇は防げるか?

車内温度の変化
車内温度の変化
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結果は、何も対策をしていない車(ボディカラー黒)の車内温度がいちばん高くなりましたが(最高57℃)、サンシェード装着や窓開け(3cm)を行っても温度抑制効果は低く、いずれも人が耐えられない温度になりました。

炎天下で車内温度を抑制できたのは、エアコン作動車だけでした。

【テスト2】短時間であれば子どもを車内に残しても安全か?

エアコン停止からわずか15分で、熱中症指数は危険レベルに達しました。特に乳幼児(高齢者も同様)は体温調整機能が低いので、寝ているなどの理由で車内に残してはいけません。

【テスト3】ダッシュボードにものを置いても大丈夫か?

車内温度の変化
車内温度の変化
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ダッシュボード、ハンドル、シートベルトの金具などは車内温度よりさらに高温になり、火傷の危険があることがわかりました。

気温25℃以下でもこんなに危険

では、炎天下ではなく快適な気温のときでも、屋外に止めた車の中は危険なのでしょうか。それを調べる実験が、先日JAF山形支部で行われました。

当日の天候は、晴れ時々曇りで、気温は23.6~24.1℃。適度な風があり、過ごしやすい天候でした。日陰に停めた車を直射日光が当たる場所へ移動させ、エンジンを止めて窓ガラスを閉め、車内温度の変化を計測するという実験でした。

その結果、車内の温度は1時間後に43.5℃まで上昇しました。その瞬間の外気温は23.7℃。なんと約20℃の差が出たのです。高温になりやすいダッシュボードは最高74.1℃まで上がりました。

開始10分程度でダッシュボード上のクレヨンが溶け始めた(画像提供/JAF山形支部)
開始10分程度でダッシュボード上のクレヨンが溶け始めた(画像提供/JAF山形支部)
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「外が快適な気温でも車内は高温になりやすく、熱中症の危険がある。小さな子どもやペットを車内に残すことは、少しの時間であってもやめてほしい」とJAF山形支部は呼びかけています。

「大きな車だから安心」は大間違い

軽ワゴンとSUV。車内温度が上がりやすいのは?
軽ワゴンとSUV。車内温度が上がりやすいのは?
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「ミニバンだから車内温度が高くなる。大型車ならそれほど危険はないだろう」という意見もありそうです。JAFは、軽ワゴン車と大型SUVの車内温度を比較する検証も行っています(外気温23.3~24.4℃)。

その結果は、「テスト開始1時間後に大型SUVの車内温度は43.5℃になり、軽ワゴン車より6℃高くなった」というものでした。

大型SUVは軽ワゴン車よりフロントガラスの面積が広く角度が浅いため、直射日光が当たりやすいことが原因と考えられます。

毎年繰り返される「車内に残された乳幼児、熱中症で死亡」のニュース。わずかな時間でも車内熱中症は起こり得ることを肝に銘じましょう。

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