「金メダル2つくれないか?」走り高跳び選手は金メダルを分け合った

東京オリンピックの男子走り高跳びで2人に金。優勝決定戦をしないで、金メダルを分け合った。
金メダルを分け合い、抱き合う2選手
金メダルを分け合い、抱き合う2選手
Richard Heathcote via Getty Images

東京オリンピックの男子走り高跳びで、金メダリストが2人同時に誕生する出来事があった。

金メダリストになったのは、ムタズエサ・バルシム選手(カタール)とジャンマルコ・タンベリ選手(イタリア)。同じ2メートル37センチの高さを飛んで1位で並んだ後、優勝決定戦をしないで、金メダルを分け合うことを選択した。

「金メダル2つくれないか?」と提案

バルシム選手とタンベリ選手はそれぞれ、2メートル37センチのジャンプを成功した後、次の2メートル39センチは失敗。別のもう一人の選手も同じ結果だったが、それまでのジャンプ失敗数の差で、勝負は2人に絞られた。

CBCによると、審判は2人に優勝決定戦を勧めたが、バルシム選手は「私たちに金メダルを2つもらえないか?」と提案。審判がうなづくと、2人は手を取り、抱きしめ合って喜んだ。2人の金メダリストが誕生した。

走り高跳びでは、1位についてのみ、決着がつくまで1本づつ跳ぶ優勝決定戦(ジャンプオフ)を実施するというルールがある。ただし「当該競技者がもうこれ以上跳躍しないと決めた場合を含みジャンプオフが実施されない場合、同成績により第1位となる」と定められている

日本オリンピック委員会(JOC)によると、1936年ベルリンオリンピックでは、日本人選手がメダルを“シェア”した例があるという。

棒高跳びの決勝で、大江季雄、西田修平両選手の記録はともに4メートル25で並んだが、「日本人同士で争うことはない」と2、3位決定戦を辞退。日本側が、先にクリアした西田選手を2位、大江選手を3位と届け出て、これが公式記録として認められたという。

帰国後、2人は銀と銅のメダルを半分に割り、つなぎ合わせたメダルに作り直した。

注目記事