トランスジェンダー選手「一切排除されない」 オリンピック次回開催国、フランスのスポーツ大臣が見解

スポーツ担当大臣のロクサナ・マラシネアヌ氏は、オリンピックにも出場経験のある元水泳選手。
新宿のプライドハウス東京を訪れたフランスのスポーツ担当大臣、ロクサナ・マラシネアヌ氏
新宿のプライドハウス東京を訪れたフランスのスポーツ担当大臣、ロクサナ・マラシネアヌ氏
Jun Tsuboike / HuffPost Japan

「性別移行をしても、スポーツから一切排除されることはない」

そう語ったのは、次回の夏季オリンピック開催国であるフランスのスポーツ担当大臣で、水泳でオリンピックにも出場経験もあるロクサナ・マラシネアヌ氏。

マラシネアヌ氏は2021年8月5日、東京・新宿区のLGBTQセンター「プライドハウス東京」を訪れ、フランスのLGBTQアスリートらとのトークイベントに登壇した。

トーク中、今大会でトランスジェンダーであることを公表している選手がオリンピック史上初めて出場したことについて見解を示した。

「性別移行を望んだ場合、それをしたからといってスポーツの世界から一切排除されることはない。子どもや競技のファン、トレーナーなどの人たちに、それが可能であるということを知ってもらいたいです」

国際オリンピック委員会(IOC)はトランスジェンダー女性選手が自認する性別の種目での出場について「血清中テストステロンレベルが一定値以下」「宣言した性自認は4年間変更不可」など、複数の条件を定めている

マラシネアヌ氏はこうしたルールの公平性については様々な議論があり、今後も注視していかなければならないと述べた。

しかし、それが決して当事者の「スポーツをやることの足枷になってはいけない」とも語った。

「誰もがスポーツに親しむことができる。そうした契機があるということは、見捨ててはいけないと思います」

多様性が尊重される「パリ2024」に

トークイベントにはゲイであることをカミングアウトしたフランスの現役アスリートらも登壇した
トークイベントにはゲイであることをカミングアウトしたフランスの現役アスリートらも登壇した
Jun Tsuboike / HuffPost Japan

トークイベントでは、フランスの現役アスリートらがカミングアウトし、自身のセクシャリティや経験について語るドキュメンタリー映画『Faut qu’on parle (私たちは話さなけばいけない)』の出演者や制作者らも登壇した。

同作品は今年6月に公開され、登場する6人のうちアストリッド・ギヤール選手(フェンシング)、セリーヌ・ドゥメルク選手(バスケットボール)、アマンディーヌ・ブシャール選手(柔道)の3人は東京オリンピックに出場している。

トークに参加したラグビーのジェレミー・クラミー・エドル選手は、ゲイであることを公表した。不安もあったが、カミングアウトが多くの人に前向きに受け止められていることで「次のシーズンはもっと頑張りたい気持ちになっています」と話した。

ゲイであることをカミングアウトしたフィギュアスケートのケビン・エイモズ選手も「開いた傷口を塞ぐことができたのではないかと思う。今まであまり口を開けなかったことを話すことで、気持ちが楽になり、自由になった気がします」と語った。

今大会でLGBTQであることを公表している出場選手数は163人と、オリンピック史上最多だ

スポーツ界には同性愛といった性のあり方が未だタブーとして扱われる問題もあるというマラシネアヌ氏。2024年夏のパリオリンピックに向けて、LGBTQアスリートや国際機関との連携などを通して多様性が尊重される環境作りを目指すと話した。

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