ムーミン、DHCとのコラボ中止へ 本国の著作権管理会社がコメント「いかなる差別も容認しません」

「ムーミンの作者であるトーベ・ヤンソンが示した価値観とはまったく相容れない」。DHCとのコラボをめぐり、本国の著作権管理会社がコメントしました。
ムーミン公式のLINEアカウントより。
ムーミン公式のLINEアカウントより。
HuffPost Japan

人気キャラクター「ムーミン」に関する著作権を管理するフィンランドの会社Moomin Characters Oy Ltdが、日本で展開されているムーミンと化粧品会社DHCのコラボレーションを中止することを明らかにした。8月24日、ハフポスト日本版のメール取材に答えた。「いかなる差別も容認しません」としている。

DHC社をめぐっては、過去に吉田嘉明会長名義で在日コリアンへの差別的な文章を公式オンラインショップに掲載していた問題で批判が殺到。8月23日、ムーミンの日本版公式TwitterアカウントなどがDHC社とのコラボ商品販売を発表しており、Twitter上で疑問視する声が相次いでいた。

ムーミン公式Twitterなどでコラボ発表

DHCは2020年11月ごろから、公式オンラインショップ上で「ヤケクソくじについて」と題した吉田会長名義の文章を掲載。文章には在日コリアンへの蔑称や差別表現が含まれ、大きな批判を受けていた。DHCは2021年6月1日までに問題の文章を削除したが、削除理由や、半年間にわたって差別的な主張を公開し続けた同社の見解について公にしていない。

ムーミンとDHCのコラボ商品発売は、8月23日、ムーミンの日本公式サイトやTwitterアカウント、LINEアカウントなどで発表された。

展開する商品は薬用リップクリームやハンドクリームで、同日から数量限定で発売するとしていた。

ムーミン公式のLINEアカウントで発表されたコラボ商品の案内
ムーミン公式のLINEアカウントで発表されたコラボ商品の案内
HuffPost Japan

「いかなる差別も容認しません」

個性豊かなキャラクターが登場する「ムーミン」は、多様性が描かれ、平和への願いが込められた作品ともいわれている。

発表を受け、TwitterではDHCとのコラボレーションを疑問視したり、批判したりするコメントが相次いだ。

その後、翌24日正午までに、コラボ商品に関するムーミン公式Twitterアカウントのツイートや、公式サイト上のページが削除された。

フィンランドでムーミンに関するすべての著作権を管理するMoomin Characters Oy Ltdは、24日、ハフポスト日本版のメール取材に回答。DHCとのコラボを中止するよう、日本の著作権管理会社に指示したことを明らかにした。

同社は、「Moomin Charactersは、この問題を深く懸念している多くのファンから連絡を受けています」とコメント。「いかなる差別も容認しません」とした上で、「日本のエージェントに対し、DHCとの提携をすべて中止するよう指示しました」と明らかにした。

Moomin Charactersのコメント全文は以下の通り。

「Moomin Charactersは、いかなる差別も容認しません。Moomin Charactersは、DHCとのコラボレーションを把握してから、日本のエージェントに対し、DHCとの提携をすべて中止するよう指示しました。この決定の背後にある理由は、同社の会長の発言が受け入れられず、ムーミンの作者であるトーベ・ヤンソンが示した価値観とはまったく相容れないものであるためです。本日、DHCとのすべての提携を中止することを公表します

【UPDATE 8/24 19:30】ムーミン日本版の公式サイトは24日、声明を発表「当社がライセンス管理をする一部製品に関しまして、皆様へ不快な思いをさせてしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。今後のライセンス許諾について、人権関連について厳しく審査するとし、「仮に認識がなく契約された場合においても、それらが判明した時点において、速やかに契約更新停止や生産終了等の働きかけをしていきます」「様々なお声をいただきましたこと、真摯に受け止めております」などとコメントした。

自治体は協定解消も

問題をめぐっては、Twitter上で「#差別企業DHCの商品は買いません」とのハッシュタグを使った不買運動が展開されたり、取引先企業であるコンビニ各社に製品取り扱いの中止を求めるオンライン署名が立ち上がったりするなど、抗議の声が広がった。

取引関係のある企業や自治体の姿勢も問われ、DHCと包括連携協定を締結していた高知県南国市は、公式サイトに掲載された文章が「差別を助長している」などとして、連携協定の解消を決定した

注目記事