茨城県は12月2日から、県内の22病院で、緊急性が認められない救急搬送について患者から選定療養費の徴収を始める。
都道府県単位での徴収制度の導入は初めてとみられ、逼迫する救急医療現場の改善につながるか注目されている。
県によると、近年は救急搬送の件数が増加傾向にあり、2023年は14万3046件のうち6万8549件(47.9%)が軽症等で、なかには緊急性の低いケースがあったという。
大井川和彦知事は7月26日の記者会見で「救急車が無料のタクシー代わりになってしまっている」と憂慮の念を示した。
では、緊急性が認められない症状とは一体どういうものが該当するのだろうか。
認められない症状とは?
ガイドラインによると、明らかに緊急性が認められない症状として以下の2点を挙げている。
①軽い切り傷のみ
②軽い擦り傷のみ
また、緊急性が低い症状としては、以下の10例を挙げている。
①微熱のみ(37.4度以下)
②虫に刺されたり、かまれたりした部分が赤くなり、痛いのみで、全身のショック症状(じんましん等)はない
③風邪の症状のみ
④打撲のみ
⑤慢性的または数日前からの歯痛
⑥慢性的または数日前からの腰痛
⑦便秘のみ
⑧何日も症状が続いていて、特に悪化したわけではない
⑨何となく体調が悪い、頭が重い、イライラするといった症状のみ
⑩眠れないのみ
料金は?
料金は、筑波大学付属病院が1万3200円▽総合病院土浦協同病院、筑波メディカルセンター病院が1万1000円▽白十字総合病院が1100円▽その他の病院が7700円ーーとなっている。
茨城県民でなくても、対象の病院に搬送され、救急車を要請した時点で緊急性が認められない場合は徴収の対象となる。
県は「緊急性のある症状については引き続き選定療養費を徴収しないので、緊急の場合はこれまで通りためらわずに救急車を要請してほしい」としている。