2025年5月20日、米・カリフォルニア州のヨセミテ国立公園で、トランスジェンダーの権利と存在を可視化する象徴的なデモンストレーションが行われたと、NBC NewsやUSA Todayが報じています。LGBTQIA+の登山家やその支援者たちで構成される団体「Trans is Natural」は、ヨセミテの名所「エル・キャピタン」の岩壁に、縦約16メートル、横約10メートルの巨大なトランスジェンダー・プライド旗を掲げました。
この行動は、トランスジェンダーの人々が「自然な存在であり、愛されるべき存在である」というメッセージを伝えることを目的としたもの。主導者のひとりであり、ドラァグクイーンで環境活動家のパティ・ゴニアさんは、「この旗が憎しみより高く掲げられるように。もう私たちはトランスの存在について丁寧に語る段階ではない。これは抗議であり、祝福でもある。どちらにせよ、解放への高まりなのです」と自身のInstagramにつづりました。
またこの団体は、トランプ政権が政府のウェブサイトから「トランスジェンダー」や「インターセックス」に関する記述を削除していることにも言及。特に、1969年のストーンウォールの反乱を記念する「ストーンウォール国定記念碑」のサイトからもその記述が削除されたことを問題視しています。この反乱は、トランスの人々も大きな役割を果たしたとされ、現代のゲイ権利運動の転機とみなされています。
旗は午前10時ごろに設置されましたが、公園当局からの要請を受け、約1時間半後の11時30分ごろに撤去されました。国立公園局は「国立公園の保護を真剣に受け止めており、その信頼性を損なう行為は容認しない」とコメントしています。一方、掲げた側は「規則違反との説明は受けていない」としています。
「パティ・ゴニア」とは?
パティ・ゴニアさんは、LGBTQIA+および環境活動家のウィン・ワイリーさんのドラァグネームです。環境とアウトドア業界でのLGBTQIA+の雇用支援を行う「Queer Outdoor and Environmental Job Board」の創設者であり、また気候教育とLGBTQIA+の連帯を推進する非営利団体「Outdoorist Oath」の共同創設者でもあります。
ゴニアさんは2024年に『TIME』誌の「次世代リーダー」に選出され、2025年には『ナショナルジオグラフィック』の「33人のチェンジメーカー」にも名を連ねました。
