
私たちはここにいる――。
東京・代々木公園で6月7、8日に開催されたLGBTQ+の権利や存在を祝福するイベント「Tokyo Pride 2025(東京プライド2025)」の2日目、50組100人の「法律上同性カップル」と支援者らがパレードを歩いた。
参加者は「令和何年になったら結婚ができるの」「ただ結婚制度を利用したいだけ」など、結婚の平等を求めるメッセージを掲げた。

この50組100人のカップルの行進を企画したのは、公益社団法人「Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に(マリフォー)」だ。
「これだけたくさんの人が結婚の平等を求めているということを形にして伝えたかった」と同団体の鹿島真人さんはハフポスト日本版の取材に語った。

私たちはここにいる
参加した福田理恵さんは、「同性カップルがいることを頭ではわかっていても、実際に知らないという人たちもいると思う。パレードを歩くことで、私たちが存在しているということを可視化し、何も変わらない人たちなんだという認識が広がるのが大事だ」と語った。
福田さんのパートナーの藤井美由紀さんも「私たちはここにいる、ということをみんなに知ってほしい。手をつないでいる私たちを見て、『幸せそうな人がいっぱいいるな』と感じてほしい」と思いを口にした。

結婚の平等が実現することを「信じている」
チカさんとダイアナさんのカップルは金沢から参加。チカさんは「声をあげないと政治家にも伝わらない。平等を求めていることをわかってもらいたくて参加しました。ハッピーな人が増えるだけと伝えたかった」と話した。
シンガポール出身のダイアナさんは「私たちは平等の権利を求めている、そのための法制化が必要と伝えるために、今日ここでみんなと一緒に歩きました。私たちの関係が法的に保障されなければ、大丈夫だと家族に納得させることも難しい」と語った。

注視はもう十分
ゴードン・ヘイワードさんと渡辺勇人さんは「注視はもう十分です」と書かれたプラカードを掲げてパレードを歩いた。
全国5カ所で行われている結婚の平等を求めている裁判では、5つの高裁すべてが同性カップルの結婚を認めていない法律は違憲と判断した。
しかしその後も、石破首相を含めた与党政治家は「最高裁の判断などを注視する」と言い続け、違憲を解消するための動きを見せていない。
ヘイワードさんと渡辺さんは約10年前にアメリカで結婚したが、日本では2人の婚姻関係は認められていない。渡辺さんは「『注視する』を逃げ言葉として使うのはもうやめてほしい」と訴えた。
「顔や名前も出して、訴える人はたくさんいる。それなのに政府が見向きもしないのはどういうことなんだろうなと思います」
結婚の平等を求めているのは、パレードを歩いたカップルだけではない。沿道で「一刻も早い同性婚法制化を望みます!」というメッセージを掲げてパレードに声援を送る人たちもいた。
このメッセージを手にしていたE・Iさんは「高裁でも同性婚できないことは憲法違反という判決がでているのに、政府はずっと注視と言っている。結婚できないのはおかしい、国はおかしいと思っていることを伝えるためにこれを持ってきました」と語った。

性的マイノリティは平等な存在
これまでに39の国や地域で、同性間の結婚が認められている。
日本の法律上同性カップルは結婚制度を利用できず、病院で家族として扱ってもらえない、親権や相続権がない、配偶者ビザが取得できないなど、日々の生活で困難に直面している。
鹿島さんは、結婚の平等はこれらの困難の解消だけではなく「平等な存在だ」と伝えているためのものでもあると話す。
「結婚が認められていないことでLGBTQ全体の存在が無視され、2級市民として扱われている。それは差別で、尊厳が奪われている。その差別を解消して、当たり前の存在として生活をしたいということを伝えたい」

鹿島さんは、結婚の平等の実現は若い世代へ希望を与える、とも強調した。
「自分が同性愛者だからと将来を見通せず、絶望している子どももいます。結婚するしないはそれぞれの選択ですが、結婚の平等が実現すれば、自分たちも制度に含まれているんだ、生きていてもいいんだと思えるようになる人がいます。それがとても大事なことなんです」
8日に行われた東京プライドのパレードには、1万5千人が参加。思い思いのファッションを身にまとい、プライドフラッグや、「結婚の自由をすべての人に」「Trans Rights=Human Rights」「みんなが選べるように、私たちも選びたい」など、メッセージカードを掲げて渋谷や原宿の街を歩き、性的マイノリティの権利保障を求めた。
