
システムエンジニア(SE)やプログラマー、ネットワークエンジニアやセールスエンジニアなどのITエンジニアの転職において、進め方は大きく分けて3種類あります。
3種類とは転職エージェントを使って転職サポートを受ける方法、直接応募型サイトを使って自分の裁量で進める方法、そしてスカウト型サイトに経歴を登録してヘッドハンティングされる方法です。
どの方法がいいのかは人によって異なりますので、それぞれの進め方を人気の転職サービスを交えて紹介していきます。
転職サイトの種類とITエンジニア求人数
転職エージェントを利用する場合

転職エージェントを利用する場合、キャリアアドバイザーなどによるサポートを受けながら転職活動を進めていくことになります。勧められた求人が自分に合っているかはしっかりと検討する必要がありますが、面談(キャリアカウンセリング)、求人紹介、応募書類添削、日程調整、条件交渉、退職アドバイスなどの支援を無料で受けることができます。
ITエンジニアに人気の転職エージェントのいくつかをピックアップして、公開求人数を比較してみます。
上表の公開求人数の数値は、ITエンジニアにおける公開求人数の比較です(募集を終了した求人は除いています)。いずれの転職エージェントにおいても、ITエンジニア向けの求人は高年収を提示している割合が比較的高いです。
また、転職エージェントにはサイト上に掲載されていない「非公開求人」が多いのも特長です。たとえばパソナキャリアの場合、非公開求人は求人全体の8割程度を占めているとサイト上に記されています。また、そのほかの転職エージェントにおいても非公開求人は公開求人の数倍の数にのぼることもあります。そのため、後述の直接応募型の転職サイトと比べると求人が豊富である場合も多いです。
直接応募型転職サイトを利用する場合

直接応募型の転職サイトを使って転職活動をする場合、自分自身で求人を探し、自ら応募して面接日を調整し、条件交渉をしつつ転職をするという流れになります。エージェントと比べ、より自分のペースで転職活動を進めやすいですが、現実的な転職先の絞り込みを自分の裁量で行う必要が出てきます。そのため、より客観的に自分の市場価値を把握する必要があります。
ITエンジニアの転職において直接応募型転職サイトを使う場合、代表的なサービスを紹介します。
上表の公開求人数の数値は、ITエンジニアにおける公開求人数の比較です。
非公開求人を考慮に入れた場合、転職エージェントの求人数にはやや劣る傾向がありますが、上表で取り上げた2社は潤沢な求人案件を保有していることが分かります。
スカウト型転職サイトを利用する場合

スカウト型(ヘッドハンティング型)転職サイトを利用する場合、まずは経歴やスキルなどを登録し、その後、企業や企業が提携する転職エージェントあるいはヘッドハンターからのスカウトを受け取り、やりとりをするなかで面談や企業面接へと進んでいく流れになります。
スカウト型転職サイトをITエンジニアが活用する場合、以下のサービスが代表的です。
上の公開求人数の数値はいずれも「IT技術者」に絞った件数を表示しています。スカウト型の転職サイトにおいては、専門的な知識や経験のある即戦力人材をメインターゲットにしています。そのため、高年収の求人の割合も必然的に高くなります。
3つの方法、どれがいい?
転職を進めていくには、おもに以上の3種類の方法がありますが、基本的には転職者本人の状況に合わせて使い分けていくのが望ましいと言えます。
いずれの方法であっても、上で挙げた転職サービスを使えば、求人の選択肢の幅もある程度ありますし、状況に応じてそれぞれのサービスを併用してみるのも手です。
ITエンジニアをさらに細分化し、転職サービス比較
次に、ITエンジニアをさらに細分化し、転職サービスを比較してみます。以下のリストからそれぞれの比較項目へジャンプすることができます。
まずは開発エンジニアの転職サービスを比較します。ここでいう開発エンジニアとは、「アプリエンジニア」「Webエンジニア」「ゲームエンジニア」「プログラマー」「エンベデッド(組込・制御系)エンジニア」「マークアップエンジニア」「フロントエンドエンジニア」「テストエンジニア」などを含んでいます。
転職エージェント
(2022年1月時点)
※1 リクルートエージェントとレバテックキャリアは通常の検索で募集終了求人も含まれてしまうため、それらを除いた公開求人数
※2 dodaはエージェント経由の求人のみの数
直接応募型転職サイト
(2022年1月時点)
※ dodaは企業に直接応募する求人のみの数
なお、直接応募型のサイトにおいてはいずれも、他で掲載されていない求人も豊富です。たとえ求人数が少ないサイトでも、自分の求めていた条件で転職先が見つかる可能性もありますので、メインで利用するサイトとは別に、時々チェックする他のサイトも頭に入れておくのが望ましいです。自分好みの条件を指定した検索結果画面をブックマークしておくとリロードするだけで最新情報にアクセスできるのでおすすめです。
スカウト型転職サイト
(2022年1月時点)
※ 括弧内は「年収応相談」の求人を含んだ数
いずれのサービスを利用するにも、しっかりと職務経歴書を作り込むことが大切です。そうすることで、ヘッドハンティングの精度も高まり、より自分自身に合った転職先に巡り合える可能性も高まります。
そのために、今まで培ってきた経験やそこから生まれた成果は具体的に、人数や期間などの数字を、自分自身が担った役割とともに記載することが望ましいです。
開発エンジニアとして求められるスキル
開発エンジニアにとって必要なスキルとして欠かせないのが、言うまでもなくプログラミングスキルです。Web系か業務系か、あるいは組み込み系かなどによって必要となる開発言語は異なりますが、いずれにおいても経験年数が長いほど評価されやすい傾向があります。それに加えてクライアントやプロジェクトメンバーとの間で必要になるコミュニケーション能力も必要になってきます。
開発エンジニアのキャリアパス
システムエンジニアは、今後の需要拡大も相まってさまざまなキャリアパスが考えられます。より責任のある立場を任されプロジェクトマネージャーになることもありますし、独立してフリーランスとして働く人もいます。また、ITスペシャリストとして大規模案件を支える道もあります。興味関心によっては、AIやIoT、ARやVRなどの需要が高まりそうな分野への転職も考えることができます。
開発エンジニアの将来性
次に、プロジェクト管理を担う人向けの転職サービス比較です。ここでは「プロジェクトマネージャー」「プロジェクトリーダー」「ブリッジSE」などが集計対象となっています。
転職エージェント
(2022年1月時点)
※ リクルートエージェントの求人検索において「プロジェクトマネージャー」は、「職種」ではなく「スキル」にありますが、この条件を指定すると求人数が極端に少なくなり、実態から遠いと判断しました。そのため、職種に「SE・ITエンジニア」を指定し、キーワードに「プロジェクトマネージャー」を入力して検索し、募集終了を除いた公開求人数を表示しています。
より高いマネジメントスキルや責任感が求められるプロジェクトマネージャーなどの職種においては、高年収求人の割合も軒並み高くなっているのが分かります。
利用にあたっては、求人の多い大手エージェントと専門分野に長けている特化型エージェントを、1社ずつ登録してみることもおすすめです。そのなかでより親身で要望に沿った提案をしてくれる担当者から、サイト上には掲載されていない非公開求人を紹介してもらうといった進め方もできます。特に検索機能だけでは絞り込みが難しい細かな要望は、キャリアアドバイザーに相談するのが望ましいです。
直接応募型転職サイト
(2022年1月時点)
※ dodaは企業に直接応募する求人のみの数
Greenは「気になる」ボタンを押すことでその求人に関心があることを簡単に伝えることができ、マッチングした場合は面接前の「カジュアル面談」へ進むこともできます。自分のスキルに自信がある場合は、プロフィールを作り込んだうえで「気になる」機能を活用してみるのも効率的です。
スカウト型転職サイト
(2022年1月時点)
※ 括弧内は「年収応相談」の求人を含んだ数
プロジェクト管理を担う求人の場合、企業や企業が提携するヘッドハンターからスカウトを受ける流れも一般的です。
プロジェクト管理をするうえで求められるスキル
プロジェクトマネージャーなどの取りまとめを行う役職は、大きな責任が伴います。マネジメント能力も必要となり、プログラマーやSEなどの作業工程の進捗を把握しつつ、クライアントが求めている水準になるようプロジェクト全体を調整していきます。そのうえで、クライアントと関係スタッフ双方の要望を満たせる方法を模索する調整力や交渉力も求められます。
SEだった人が経験を積んでいくなかで、徐々に責任のある役割を任されるようになり、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーになる例も多いです。
インフラエンジニア向けの転職サービスを比較していきます。ここでは「サーバーエンジニア」「ネットワークエンジニア」「セキュリティエンジニア」「データベースエンジニア」などを含んでいます。
転職エージェント
(2022年1月時点)
※1 リクルートエージェントとレバテックキャリアは通常の検索で募集終了求人も含まれてしまうため、それらを除いた公開求人数
※2 dodaはエージェント経由の求人のみの数
直接応募型転職サイト
※ dodaは企業に直接応募する求人のみの数
スカウト型転職サイト
(2022年1月時点)
※ 括弧内は「年収応相談」の求人を含んだ数
インフラエンジニアとして求められるスキル
インフラエンジニアはサーバーやネットワークの構築、保守・運用、セキュリティ対策などの業務を行うため、Windows系またはUnix系(Linuxなど)のOSにおけるサーバー知識・スキルが不可欠となります。また、設計スキルやネットワークの知識、セキュリティやサーバー、クラウドサーバーに関するスキルも高めておきたいところです。サーバー上で動作するプログラムを構築するための技術力があるとなお良いです。
インフラエンジニアの将来性
クラウドが普及してきた昨今、インフラエンジニアに求められるものも変わりつつあります。物理サーバーを扱う求人も依然多くもありますが、時代の変化の可能性にも目を向け、AWSやAzureの実務経験も蓄えておきたいところです。
営業系エンジニア向けの転職サービス比較をしていきます。「セールスエンジニア」「プリセールスエンジニア」などの職種条件を指定したときの公開求人件数です。
転職エージェント
(2022年1月時点)
※1 リクルートエージェントとレバテックキャリアは通常の検索で募集終了求人も含まれてしまうため、それらを除いた公開求人数
※2 dodaはエージェント経由の求人のみの数
営業系エンジニアの求人は、特化型エージェントと比べると大手転職エージェントのほうが多いという結果になりました。いずれにしても、どのような製品やサービスを取り扱っているのかが重要となりますので、すでに知識やノウハウのある分野か、興味関心のある製品かどうかを確認しつつ求人を絞り込んだり、キャリアアドバイザーに相談したりするのがおすすめです。
直接応募型転職サイト
※1 dodaは企業に直接応募する求人のみの数
※2 キャリア転職サイトtypeは職種に該当のものがないため、キーワード検索で「セールスエンジニア」と入力して検索した件数
直接応募型の転職サイトは、他に掲載していない「独自求人」の比率の高いため、時間のあるときにはメインで利用しているサイト以外のものもチェックしてみるのが良さそうです。
スカウト型転職サイト
※ 括弧内は「年収応相談」の求人を含んだ数
営業系エンジニアにおいては、スカウト型転職サイトにも多くの求人があると言えます。特に高年収を提示している求人の比率も高く、しっかりと職務経歴を記入しておくことでより待遇の良い的確なスカウトをもられる期待も高まります。
営業系エンジニアとして求められるスキル
セールスエンジニアは、技術的な知識や自社製品・サービスに関する詳細を把握していることはもちろん、交渉能力や提案力など、さまざまなコミュニケーション能力が必要とされます。特に交渉能力は取引先企業や新規開拓先企業だけでなく、社内の開発部署とのやり取りにも必要とされる場合があります。
IT業界やそれを取り巻く産業において、時代の変化は年々スピードを増しています。顧客の顕在的あるいは潜在的なニーズを正確に把握する探究心、自社の製品・サービス知識をより深めていく向上心がより大切になっています。
社内SEへ転職しようとしている人向けに、転職サービスの比較をしていきます。以下は、「社内SE」「情報システムエンジニア」などに一致した公開求人数の比較です。
転職エージェント
(2022年1月時点)
※1 リクルートエージェントとレバテックキャリアは通常の検索で募集終了求人も含まれてしまうため、それらを除いた公開求人数
※2 dodaはエージェント経由の求人のみの数
直接応募型転職サイト
※ dodaは企業に直接応募する求人のみの数
リクナビNEXTでは社内SEを「情報化戦略・推進」と「社内システム開発・社内システム運用」の2種類に分けており、どちらも豊富な求人が掲載されています。働き方や休暇に関するこだわり条件のほか、ITエンジニアに特化した経験やスキルの条件も用意されているのも魅力です。
スカウト型転職サイト
※ 括弧内は「年収応相談」の求人を含んだ数
スカウト型転職サイトにおける「社内SE」の公開求人は、エージェント型や直接応募型と比べても多いです。社内SEに求められるスキルや経験は事業内容や業務内容によって大きく異なるので、求人数が豊富であるのは心強いです。
社内SEに求められるスキル
社内のシステムに関する業務を任されているのが「社内SE」です。自社の経営管理やプロジェクトの方針に沿ったシステム構築や運用・保守を行うため、プログラミングスキルだけでなくマネジメント能力が必要になることもあります。また、従業員から社内システムに関する問い合わせに対応する業務もあり、理解力やコミュニケーション能力なども求められます。
ただ、社内SEの業務内容は求人によって大きく異なります。業務内容によって求められる経験やスキルも変わってくるので、自分がもっともアピールできるスキルと併せて求人を探してみるのが良さそうです。
社内SEへの転職を目指すうえで知っておきたいこと
一方で、社内SEの業務として障害対応やシステムの導入などを任されることもあり、深夜や休日に対応する多い会社もあります。
「客先常駐をしたくないから社内SEへの転職を考えている」という場合、その不満は「社内SEへの転職」以外でも解決できるかもしれないという視点も持っておきたいです。
たとえば、以下のような絞り込み条件でも、客先常駐がない(または少ない)求人が検索可能です。
リモートワークで働きたいという人はどの転職サービスがおすすめでしょうか。ここでは、各転職サービスにおいて「リモートワーク」や「テレワーク」、「在宅勤務」などの絞り込み条件を適用して求人がどの程度ヒットするかを比較していきます。公開求人数はIT・Web系エンジニアが集計対象です。
転職エージェント
(2022年1月時点)
※ レバテックキャリアは通常の検索で募集終了求人も含まれてしまうため、それらを除いた公開求人数
直接応募型転職サイト
(2022年1月時点)
※ 括弧内は「年収応相談」の求人を含んだ数
直接応募型の転職サイトは、転職エージェントと比べるとリモートワークが可能な求人が少ないことが分かります。転職エージェントには数多くの非公開求人もあるため、その差は上表の数字以上だと推測できます。
スカウト型転職サイト
(2022年1月時点)
転職エージェントのごく一部は「年収アップ率」を紹介しています。集計期間や対象、条件などはサービスによってまちまちなので、純粋な順位付けはできないですが、それぞれの条件を付記したかたちで比較表にまとめました。
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ここまで、SEなどのITエンジニア向けの転職サイト・転職エージェントについて、さまざまな目線で紹介してきました。
自分の気になる求人が多かったり探しやすかったりする転職サイト、担当者と相性のいい転職エージェントを見つけるのは効率面でも大切なことですが、もっとも重要なのは自分の満足のいく企業に転職することです。
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