100%再生エネルギーだけで運営。長野のスキー場が3日間の挑戦にでたわけ

白馬村のスキー場「白馬岩岳スノーフィールド」は、2月2-4日を「スノーリゾートから気候変動を考える3日間」として啓発イベントを開催する。
サステナブル・ブランド ジャパン

長野県北安曇郡、白馬村のスキー場「白馬岩岳スノーフィールド」は2月2-4日を「スノーリゾートから気候変動を考える3日間」として、100%再生可能エネルギー由来の電力のみで運営する。期間中、白馬高等学校の高校生らを中心にプラカードを持って滑走する気候マーチを開催するなど、来場者への啓発を促す。スキー場を運営する白馬観光開発(長野・北安曇)は、気候変動による深刻な雪不足の影響を「肌で感じる状況」と説明する。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=沖本啓一)

全国で記録的な雪不足だ。今シーズンは特に暖冬の影響が深刻で、除雪業者や宿泊施設営業、農業など多方面への影響が連日報道される事態となっている。特に影響が顕著なのは、スキー場だ。

「過去5年間のうち、4年が『小雪』の年で危機感を持ちましたが、今年はこれまでも経験したことがないと思われるほど雪不足です」と話すのは「白馬岩岳スノーフィールド」を運営する白馬観光開発の営業企画本部マーケティング室の齋藤耕平主任。1月終盤の現在でも、半数以上のコースをオープンできていないという。そんな中、2月2-4日を「スノーリゾートから気候変動を考える3日間」として啓発イベントを開催する。

イベント中は「白馬岩岳スノーフィールド」の運営のための全電力を再生可能エネルギーで賄う。この3日間で稼働するゴンドラ、リフト、降雪機などのあらゆる電力を、中部電力の「CO2フリーメニュー」から購入。1万4255KgのCO2排出量をゼロにすることを目指す。

「Hakuba SDGs Lab」やパタゴニアと連携

白馬村は自治体として、2019年12月に「気候非常事態宣言」を町長が宣言している。その宣言のきっかけになったのは白馬高等学校の生徒有志が参加する「Hakuba SDGs Lab」の働きかけだ。「実は、今回の『スノーリゾートから気候変動を考える3日間』も同Labの高校生の提案から開催することになったんです」と齋藤氏は話す。同Labは2月2日、プラカードを持って滑走する「グローバル気候マーチat 白馬岩岳スノーフィールド」をゲレンデで行う予定だ。

また、麓のレストハウスではパタゴニア社と一般社団法人Protect Our Winters Japan(POW)による、環境活動をテーマにしたフィルム上映会、トークショーを開催。各機関、団体との連携で「地球の危機を『自分ごと』として捉える機会を設ける」という。

SDGsにコミットするスキー場運営企業

白馬観光開発は「白馬岩岳スノーフィールド」のほか「白馬八方尾根スキー場」「栂池高原スキー場」を運営する企業だ。同社は気候変動への危機感から2019年11月にSDGs達成に向けた取り組みを掲げ「今後5年間で当社が排出するCO2を6%削減」すると表明している。「降圧雪の効率的な運用に資するシステムを試験的に導入し、降雪に関する電気使用量の15%削減、圧雪車運行に係る燃料の8%削減を目指す」など多くの具体的な対策を進める。

もちろん、このイベントだけ、白馬観光開発だけで気候危機の課題を解決するほどのCO2削減ができるわけではない。「だからこそ今回のように、各所との連携を意識して取り組みを進め、発信することが必要だと考えています」と齋藤氏は力を込める。

「実現可能な、身近なところから取り組みが広がって、白馬村がもっとSDGs達成に貢献できる地域になれば――」来場者だけでなく国内に向けて、気候危機の課題と地に足のついた取り組みをゲレンデからも発信する企業が現れている。

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