税収弾性値を巡る議論

財政再建に関する骨太の方針がいよいよ議論のテーブルに載ってくる。しかし、まだ、諮問会議の民間議員と自民党の行革推進本部で食い違いがある。
足成

財政再建に関する骨太の方針がいよいよ議論のテーブルに載ってくる。

しかし、まだ、諮問会議の民間議員と自民党の行革推進本部で食い違いがある。

その一つが、税収弾性値をどうみるか。

行革本部は、経済が1成長すれば、税収も1伸びる、つまり弾性値は1を基本と考えている。

しかし、民間議員からは1980年代の1.2-1.3近い弾性値が可能だとしている。

そうだろうか。

1988年までは消費税はなかったのに対して、現在では消費税が税収に占める割合は大きい。その消費税の弾性値は低いので、1980年代のような値にはなりにくいはず。

1986年の所得税は最高税率70%で、15段階に分かれていた。少し所得が増えると、税率の高い上の段階に達するブラケットクリープも起こりやすかった。

2015年の所得税は最高で45%、7段階。

法人税率も大きく下がっている。

ということを考えると1980年代並の税収弾性値を当てにしてはいけない。

また、民間議員から、景気が良くなって企業の繰越欠損金が解消され、法人税が増えるという説明もあるが、そもそも内閣府の経済成長ケースはそれを織り込んでいる。

ということで、税収弾性値は1を基本として議論すべきだと思うし、プライマリーバランスがゴールなのではなく、財政収支や国債費、債務残高など、その外側もある。

経済が成長し、物価が上がれば、金利も上がり、金利負担も増える。

税収が上振れしたら、その分、早く財政収支の均衡に向けて動けるわけで、取れていない狸を当てにして、財政再建をやるべきではない。

(2015年6月11日「 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載)

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