「手足口病」とは? 患者急増、都内では前週の2倍に。大人も要注意

専門家「6歳以下の乳幼児が患者の9割を占めますが、大人も手足口病に感染し、感染すると子どもより症状が重くなりやすい」
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主に乳幼児の口内や手足に発疹が出る「手足口病(てあしくちびょう)」は夏に流行のピークを迎えますが、今年は2年に1度の当たり年。6月中旬以降、患者が急増しています。手足口病は大人が感染すると症状が重くなることがあるので要注意です。

三大夏風邪のひとつ

国立感染研究所によると、手足口病の患者数が6月30日までの1週間で、1医療機関当たり6.7人(前週は5.18人)となり、国の警報基準(定点あたり5.0人/週)を超えました。この時期としては過去10年で最多のペースです。特に東京では7月7日までの1週間の患者報告数が1医療機関当たり9.73人(前週は5.1人)で1週間でほぼ2倍となっています。

最近では2011年、13年、15年、17年と隔年で大流行する傾向にあり、今年も大流行が懸念されています。

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「手足口病が夏に流行するのは、ヘルパンギーナ(ウイルス性咽頭炎)とプール熱(咽頭結膜熱)とともに三大夏風邪のひとつだからです。手足口病の症状は、その名の通り手のひら、足の裏、口の中に痛みをともなう発疹が現れます。お尻やひざに発疹ができることもあります。発疹は米粒大でやや盛り上がり、水疱化するものもあり、感染した人の3割には発熱もみられます」と言うのは、横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長です。

大人が感染すると症状が重くなる

「6歳以下の乳幼児が患者の9割を占めますが、大人も手足口病に感染し、感染すると子どもより症状が重くなりやすいのです。発疹の痛みが強く足裏に出ると歩けなくなったり、全身倦怠感・悪寒・関節痛・筋肉痛などインフルエンザのような症状が出ることも大人の特徴です」(吉田院長)

手足口病は子どもを持つ親にはよく知られた病気ですが、身近に手足口病にかかった子どもがいないと、「この手足の発疹は何でしょう?」と病院で診てもらう人が少なくないそうです。

看病はマスク着用、手洗いをしっかり

手足口病はウイルスで感染します。感染した人のセキやクシャミなどによる飛沫感染です。大人が感染するケースで最も多いのは、自分の子が手足口病にかかり、そこから感染するというパターンです。

「お子さんが手足口病に感染した場合、看病する親は必ずマスク着用で接し、いつも以上に手洗い、うがいを行ってください。ウイルスは便中にも出るので、オムツ替えの後は念入りに手を洗ってください」(吉田院長)

特効薬はないが、多くはおおむね1週間で治る

「手足口病に特効薬はありませんから、自宅で安静にして回復するのを待ちます。1週間程度で自然に治ることが多いのですが、脱水がひどかったり、高熱や頭痛で髄膜炎や急性脳炎などの合併症が心配されるときは入院が必要となることがあります。医療機関を受診する際は、予約時に『手足口病の可能性があるのですが…』と付け加えることが、他の患者さんへの予防のためにも必要かと思われます」(吉田院長)

なお、手足口病にかかった子の登園・登校の基準はないので、症状が回復すれば登園・登校できますが、念のため園や学校に確認してください。

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