去る7月8日、韓国国防省と在韓米軍は、'THAAD' (Terminal High Altitude Area Defense missile, 戦域高高度防衛ミサイル)の在韓米軍への配備を正式に決定した。

去る7月8日、韓国国防省と在韓米軍は、'THAAD'(Terminal High Altitude Area Defense missile, 戦域高高度防衛ミサイル)の在韓米軍への配備を正式に決定した。私はこのニュースを聞いてとても残念に思った。これまで色々な誤解はあったにせよ、韓米両国は、軍事同盟によって、北朝鮮の軍事的脅威に立ち向かうべく、協調してきた。しかし、今回の決定は、何の科学的な根拠もなく、また、しかるべき論議も行われることなく、電撃的に下されてしまったのである。

実際に、今回のTHAAD配備の決定は、ミサイル防御システムの効用性を疑う、多くの専門家の意見を受け入れずにして下された。韓国政府の今回の決定は、どうしても潜在的な経済的利益を念頭においたものと見えるのだが、これは正に、百数年前、第一次世界大戦の悲劇をもたらした国際武器商人の戦略に似ている。

まず、THAAD自体のミサイル防御能力が、旧式のシステムであるということから指摘したい。THAADは、高高度に飛来するミサイル対してその威力を発揮するものだが、北朝鮮が韓国を攻撃するにしても、高高度のミサイルを発射する必要は、まずない。北朝鮮が数万人の韓国人を殺傷するにためには、ミサイルではなくとも、直接砲撃だけで十分なのである。ソウルは北朝鮮の保有する放射砲の射程圏内に入るからである。

結論的に、北朝鮮の放射砲は、THAADで迎撃する必要などないのである。しかも、既に色々な非効率的なミサイルシステムの戦略が構築されており、THAADが高高度ミサイル攻撃に対処するミサイルであるとすれば、これはミサイル攻撃体系を強化しようとする中国を刺激するだけである。

大陸間弾道ミサイルの脅威に対処する唯一の方法は、ヨーロッパに安定をもたらしたSALT(Strategic Arms Limitation Talks、戦略武器制限交渉)のような軍備制限条約を結ぶことである。1970年代の初めから冷戦関係にあった東西の両サイドは、お互い一致しない様々な理解関係を三つの協議によって調整した。モスクワとワシントン間での核兵器協議、CSCE(ヨーロッパ安全保障協力会議)での政治・経済的な論議、そして、ヨーロッパでの軍備減縮及び相互軍備減縮協議がそれである。しかし、今日のアメリカは、東北アジアにおける軍事的緊張関係の緩和のために、そのような接近方式は全く考慮していない。

今回の決定が、何よりも平和に無心であることは大きな不幸である。実は東北アジアの平和を脅かす一番の原因は、ミサイルや核兵器類などではない。

この決定の悲劇はそれだけではない。 実は東北アジアの平和を脅かす一番の脅威はミサイルや核兵器類実態ではなくて緊張した環境である。 アメリカを始めとして、東アジア全域に非核化体制を成立させ、平和を振興したら、武器を使用する危険を減らせるだろう。

しかし、無人航空機技術は、速い速度で発展しており、今や世界の安全を脅かす脅威にもなっている。しかし、無人航空機を利用した、未来の戦争を遂行する主体は、国家自体でもない。しかも、我々は、未だに無人航空機に関するいかなる類の協約さえも議論したことがない。無人航空機は、東北アジアの武器競争構図を悪化させるだけである。

それに、何よりも、我々が恐るべきことは、気候変動による脅威、例えば、海水面の上昇、砂漠地域の拡大などによって、地球上の全ての国にの、数千万にも及ぶ人々は潜在的な混乱に陥るということである。今後、最も費用がかかるのは、おそらく、化石燃料を減らし、燃料消耗の少ない生産設備を導入した社会基盤施設を構築し、それによる政治的、社会的基盤を整備することである。今こそ、アメリカ、中国、日本、ロシアを始めとする国々が、気候変化に対処する長期的な方案などについて協調し、共通のアジャンダの確立に努めなければならない。

韓国としては、ワシントンDCの、惰性に染まったシンクタンクから出た、THAADのような誤った決定に順応し、翻弄される暇はない。我々には、このようなことに没頭する余裕もなく、万が一、このような武器競争が加速される場合、韓国は一番の犠牲者になるであろう。東北アジアの気候変化やそれによる脅威に韓国が断固とした態度で臨み、解決策を見出そうとする意志を見せた場合、そして、この問題について韓国が他の国々を包容する意志を見せた場合、アメリカだけでなく、韓国もまた案外多くの支援勢力の支持を得られることであろう。

しかし、韓国が誤った情報を根拠に、金銭的な、もしくは政治的な利益だけにとらわれて、昨今のような近視眼的な政策を続けるならば、ますます不必要な経費を支出するばかりか、結果的には、子孫の反感を買うだけである。

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