「擬似的なタイムスリップだ」2011年3月11日のタイムラインを再現する方法とは?

再現方法をシェアした弓矢さんは「震災から10年経ち当時の主観的な記憶が薄れつつある今、Twitterで当時の記憶を振り返ることにも意味があるのではないか」と述べました。
東日本大震災の発生時刻
東日本大震災の発生時刻
Huffpost Japan

東日本大震災から10年。当時の記憶を風化させないため、震災当日から翌日にかけてのTwitterのタイムラインを再現する方法がTwitter上でシェアされて話題を集めている。

これは、ウェブ制作に関わるエンジニアの弓矢(@umiya_yumigon)さんが3月11日にツイートした。リンクをクリックすると、あなたが現在のフォローしている人が震災当時に投稿していた内容が表示される。完全に当時のタイムラインと同じではないが、それに近い内容を知ることができる。

あなたの知人や友人らの震災当時の生々しい様子が再現されるので、閲覧には注意が必要だ。

午後2時46分の地震発生から10分間

午後2時46分の地震発生から午後4時まで

午後2時46分の地震発生から翌朝9時まで

この方法を示した弓矢さんの投稿は、11日午後5時半現在で約2万5000回もリツイートされた。「あの時のことを映像よりも鮮やかに思い出した」「あの日を知る人にとってこれは擬似的なタイムスリップだと思う」「当時のタイムラインを見るとすごくリアルな記憶が蘇る」などと反響を呼んでいる。

■「当時の記憶を振り返ることにも意味がある」

弓矢さんは5年ほど前から自分自身の中の震災の記憶を風化させないため、毎年3月11日にはこのタイムラインを見ていたという。今年1月ごろに検索結果のリンクを踏むと、Twitterアプリなどでも擬似的にタイムラインを再現できることに気づき、リンクをシェアしたのだという。

ハフポスト日本版の取材に対して弓矢さんは「震災から10年経ち当時の主観的な記憶が薄れつつある今、Twitterで当時の記憶を各々振り返ることにも意味があるのではないかと思っています」と話している。

弓矢さんとの一問一答は以下の通り。

――数年前から3月11日に個人的にやっていたそうですが、その理由は?

当時三重県に住んでいた私は関東・東北に住んでいるTwitterの友達が混乱していたことは覚えていても、ニュースで流れてくる記録には現実味を感じませんでした。そして年月が経つにつれ、だんだん当時の感情や主観的な記憶がニュースから流れる記録に上書きされているように感じました。そんな中、5年ほど前にTwitterの検索でツイートされた日時の期間指定ができると知りました。以降は自分の中の記憶を風化させないために、毎年3月11日にはこのタイムラインを見ています。

――震災当時のタイムラインを再現するリンクをシェアしようと思った理由は何でしょう?

個人的にやっていた頃から、このタイムラインを他の人でも簡単に閲覧できる方法はないかと考えていました。タイムライン閲覧サイトを作ることも考えましたが、Twitter連携が必須になることがネックになっていました。今年1月ごろに検索結果のリンクを踏むとアプリでも検索画面に移動することに気づきました。これならTwitter連携が必要ないので、今年こそは「震災当時のタイムライン再現」をみんなに公開しようと考え、リンクをシェアしました。

――投稿から半日で約2万回もリツイートされてますが、こうした反響をどう感じますか?

リツイート数については、今のところはほぼ予想通りです。どちらかというと引用リツイートでもらえるコメントを興味深く見ています。「当時の記憶が鮮明に蘇った」というコメントや、当時自分が何をして何を感じたのかという主観的な思い出を語ってくれたコメントがたくさん寄せられました。それは客観的な記録でなく、その人がその瞬間生きていた時の記憶です。震災から10年経ち当時の主観的な記憶が薄れつつある今、Twitterで当時の記憶を振り返ることにも意味があるのではないかと思っています。

――実際にご自身の当時のタイムラインをご覧になってどう感じましたか?

2011年3月11日にタイムスリップして、当時の様子をその場で見ているような感覚を味わいました。懐かしさと、リアリティを伴った恐怖感がありました。

――タイムラインを一般の人が見る上で注意すべき点は?

震災の記録を見るのが辛い人や、今現在精神的な余裕がない人は、閲覧を避けた方が良いです。表示されるのはテキストだけですが、フォローしている人、つまり知っている人や友人たちの当時の様子が生々しく再生されるので、精神的な負荷が大きいです。今となっては見慣れてしまった映像よりもこちらの方がショッキングかもしれません。(最初のツイートに「閲覧注意」を書くのを失念していたことを反省しています)

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