実写にしか見えないリアルな絵はもはや「食テロ」級。作者にインタビュー

”えだまめ”で40万いいねを獲得「フォロワーは5万人ほど増えました」
あまりにもリアルなイカのイラスト
あまりにもリアルなイカのイラスト
徳田有希/Twitter

40万いいね集める"実写にしか見えない"食テロ・イラストレーター嬉しいのは「上手より美味しそう」

実写かと見間違えるような食べ物を描き、Twitterで話題となったイラストレーター・徳田有希。これまでも新作がアップされるたび記事になるなど注目されていた。「ただ写真を撮っただけなのでは?」と称されるほどに本物過ぎるその再現力は、"えだまめ"のイラストでは驚異の"40万いいね"を集めるほどに。そんな徳田さんは、ふだんは写実的なイラストとはギャップのある、ゆるくてキュートなイラストを描いている。CG全盛の世の中、あえてアナログな方法でリアルにこだわったイラストをアップするようになったのか、Twitterでバズるようになってからの生活の変化などを聞いた。

■リアルな絵を発表した最初の動機は「有名になりたい(笑)」

―――40万いいね。すごい反響ですね。フォロワー数の変化はありましたか?

【徳田有希】「ありがとうございます。リアルな絵をアップし始めてから、フォロワーは5万人ほど増えました」

―――ふだんのイラストはとてもキュートですが、なぜリアルな絵を発表しようと思ったのでしょうか?

【徳田有希】「自分の事をたくさんの方に知ってもらいたいと思い、どうしたら話題になるか考えました。

シンプルな絵とリアルな絵をどちらも描ける人は自分以外にもたくさんいると思いますが、両立して発表している人はそんなにいないなと思ったんです。普段の絵がゆるいだけに、そこからは想像できないほどリアルな絵が描ければ話題になるかなと思ったので、チャレンジしてみました。なので、有名になりたいところが最初です(笑)」

―――振り幅がすごいので、描いていてギャップを感じることはないですか?

【徳田有希】「両方見てくださる方にとっては、ギャップが凄いと思うかもしれませんが、描いてる自分は特に気持ち的には変わらないですね。どちらも描いているときは楽しいです。とにかく絵を描くことが大好きなので、大丈夫です。自分が描ける絵ならジャンルは関係なく引き受けたいと思います」

―――なぜ食べ物ばかりなんでしょうか? 自分が食べたいものですか?

【徳田有希】「Twitterは食べ物系がバズりやすいからです。それと、資料が手軽に手に入るからというのも大きいです。スーパーに行くと季節物だったり流行り物が売られているのでそれを優先的に選んでます。自分が食べたいものではないです(笑)。絵を描かない人にもシンプルに『すごい!』と思ってもらいたいので、『紙の上に本物があるみたい』という"リアルさ""わかりやすさ"にこだわっています」

―――すごく時間がかかりそうですが・・・?

【徳田有希】「一日少しずつ描いていたので正確にはわかりませんが、合計すると大体10時間以上はかかっていると思います。長いものだと30時間ぐらい」

―――どれくらいのペースで描いていますか?

【徳田有希】「最初に載せた絵がバズったので、そのあとは1週間前後で1枚アップできるようにしていました。最近は話題になっているおかげもあってか、仕事が忙しくなってきてしまって。1ヶ月に1つくらいのペースに落ちちゃっていますが......」

■イラストがバズっても生活は変わらず 大変だった題材は「苦手なレバー」

―――食べ物のイラストがバズってからの生活の変化はありますか?

【徳田有希】「生活はあまり変わりませんが、過去にもTwitterで何度か話題になったことがあるのですが、これがキッカケでまた新たに自分の事を知ってくれる人が増えたことが大きいです。すでに何件かリアルなイラストの仕事もお話をいただいており、仕事の幅を広げる事ができたと思います」

―――フォロワーに言われて嬉しかったことなどはありますか?

【徳田有希】「『絵が上手い』も嬉しいんですけど、『美味しそう』って言ってもらえるのが嬉しいですね。

―――よく、「絵なのにめしテロ!」などというツイートを見かけますが、描いている自分でもお腹が減ったりすることはありますか?

【徳田有希】「それは全く無いですね、笑。描いてる自分からしたら絵でしかないのですし。空腹の状態だと集中力がなくなるので、何かしら食べてから描いてます」

―――そうなんですね(笑)。では、リアルな食べ物を書くときの苦悩はありますか?

【徳田有希】「やはり自分が好きな食べ物じゃないと気持ち的に描くのが大変ですね。焼き鳥の絵を描いたとき5本のうち1本レバーを描いたのですが、レバーが苦手なので美味しそうに表現するのが難しかったです」

―――よりリアルにするためにこだわっている部分はどこでしょうか?

【徳田有希】 「制作過程の画を見てもらったらわかると思うのですが、一番こだわっているのは光と影です。リアルな質感が伝わるように、細かく光と影を入れています」

―――確かに、スルメイカのヌメリ感とか、すごかったです! 細かく制作過程を見せてもらえるので、その前後の変化まで伝わるのがいいですよね。

【徳田有希】「今までも絵の製作過程は見せていましたが、写実的な絵は全て手描きであることを見てもらわないと、凄さが半減してしまうと思っているのでより細かく見せるようにしています。完成した絵だけなら印刷したり写真を合成したりして簡単に作れるので、ちゃんと一から描いたっていうのを見てもらいたくて」

―――ちなみに、"よかったらアイコンにどうぞ"というツイートをよく見かけますが、その活動を続ける理由は?

【徳田有希】「使いたいと言ってくれる方がいる事と、使ってもらうことで自分の絵が他の人にも見てもらえるからですね。それと私がTwitterを始めたばかりの頃は誰もアイコンやホーム画面などにイラストを自ら提供してる人はいなかったので、人と違う事して目立たなきゃと常に思っていて始めたのも理由の一つですね。これも有名になりたいというのが動機です(笑)」

―――これから描いてみたい作品は?

【徳田有希】「ちゃんとした料理とか描いてみたいなぁ......! 時間はかかりますが描くのは楽しいですし、見てくださる方がいる限りは続けたいなと思っています。これからもたくさんの方に見ていただけるよう、がんばります」

活躍の場を広げる、イラスト界の"二刀流"の徳田さん。今後もリアルな絵に"いいね"が集まりそうだ。

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