「このままの世界で、生きるか?」
そんな問いかけとともに、世界で活躍する8人のキャストが登場するCMを、見たことがありますか?
IT大手のセールスフォース・ドットコム(以下Salesforce)が、昨年11月中旬に放映開始したテレビCM『次の世界へ。』(英訳:To the World Beyond)です。
「ビジネスこそが世界を変えるプラットフォーム」という信念のもと、地域社会と連携しながら従業員のボランティア活動や製品の無償提供を行い、環境や社会課題解決に向けた取り組み、積極的な情報発信も展開している同社。
そのメッセージを代弁するCM出演者のAnthony Mmesoma Madu(アンソニー・メソマ・マドゥ)さん、Jeana Turner(ジーナ・ターナー)さん、黒川 ウェリントン 力(クロカワ ウェリントン チカラ)さんが考える、次の世界を聞きました。
8人のTrailblazerが見る「次の世界」
新型コロナウイルスにより、メディア、そして広告のあり方も大きく変わりました。広告のメッセージは、商品やサービスそのものの訴求よりも、「ステイホーム」や「ソーシャルディスタンス」を呼びかけるものや、リアルで会えなくても「つながって」いることを伝える内容が増えました。前向きなメッセージによって私たちは笑顔になれたり、背中を押してもらえたり...。そんな状況が、もう少し、続きそうです。
今回、Salesforceが新CMを通して届けるのは、「このままの世界で生きるのか?」という問いと、「次の世界へ。」というメッセージ。このポジティブで強いメッセージは、前向きなメッセージによって私たちは笑顔になれた、背中を押してもらえたなど、大きな反響を呼んでいます。
このCMには、8人のTrailblazer(トレイルブレイザー)が出演します。Trailblazerとは、常に挑戦し続け、革新を起こす「先駆者」のこと。同社創業者マーク・ベニオフ氏の著書でも話題になりました。
「次の世界へ。」それは、どんな世界を意味するのか? そこへ到達するためには?
3人のTrailblazerがこれから目指す姿に、そのヒントがありました。
ナイジェリアのバレエ少年が考える、2つの「次の世界」
ナイジェリアに住む、アンソニー・メソマ・マドゥさん。昨夏、当時11歳の彼が雨の中を裸足で舞う姿がSNSにアップされると、瞬く間に話題に。世界各地のバレエ学校から奨学金の申し出が集まり、バレエダンサーを夢見る少年は、さらなる挑戦を続けています。
「バレエは、女性が踊るもの」──ジェンダーへのステレオタイプがまだまだ残るナイジェリアで、彼の挑戦はそうした「壁」を壊すきっかけにもなっていると言います。
「自分がやるべきことにおいて努力を続け、夢への切符をつかんできた」。そう話すアンソニーさんは、自らの夢を追いかけながら、ナイジェリアの、そして世界の多くの人々に希望を与える存在になっているのです。
「新型コロナウイルスにより、生活は大きく変わりました」としながらも、続く言葉は非常にポジティブです。「バレエの練習時間を以前にも増して、十分に確保できるようになりました。練習を積み重ねることと、懸命な努力により、国際的な評価を得ることもできました」
「今できること」に感謝し、尽力するアンソニーさん。彼は「次の世界」という言葉に2つの意味を見出していると言います。
「ひとつは、人生の次の世界。つまり、私がこの世界を去った後に時代を超えて、どんなインパクトを生み出すことができるのかということ。そしてもう一つは、国境を超えて情熱を持つということ」。
2つの「次の世界」を実現するために、彼は今日も、舞い続けていることでしょう。
美の“社会的ものさし”を変える、アメリカのファッションモデル
二人目は、CMに白いドレスで登場する、アメリカのファッションモデル/インフルエンサーのジーナ・ターナーさん。養護施設で育った彼女は、自身がCEOを務めるカスタムウィッグのブランド「Haus Of Anomali」を2020年に立ち上げ、社会貢献に取り組んでいます。
幼くしてモデルのキャリアをスタートしたジーナさんは、アメリカの人気リアリティ番組『America’s Next Top Model』シーズン24(2018年1月)では準優勝に輝きました。
「私の夢は、今までも、そしてこれからも、スーパーモデルになること」と話す彼女は、コロナ禍をポジティブに振り返ります。「手が届かないと思っていた国際的ブランドにモデルとして関わることができたし、ウィッグのブランドも立ち上げることができた。困難や絶望的な状況においても進化し続けられるということを、自分自身に示してきたのかもしれません」。
一方で、大きな困難にも直面したそうです。
「このパンデミックであらゆる人の生活が変化したように、私も2つのエージェンシーから契約を解除されました。さらにモデルという職業は、人と人との交流が多い職業なので、大変に苦しい状況でした。しかしそうした状況だからこそ、夢や目標を叶えようとする“火”が着くのだと思います」。
「次の世界へ。」というメッセージについて聞くと、「この言葉は私にとって、みんなが想像するよりも、とても多くを意味します」と答え、ユーモアを交えて語りました。
「自分のキャリアにおいて、普通の人間とは決して思えないような存在とも何度も関わってきました。だからこそ、全てのものには価値があり、変化し続ける、そして、チャンスと終わりなき可能性を意味するこの世界をも超えて広がるということを、このステートメントは意味すると思うんです」。
そんな「次の世界へ。」進むために、ジーナさんのこれからの抱負を聞くと、昨年立ち上げたウィッグブランドの目指すビジョンとともに、こう答えてくれました。
「私はウィッグというもので、みんなのクリエイティビティを超えて行きたいと切に思っています。美に基づく“社会的ものさし”は、わざわざ作り上げられたものです。私はそうした壁を壊し、人々が真の意味で自分らしくいられる世界を切り拓いていくために、挑戦し続けています。誰もが、人生において自分だけの経験をするに値する存在ですし、私自身もそれによって生きているんです」。
美によって、そして美という範疇を超えて社会を変えていくジーナさんの挑戦は、今年も続きます。
バハマと日本をつなぐ実業家は、「期待より、感謝されることを」
三人目は、国内外の営業コンサルティングをおこなうORCA COMPANYのCEO黒川 ウェリントン 力さん。カリブの島国・バハマで生まれ、2歳半で沖縄へ移住した黒川さんが会社を設立したのは、2019年のこと。
「バハマと日本をつなぐ」、つまり両国が国交を深め、互いの文化や魅力を享受し合える環境づくりを目指し、「とにかくキャッシュを貯める」その一心で働いていたと言います。
そんな中、新型コロナウイルスにより世界は一変。バハマへの渡航は難しくなり、対面でおこなっていたコンサルティングの仕事もオンラインに。「できないこと」が増えてしまった一方で、そんな状況だからこそ「できるようになったこと」もあったと言います。
「できないことが出てきたからこそ、今できること、やるべきことを明確にできましたね。僕の場合は、まずはたくさんのタスクがあふれた頭を整理しました。そうすると、新しい時間や環境を有効活用して、コロナ禍が明けたらスタートできるように、落ち着いて計画を立てようと考えられるようになったんです。自分の生活や状況を批判するのではなく提案を、嘆きよりもユーモアを持って人生を過ごしていこうと」。
批判よりも、提案を。嘆きよりも、ユーモアを。過去、よりも、未来を。このままの世界よりも、これまで以上の世界を。
新CMのメッセージを、黒川さんも自身の夢を通して、実現したいと考えています。
「今まで“当たり前”と思っていたものがなくなる世の中に対して、バハマを通して非日常を提供し、これからの日常を楽しく、ワクワク過ごしてもらいたいです。それが僕の目指す、これまで以上の世界。人に期待されることではなく、感謝されることをしていきたいです」。
◇◇◇
どのような時代だとしても、どれだけテクノロジーが進化したとしても。わたしたち一人ひとりの行動こそが、これからの世界のあり方を決めていく。
Salesforceは、そんな思いを込めてこのCMを作りました。
「人間次第で、この世界は、まだ面白くなる」。Trailblazerの言葉をヒントに、2021年は「次の世界へ。」動き出してみませんか。