「トランプ大統領、8万ドルの借金返して」。アリゾナ州ツーソンの市長が、集会に来る大統領に借金返済を要求

大統領、4年前の借金のこと私たちは忘れていませんよ
フェニックスのケイト・ガイェゴ市長(左)と並んで笑顔を見せるレジーナ・ロメロ市長(前右)(2020年1月13日撮影)
フェニックスのケイト・ガイェゴ市長(左)と並んで笑顔を見せるレジーナ・ロメロ市長(前右)(2020年1月13日撮影)
ASSOCIATED PRESS

11月3日の大統領選投票日に向けて、アメリカ各地で大規模な選挙集会を開いているトランプ大統領。

10月19日にはアリゾナ州ツーソンで集会を開催したが、ツーソンのレジーナ・ロメロ市長は開催に先立ち、大統領が4年前の借金8万ドルをまだ返していないことを伝える書簡を大統領に送った。

書簡でロメロ市長は、選挙集会でのマスク着用とソーシャルディスタンスの維持も求めている。

ロメロ市長のツイート「トランプ大統領にこの書簡を送り、ツーソンには公衆衛生を守る条例があることを伝えました」

トランプ陣営がこれまでに開いた選挙集会の多くで、大勢の参加者が密集し、マスクをつけていなかった。

ツーソンでは、ソーシャルディスタンスが保てない公共の場所でのフェイスカバー着用が、条例で義務付けられている。

ロメロ氏は書簡で、「これまで私たちが積み上げてきたものが、1つの集会で危険に晒されるようなことがあれば大変不幸です。そのため選挙集会では、市の条例に敬意を示して従って欲しい」「選挙で選ばれた公職者として、有権者に手本を示す責任がある」と求めている。

また、トランプ陣営が2016年にツーソンで開いた選挙集会にかかった費用8万ドル(約844万円)をまだ市に返済していないことをリマインドし、それに加えて19日の選挙集会では公共の安全を守るためのサービスに5万ドル(約527万円)かかると伝えている。

私たちは4年前のことを忘れない

アメリカの人口トップ50の都市で、初めてラテン系アメリカ人女性の市長に選ばれたロメロ氏。

同氏は18日のMSNBCのインタビューで、「ツーソンの市民は努力して、新型コロナウイルスの感染者数を減らしており、スーパースプレッダー(感染が超拡大する)イベントを、私たちの市で開いて欲しくない」と述べた。

トランプ大統領はツーソンでの集会の後、集会の動画をTwitterに投稿しているが、ロメロ氏の求めにも関わらずソーシャルディスタンスが守られている様子は見られない。

ロメロ氏はさらに借金について「集会は大統領としての公式訪問ではなく、選挙のためのものなので市民の税金を使うべきではない。大統領にはきちんと支払いをして欲しい」と説明した。

調査報道NPO「センター・フォー・パブリック・インテグリティ」とNBCの調査によると、トランプ氏の選挙陣営はアメリカ14の都市で、2016年の選挙に関連した合計182万ドル(約1億9200万円)の借金を抱えている。

現在アメリカの多くの都市が新型コロナウイルスの影響で金銭的に厳しい状況に立たされており、トランプ陣営が借金を返済しないことが自治体の重荷になっている。

2016年の選挙でトランプ大統領はアリゾナ州で勝利を収めた。しかし現在のところ、同州では民主党候補のジョー・バイデン氏が有利な状況にある。

ロメロ氏らが覚えているのは借金だけではない。

市長は、トランプ氏が前回大統領に立候補した際に、アリゾナ州在住のラテン系アメリカ人に対して発した言葉や行動を「忘れない」とMSNBCのインタビューで強調した。

「私たちは彼がメキシコ系アメリカ人を侮辱し、移民やラテン系アメリカ人を侮辱したことを忘れません。彼が私たちをレイピスト、殺人者と呼んだことを忘れません。彼が子どもたちをツーソンから45分も離れた所に閉じ込めたことを忘れません。私たちは、今回の選挙を楽しみにしています」

ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。

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