結婚式・ショック――『スコットランド人夫の日本不思議発見記』(3)

今回はスコットランドでの結婚式にまつわる「落とし穴」について書かせて頂きます。時は遡ること13年前―――。

今回はスコットランドでの結婚式にまつわる「落とし穴」について書かせて頂きます。

時は遡ること13年前―――。当時の私は「婚約者ビザ」を取得したのち、ここスコットランドの地に降り立ちました。この「婚約者ビザ」は有効期限が6ヶ月であり、その期限内に「結婚証明書」を入手し配偶者ビザを申請しなければなりません。そう、私のミッションはただ一つ――。

夫と私はこの半年間ですべきことの優先順位を話し合いました。渡英後すぐさま義両親と同居状態になった私にとって、最も優先すべきことはやはり「新居探し」。「結婚式」をどうするか、という問題もあったのですが、私にとっては友人知人のいないこのスコットランドの片田舎。お披露目会を催すメリットが見当たりませんでした。何はともあれ、堅実な男性なら「結婚式」よりも、ひとまず目下の課題である「新居問題」を解決するであろうと思っていた私ですが、しかし夫の意見を聞いて耳を疑いました。

「ちょっと待て!君は結婚式を挙げ、まさかの披露宴も催したいと言うのか!?」

目を白黒させる私に夫は言いました。

「え?ホリーだって式は挙げたいよネ?女子はウエディング・ドレスを着たいものなのデショウ?」

さほど貯金もないであろう夫の思いがけないその一言に、私は心底感動した事を今でも鮮明に覚えています。

私達は早速、教会とホテルの下見に行きました。厳かな雰囲気の教会と気品溢れるホテルの会場に、私のテンションは一気に急上昇。すると、夫が私に尋ねました。

「ホリーのご両親は式に出てくれるよネ?」

私の両親まで気遣ってくれるのかと、幸せバロメータは一気に上昇です。

「イエス!私の両親も結婚式をとても楽しみにしている。母はドレスも新調したらしい。友人もふたり、来てくれるらしいよ。」

「そう、ソレは良かっタ!お金だけ払って式が見られないなんて事になったら、ホリーの両親が可愛そうだものネ☆」

夫は涼しい顔でこう言いました。

「結婚式代は、新婦の両親が支払うものダヨ☆」

私はその意味不明な夫の言動に眉根を寄せました。

「はぁ?何だそれ?結婚式代はお前が払ってくれるのではないのか?何ゆえ私の両親が高い交通費を払ってここまで来て、新婦側の列席者がたったの4名だと言う結婚式代まで支払わねばならない!?お前が結婚式代を出してくれるのではないのか?」

今度は夫が声を荒げて反論しました。

「ソンな事知るか!!スコットランドでは、結婚式・披露宴代は新婦側が負担すると昔から決まってイル!!(その昔、スコットランドの女性は仕事が出来なかった為、持参金を用意しなければ嫁入りする事が出来ませんでした。その名残が「結婚式代を払う」といった形となり、今現在も引き継がれています)デハ、日本では一体誰がおカネを払うんダ!?」

「お金のある人が出して、残りは祝儀でまかなう。」

私は真顔でそう答えました。

すると夫も真顔でこう言いました。

こうして夫が見せた優しさは、スコットランドでの挙式の予定もろ共、幻となって消え失せたのでした。

~続く。

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