アジアで働く愛妻家たち Part2〜TalentEx (Thailand) Co., Ltd. Founder&CEO 越 陽二郎さん〜

「核心を突く言葉を、大事な場面で投げかけてくれる」
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「奥さんを大事にしている男性って、素敵!」「素敵なご夫婦の、関係性の秘訣が知りたい」......そんな女性たちの声を受けてスタートした新企画「アジアで働く愛妻家たち」第2弾をお届けします!

今回は3人のお子さんをバンコクで育てられている越 陽二郎さん。テクノロジーの力によって、タイの企業活動・経済社会における"人"の価値を最大化する事業を立ち上げられて約3年。そんな越さんの愛妻家ストーリーに注目です!

愛妻家ストーリー

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一度断られたけれど、土下座して付き合ってもらった

--奥様との出会いのストーリーを教えて下さい。

大学時代に所属していたYMCAという子どもと遊ぶボランティアで、同期として知り合いました。大学3年の時に付き合い始めたので、もう13年間一緒にいますね。結婚生活は7年目になります。

好きになったのは出会って約1年後に参加したキャンプの時。カブトムシのメスがたまたま宿舎に入ってきたのですが、僕がそれを捕まえると周りの小学生も大学生もみんな大騒ぎだったんです。でも、妻の反応だけは違った。「おー!ババじゃん。懐かしい!」と自分で持って遊び始めて、その時の笑顔がすごく素敵で一気に好きになってしまいました。

彼女の出身地である愛知と長野の県境付近では、カブトムシのメスをババと呼ぶらしいです。私は東京育ちだったので、周りにそういった行動ができる人がいなかったので、ときめいてしまったんですね。

その後、私から告白して付き合い始めるのですが、実は一度断わられています(笑)。絶対にOKをもらえると思って告白したのですが、「友達としてしか見ていなかったから、少し考えさせて」と言われて。でも、待っている期間中も一緒に過ごしたり、ボランティア団体のメンバーも含めてディズニーシーに行ったりしていたので、これはきっと大丈夫だろうと1週間後に聞いたら、「やっぱり友達でいよう」と言われて......衝撃を受けました。

でも、そこで引き下がらずにその場で「絶対僕と付き合った方が良い」と押し続け、2時間くらいしてさすがにだめかなと思い始めた頃、気づいたら「お試しでもいいから、どうかお願いします」と懇願しながら土下座していました(笑)。すると彼女は泣き出して、「ここまで真剣に言われたことがないから、一度試しに付き合ってみようか」となり、今に至ります。

あの時に食い下がったのは私の人生で一番懸命な判断だったと、今でも思いますね。妻にも、あの時私が諦めなかったことは評価・感謝されてます(笑)。

核心を突く言葉を、大事な場面で投げかけてくれる

--奥様のどんなところが好きですか?

3つあります。ひとつ目が、人に優しく、自分に厳しいところ。子どもや周囲など他人のありのままを受け入れる包容力や穏やかさがある一方で、頑固なまでに自らには厳しいですね。ちなみに夫である私は「自分」にカウントされることが多いので、結婚してからはかなり厳しくされるようになりました(笑)。

ふたつ目は、私を信じてくれるところ。海外駐在を辞めて起業したり、起業後も苦しい日々が続く中で、「想像のつかない人生を一緒に歩ませてくれそうだから」と信じて一緒にいてくれることに感謝しています。死ぬまで恩返しするつもりです。

3つ目は、一番大切なものを直感的にわかっているところ。私が起業する時に反対する理由はいくらでもあったと思うのですが、「子どもに誇れる背中を見せるなら」と言ってくれたり、起業3年目に番苦しい局面を迎えて会社を辞めようと思った時も、「でも、まだやりきってないんでしょ?」と核心を突く言葉を投げかけてくるんです。

経営はロジックですべてを語れるものではないのですが、私はどうしてもロジカルに判断しがちです。でも、一番大事な感覚的な部分を妻がスパッと言ってくれるので、そういった部分で頼りにしています。

--ふたりの関係を良くするために心がけていることを5つ教えて下さい。

1. 感謝すること。お互い要求し合うことはキリがないけれども、今あるものや元気でいてくれている家族や親しい友人たちといることへの感謝を思い出すと優しくなれます。

2. 努力すること。相手と幸せになる、仲良く一緒にい続けるためには努力が必要です。

3. 無理強いしないこと。役割を明確にして「自分の役割を全うしてない!」と相手を責めずに、お互いできる限りフォローし合います。たとえば、我が家では家事の役割分担は決めずに、できる時にできる方がやるスタイルです。

4. 子どもにお互いの悪口・愚痴を言わないこと。「お父さんが仕事を頑張ってくれてるおかげで、ご飯やおもちゃが買えるんだよ」「お母さんは本当に優しいね。お母さんがいて良かったね」とお互いへの感謝や愛を子どもに伝えます。また、妻は不満を自分の中に溜め込むタイプなので、半年に1回旅行に行き、子どもたちが寝静まった後にお互いに思っていることを吐き出す時間を作ります。私は彼女が納得していると思っていても、実はそうでなかったことがあったりするので、それに対しての解決策を一緒に考えたりしますね。夫婦であっても、お互いに考えていることは言わないとわかりません。

5. 基本は自分から謝ること。学生時代に読んだ漫画『美味しんぼ』で、主人公の山岡が結婚する時に、どこかのおじさんが「夫婦円満のコツは夫が謝ることだよ」とアドバイスしていて、「なるほど!」と思ったことがきっかけです。意見が違うとロジックで説き伏せたり、相手にも納得して欲しいと思ってしまいがちなのですが、試行錯誤しながらどうしたら仲良くい続けられるか考えています。

タイにいるから、子育てにも妥協せず取り組めている

--現在のお仕事内容について教えて下さい。

タイ国内における求人サイトや人事管理ソフトなどの、ヒト×IT領域での事業をしています。運営しているのは、タイ国内において日本語の話せる人材に特化した求人サイト『WakuWaku』、IT業界向け求人サイト『JobTalents』、そして『HappyHR』というクラウド人事管理ソフトウェアです。

タイに移住したのは、第一子の生まれるタイミングでライフステージとキャリアを考えた際に、「アジア×実業×成長産業」の軸で転職・駐在をしたことがきっかけ。日本でサラリーマンとして働いていた時から、一生この会社にいるわけではないと思う一方で、自分は何がしたいのかわからずにいました。

でも、タイに来てから「日本人として外国人と一緒に仕事を創っていくことが好きだ」ということに気づき、日本ではなくこの場所が自分の舞台だと思うように。その状況を実現し続けたいと思い、起業を決意しました。

珍しい人生選択ですが、存在が少ないからこそ必要とされる場面があり、「こんなサービス欲しかった!」とお客様に喜んでもらえたり、国同士のスタートアップ活動の支援でハブとなったりするのが楽しいですね。

また、子育てと起業を両立できているのはタイにいるおかげです。仕事のやり甲斐も大事ですが、子育てにも妥協せず取り組めることは、仕事の充実感をより一層高めてくれています。自分の子どもたちの世代に日本と世界の良い関係を繋げていくために、誰もやっていないことに挑戦していきたいですね。

--仕事とプライベートのご自身の考えるバランスについて教えてください

プライベート(家族。趣味や自分の時間はほぼ皆無)重視・優先を意識しています。仕事とプライベートの「バランス」というのは、量(時間)だけではなく「質」が重要です。でも、仕事は結果に妥協が許されない分、プライベートの方が質的に疎かになりがち。

だからこそ意識的にプライベートに重きを置くことで、結果的に両方のバランスを取っています。ただ、仕事も家族も繁忙期があるので、その時々で時間量のバランスは柔軟に変えることも大事ですね。

--最後に奥様に一言お願いします!

いつも一緒にいてくれてありがとう。これからも見捨てられないように頑張るので、よろしくお願いします。

【プロフィール】

越 陽二郎Yojiro Koshi

Founder&CEO

1984年生まれ。2008年東京大学卒業。0歳から5歳、10歳から15歳の期間を父親の仕事の都合でアメリカにて過ごす。2009年、株式会社日本能率協会コンサルティング入社、経営戦略コンサルタント兼アジアマーケティングチームメンバーとして従事。2011年、株式会社ノボットに入社、KDDI子会社medibaへの売却に伴い、同社の海外戦略部創設に参画。タイ拠点立ち上げリーダーとして1年の任期を終えた後、2013年3月退社。同年11月バンコクにてTalentExを創業。テクノロジーの力によりタイの企業活動・経済社会における"人"の価値を最大化する事業を推進。

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