「世界で最も孤独なゾウ」が新天地へ。35年飼育された動物園からの移送が決まる

パートナー不在による、孤独と退屈の症状も現れていたカーバン。新天地では仲間のゾウと暮らすことになります

「世界で最も孤独なゾウ」と名付けられたゾウのカーバンが、約35年暮らしたパキスタンの首都イスラマバードにある動物園から、より良い環境へ移送されることが決まった。

新しい居住地の候補にはカンボジアが挙がっており、そこで仲間のゾウと暮らすことになるという。

カーバンの健康状態を9月4日にチェックした動物保護団体「フォー・ポーズ」によると、カーバンは獣医師らによって移送に耐えうる状態だと診断された。

カーバンが長年飼育されていたマルガザール動物園は、不適切な環境が問題視されていた。

同動物園では近年、500頭以上の動物の行方がわからなくなり、ここ4年の間に24頭以上が死亡したとフォー・ポーズは伝える。

イスラマバードの最高裁判所は5月、劣悪な飼育状況を理由にマルガザール動物園の閉園を命じた。

その後、地元の自然保護団体と協力して動物の移送を支援してきたフォー・ポーズによると、カーバンの体には不適切な環境による悪影響が見られた。

「栄養不良と運動不足で、カーバンは肥満の兆候がありました。また爪は割れて変形していました。これは、不適切な床と囲いの構造のせいだと考えられます」と、カーバンを診察したアミル・ハリール獣医師は述べる。

また、フランク・ゴリッツ獣医師は「カーバンは、頭部と鼻を何時間も横に降り続ける、典型的な退屈の症状を見せていた」と、パートナー不在による、孤独と退屈の症状も現れていたと説明する。

フォー・ポーズによると、カーバンは1985年にスリランカからの贈り物としてパキスタンにやってきた。

パートナーのサヘリが2012年に死んでから、マルガザール動物園でひとりぼっちで飼育されていたカーバン。

2016年にはカーバンの移送を求める国際的なキャンペーンが立ち上がり、歌手のシェールさんも「世界で最も孤独なゾウ」と名付けられたカーバンを助けて欲しいと訴えていた

注目記事