非常識な「熊子ども」と甘やかす「熊家長」に怒り広がる。車傷つけ、池に農薬...

「子どものしたことは親が責任負うべき」国営通信社も論評を掲載

「熊子ども」を巡る被害が相次いでいる。と言っても、可愛らしい子グマのことではない。

親から溺愛されるあまり、しつけが不十分なまま育った中国の子どものことで、中国語では「熊孩子(しょんはいず)」という。

彼らの度の過ぎたいたずらによって、時には巨額の損害が出ることもあり、中国では社会的な問題の1つとされている。

中国の子どもたち(イメージ写真)
中国の子どもたち(イメージ写真)
EPA=時事

■車傷つけられ...逆に医療費請求

「熊子ども」がネットを騒がせた事件を、北京晩報が7月4日、伝えている。

それによると、被害にあったのは河南省の張さん。ある日、小さな男の子が自分の新車のボンネットをおもちゃで引っ掻いているのに気が付いた。

よく見ると、男の子は、張さんの住むアパートの上の階に住む一家の子ども。張さんは親に責任を取ってもらおうと、男の子を連れて親の元を訪ねた。

対応したのは男の子の祖母。しかし祖母は「孫が叱られてショックを受けた」として逆に張さんに対して治療費を請求したという。

しつけが不十分な子どもが「熊子ども」ならば、それを正さない保護者は「熊家長」などと呼ばれている。

ネットではこの祖母の「熊家長」ぶりに怒りが広がっていて「熊子どものしたことに保護者が責任を取るよう、立法措置をとるべきだ」などと言った意見が寄せられている。

■ザリガニ池に農薬

車が傷つけられる程度ならば、まだ可愛い例と言えるかもしれない。

中国ではここ数年、「熊子ども」によるいたずらが、巨額の損失に繋がりかねない事案が相次いで報道されている。

2019年5月には、子どもが農薬を購入し、食用ザリガニの養殖池に投げ入れ、500キロ以上のザリガニを死なせた事件が発生。

父親は子どもについて「普段からよくしつけをしていなかった」として謝罪。損害賠償金を支払うはめになった。

さらに、香港の美術展では日本円にして2000万円以上の値がつくとされる作品が、子どもによって切り裂かれる事件も起こっている。

■国営の通信社が論評

中国では、2015年に「一人っ子政策」が廃止され、夫婦は2人まで子どもを持てるようになった。

一方で、両親と祖父母が総出で一人の子供を可愛がる子育て文化は根強く残っているとされ、子供は「小皇帝(小さな皇帝)」などと揶揄されることもある。

さらに、子育てをする親世代も、小さな頃に溺愛されてきた世代であることも多い。こうした要因が絡み合って数多くの「熊子ども」が出現しているとみられている。

こうした事態に、国営通信社の新華社は論評を掲載。「子どもを信頼こそすれど、放任はいけない。関心を持っても溺愛はすべきではない。子どものしたことに発生する責任は、親が負うべきだ」と親たちに警告を発している。

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