薬学部を卒業→揚げパン屋台で高収入...メンツを捨てて稼ぐ生活はあり?なし?

「大学を出ておきながら...」VS.「職業に貴賎はない」

薬学部を卒業しながら、知識を活かさずに道端で中国式揚げパンを売る仕事を始めた、風変わりな夫婦が中国で話題を呼んでいる。

夫婦の年収は同世代よりも高く「収入のためなら大卒でも屋台をやるのはありか・なしか」を巡って、現地のネットで議論が巻き起こっている。

油条(ヨウティアオ)
油条(ヨウティアオ)
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■薬学を学びながら...進路は揚げパン屋

中国・山東省済南市のメディアによると、話題になっているのは任暁猛(れん・しゃおもん)さんと任文亜(れん・うぇんやー)さんの20代の夫婦。

夫・暁猛さんは漢方を、妻・文亜さんは介護について大学で学んだが、卒業後、最終的に選んだ進路は屋台の開業。売るのは中国式揚げパンとも言われる油条(ヨウティアオ)。中国では主に朝ごはんとして、豆乳と一緒にいただくのがスタンダードだ。

暁猛さんは薬学部に在学中から商売に関心があり、街中で扇風機を買ってきては校内で転売し、差額で儲けるビジネスなどをしていた。この頃から「実力は収入に比例する」という考えを持つようになったという。

卒業後、製薬会社に就職するも、収入が低かったためすぐに離職。家族の反対を押し切り、のちに結婚する文亜さんと揚げパン売りを始めた。

年間の収入は30万元(約500万円)。中国の大卒初任給は高い方で月に8000~9000元と言われるから、2人で割っても彼らを上回る計算になる。

さらに、スマホを使ってパンを揚げたり、売ったりする様子をネットで中継し始めると、2か月で2万人のフォロワーを獲得。新たなファンの創出に繋がっているという。

■ネット議論、本人の考えは

大学を卒業しながら、専攻と関係のない揚げパン屋を始めるのはありなのか。共産党機関紙の人民日報などがこのニュースを報じると、議論が巻き起こった。

中には、「大学を出ておきながら揚げパンを売るのはもったいない」と指摘する現地の声もある。

一方で、「30万元は今時医者でも稼げない」「合法ならばいい、職業に貴賎はない」「医者の低収入に対する風刺とも言える」など、夫婦を支持する声も多く上がった。

本人たちはどう思っているのだろうか。地元のメディアが「大卒で揚げパン屋はメンツが立たないと思いませんか?」と訪ねたところ、暁猛さんはこう答えた。

「成熟した人間ほど、こうべを垂れることができるものです。メンツを放り投げてもお金を稼げる人のことを、成熟した人間と呼ぶのではないでしょうか」

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