「人生をどうしたいのか」裁判官はピエール瀧被告に問いかけた(東京地裁の判決公判)

「薬物がなくてもいい仕事ができると社会の人たちに思ってもらえることを、切に願います」
ナゴムレコードから出たバンド「人生」のソノシート「 ZIN-SAY! (9 TUNES (FOR MIRAI) 」(Rexpo2000の公式サイトより)
ナゴムレコードから出たバンド「人生」のソノシート「 ZIN-SAY! (9 TUNES (FOR MIRAI) 」(Rexpo2000の公式サイトより)
rexpo2000.com

コカインを使用した罪に問われたミュージシャンのピエール瀧(瀧正則)被告の判決公判が6月18日、東京地裁であった。裁判官は瀧被告に対して、懲役1年6カ月、執行猶予3年を言い渡した。

■「安易に薬物に頼った」と批判

判決は、瀧被告が「20代の頃から、コカインなどの薬物を使用したことがあり、5、6年前からは知人女性から購入し、仕事の合間などに使用することを繰り返していた」と認定。

動機について、ミュージシャン以外にも映画やドラマで私生活が圧迫され、ストレスを感じて使用したと結論づけた上で、「常習的で、安易に薬物に頼った」と批判した。

一方で、量刑の理由について、瀧被告が治療プログラムを受けて薬物を絶つと誓っていることに加えて、「妻や友人など、絶え間ない支援が期待できる」と述べ、執行猶予付きが相当とした。

判決によると、瀧被告は2019年3月12日ころ、東京都世田谷区のマンションでコカイン若干量を使用した。

■「あなたが立ち直るために何が必要なのか」

裁判官は、判決について説明した後、「事実に基づいて量刑を言い渡すのが裁判官の本分ですが、あなたが立ち直るために何が必要なのかと言うことも考えながら、法廷で話を聞き、検討しました」と切り出した。

電気グルーヴ結成前に石野卓球氏と参加していたバンド名「人生」の文字が書かれた写真を瀧被告に見せた。瀧被告の自宅の一室に張られているものだという。裁判官は、「この文字を書いた人は、ダークサイドではなくて、仲間としての純粋な思いを語り合ったのではないか」と問いかけた。

続けて、「人生をどうしたいのか」「『人生』の文字を書いてくれた人の気持ちに応えられているのか」などと瀧被告に問いかけた。

最後に、次のようにエールを送った。

「これからあなたが復帰できるのか、いつ復帰するのかは分かりませんが、薬物がなくてもいい仕事ができる、薬物をやめ続けたと社会の人たちに思ってもらえることを、切に願います」

■ピエール瀧被告のコメント

判決後、瀧被告は弁護士を通じてコメントを発表した。

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今回の件では、自分を信じてくださった多くの皆様、関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしてしまいました。大変申し訳ございませんでした。

また、こんな自分でありながらも、励ましや応援の言葉を表明してくださった多くの皆様には心より感謝しております。本当にありがとうございました。

二度とこのような事を起こさないよう戒めてまいります。

令和元年6月18日

ピエール瀧

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