ドナルド・トランプ米大統領は5月10日午前(日本時間同夜)ツイッターで、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との米朝首脳会談を6月12日にシンガポールで行うと明らかにした。トランプ大統領はまた、「われわれ双方は世界平和のため(会談を)特別な瞬間にすべく努力する」とも書き込んだ。米朝首脳会談は朝鮮半島だけでなく、世界的な安全保障問題に影響を与える歴史的な会談になると見られるが、トランプ大統領はこの開催場所、日時を正式な政府発表ではなく、自身のツイッターで行うという「トランプ流」を貫いた。
トランプ大統領はこれに先立ち、マイク・ポンペオ国務長官を平壌に派遣した。ポンペオ長官は5月9日午前に平壌に到着し、金英哲(キム・ヨンチョル)党統一戦線部長と会談した後、金党委員長と会談した。ポンペオ氏は米中央情報局(CIA)長官として3月末から4月初めにかけて訪朝したのに続く、2回目の訪朝だった。米国務長官としては2000年のマデレーン・オルブライト国務長官(当時)以来となった。
ポンペオ訪朝を北朝鮮メディアが一斉に報道
朝鮮労働党機関紙『労働新聞』は5月10日1面で、金党委員長とポンペオ長官の会談を報じた。同紙によると、ポンペオ長官は金党委員長にトランプ大統領の口頭メッセージを伝達した。金党委員長は「トランプ大統領が対話を通じた問題の解決に深い関心を持っていることについて高く評価し、謝意を表した」とした。
金委員長はポンペオ国務長官との会談で、「現在、全世界の焦眉の関心事となっている先鋭な半島地域の情勢に対する評価と見解、朝米首脳会談に関連する両国最高指導部の立場と意見」を交換し、「近づいた朝米首脳の対面と会談が朝鮮半島の肯定的な情勢発展を促し、立派な未来を建設するための立派な第一歩を踏み出す歴史的な対面になるだろう」と述べた。
その上で『労働新聞』は、「金正恩党委員長は、米国務長官と討議された問題について満足な合意を見た」と報じたが、「満足な合意」の具体的な内容については言及がなかった。
さらに北朝鮮の『朝鮮中央テレビ』は5月10日午後、金党委員長がポンペオ長官と会談したことを報じる中で、「最高指導者同志は、トランプ大統領の口頭メッセージを聞き、大統領が新たな対案を持ち、対話を通じた問題の解決に深い関心を持っていることについて、そして朝米首脳会談に対する積極的な姿勢を取っていることについて高く評価し、謝意を表した」と報じた。
『朝鮮中央テレビ』は、トランプ大統領がポンペオ長官を通じて「新たな対案」を金党委員長に伝えたことを明らかにしたが、これは『労働新聞』報道にはなかった内容だ。テレビが『労働新聞』とは異なった内容を報じることは珍しい。金党委員長がこの「新たな対案」を「高く評価し、謝意を表した」としたことは、トランプ大統領の「新たな対案」が、米国側が北朝鮮側の主張に歩み寄った内容である可能性を示唆した。
北朝鮮ではこれまで、米朝対話が行われていることは報じられてきたが、米朝首脳会談の開催が協議されていることについては報じられていなかった。しかし、党機関紙『労働新聞』が初めて米朝首脳会談について報じたことは、北朝鮮側が米朝首脳会談の実現に手応えを感じたためと見られる。
拘束3米国人を解放
北朝鮮側はポンペオ長官の訪朝に合わせ、北朝鮮で拘束されていた米国人3人を解放した。3人は、2015年10月にスパイ容疑で拘束されて2016年4月に10年の労働教化刑を言い渡された韓国系米国人のキム・ドンチョル氏と、2017年春に「敵対行為」の容疑で拘束された平壌科学技術大学のキム・サンドク氏とキム・ハクソン氏である。
ポンペオ長官は5月9日夜に3人の身柄を引き取り、専用機で日本の横田基地経由で帰国。一行は同10日未明(日本時間同午後)にワシントン郊外の空軍基地に到着した。
専用機が到着すると、トランプ大統領はメラニア夫人を伴って機内に入り、解放された3人を連れて飛行機のタラップを降り、マイク・ペンス副大統領夫妻らが出迎えた。未明の到着だったが、100人を超すメディアが取材し、トランプ大統領は拘束者解放の実績をアピールした。
米国は米朝首脳会談を前に自国民の解放を実現し、会談の障害を除去した形だ。6月12日のシンガポールでの米朝首脳会談へ向けた米朝のせめぎ合いが、今後さらに激しくなるだろう。金正恩党委員長には体制の存亡をかけた会談であり、トランプ大統領は11月の中間選挙を前に、米国民から政権の評価を受ける審判の場になる。
首脳会談の開催場所と日時が決まったことは、米朝の立場がある程度接近した結果とも思えるが、米朝の立場の違いは依然として大きいと見られる。米国は最近になり、北朝鮮に非核化だけでなく短中距離弾道ミサイルや生物化学兵器を含めた大量破壊兵器の廃棄まで求める、とハードルを上げている。非核化を交渉の「入口」にするのか「出口」にするのかの米朝の立場の差も大きい。トランプ大統領が金党委員長に伝えた口頭メッセージに含まれた「新たな対案」の中身は不明だが、米朝間の協議はまだまだ楽観を許さないだろう。
「2年半」「6年半」「7年」ぶり
実は、本稿は東京で5月9日に行われた日中韓首脳会談をレポートしようとしたものであったが、米朝首脳会談の場所、日時が決まったことで、冒頭の報告となった。米朝首脳会談のダイナミックな動きに比べると見劣りはするが、2年半ぶりに行われた日中韓首脳会談について報告したい。
安倍晋三首相と中国の李克強首相、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は5月9日、東京都内で日中韓首脳会談を開催した。韓国大統領の来日は約6年半ぶり、中国首脳の来日は約7年ぶりだった。この「約2年半」「約6年半」「約7年」という対話の空白の長さ自体が、日本政府の近隣外交の「空白」を物語るものだ。第2次安倍政権がスタートしたのが2012年12月。安倍政権のこの6年弱は、中国、韓国との近隣外交の「空白」と重なり合うものであった。
日中韓首脳会談は、朝鮮半島情勢が激動する中で開かれた。今年に入っての平昌冬季五輪への北朝鮮の参加、金正恩政権になっての初めての中朝首脳会談(3月25~28日)、南北首脳会談(4月27日)、そして6月12日に開かれる予定の米朝首脳会談という、想像を超えたスピードで進行する朝鮮半島情勢。安倍政権はこの動きの中に入れず、「蚊帳の外」にいるのではないかという批判を受けてきた。
特に前日の5月8日まで2度目の中朝首脳会談が大連で行われ、同日夜には米中首脳の電話会談、そしてポンペオ米国務長官の訪朝という激動を横睨みしながらの3国首脳会談であり、太平洋を越えた米国、中国、北朝鮮の外交戦に比べれば、どう見ても躍動感に欠けるものであった。
安倍首相は日中韓首脳会談で、「北朝鮮への圧力の継続」や「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」(Complete,Verifiable,and Irreversible Dismantlement=、CVID)への中国や韓国への同意を取り付けようとした。すでに金正恩党委員長との首脳会談を実現している中国と韓国の首脳から、安倍政権の対北朝鮮政策への支持を取り付け、政権浮揚に役立たせたいという思惑だったことは間違いない。
しかし、結果はそうはならなかった。むしろ、日本と中韓の北朝鮮政策の不一致が浮かび上がり、どうにか「北朝鮮の完全な非核化に向けた連携」では合意したが、非核化に向けた具体的な手法を示すことはできなかった。安倍政権の「さあ、これからが外交で出番」という思惑は外れたのだった。
北朝鮮政策の不一致浮き彫りに
日中韓首脳は会談後、共同記者会見に臨んだが、中心テーマは朝鮮半島情勢だった。安倍首相はここで「朝鮮半島の完全非核化と北東アジアの平和と安定に向けた機運を、北朝鮮の具体的な行動につなげていかなければならない」と述べた。しかし、北朝鮮の具体的な行動をどのように誘導するのかについての言及はなかった。
さらに北朝鮮が「正しい道を歩むのであれば、日朝平壌宣言に基づき不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す」と述べた。安倍首相は、民主党政権を含む小泉純一郎政権以来の歴代首相が、国会の施政方針演説などで表明してきた「日朝平壌宣言に基づき不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す」という言葉に、これまで言及してこなかった。その安倍首相が、トランプ大統領が米朝首脳会談を受諾したという状況を受け、さらに森友・加計問題などの内政問題で窮地に陥ると、急にこの言葉への言及を始め、この日の会見でも述べた。ただしそれは、「北朝鮮が正しい道を歩むのであれば」という条件付きだ。北朝鮮が正しい道を歩んでいる、という判断は安倍政権がするのであろうが、その基準は曖昧だ。
李克強首相は「わたしたちは朝鮮半島の核問題の解決を歓迎するとともに、再び非核化の方向に戻り、対話の軌道に戻ることを歓迎する」と述べ「非核化」と「対話」を強調した。その上で「日朝が適当な時期に対話に踏み出すことも支持したい」と語り、日朝対話を促した。
文在寅大統領は「朝鮮半島の冷戦構図を解体し、世界の平和を導き出すよう望む」、「朝鮮半島の完全な非核化などが北東アジアの平和と繁栄にとって非常に重要だという点で認識を共にした」と語った。
文大統領と李首相は3国首脳会談後の中韓首脳会談で、北朝鮮に一方的に非核化を要求するだけでなく、北朝鮮が完全な非核化を実行する場合には、米国を含めた国際社会が北朝鮮の体制の安全の保証や、経済支援などに積極的に取り組むべきだ、との意見で一致したとした。また中韓首脳は、ソウルと北朝鮮の中国国境近くの都市新義州を結ぶ鉄道建設について、中韓両国で調査研究を先行させることも可能だとの認識でも一致した。
文大統領は、米朝首脳会談は「2度とない機会で、必ず成功させなくてはならない」とし、李首相は「北朝鮮は完全な非核化への明確な意思を持ち、自国がなすべきことをしている」と述べ、「それに見合った米国の反応を待っている」と強調した。
このように、安倍首相は「圧力の継続」「CVID」という北朝鮮への厳しい対応継続を主張したのに対し、李首相と文大統領が融和的な姿勢を示したことで、その不一致がむしろ浮き彫りになったのである。
深夜までずれ込んだ共同宣言発表
日中韓3国の首脳会談は9日午前中に終わり、午後には日韓、日中、中韓の2国間首脳会談がそれぞれ行われた。3国首脳会談後に発表されるはずの共同宣言は、深夜にまで発表がずれ込んだ。
『共同通信』は最初、「関係筋によると、日中間で歴史に関する文言の調整が一時難航し、発表が深夜にずれ込んだ」と報じていたが、その後「関係筋によると、非核化や歴史を巡る文言の調整が一時難航し、発表が深夜にずれ込んだ」と報じた。争点は歴史問題だけでなく、非核化をめぐる立場の違いだったと見られる。日本は「圧力の継続」や「CVID」を共同宣言に盛り込もうとしたが、中韓側はこれに抵抗した。
特に2度の首脳会談を開き、北朝鮮の立場に配慮の姿勢を見せる中国は、北朝鮮を刺激するような表現を排除しようとした。習近平中国国家主席は8日夜のトランプ大統領との電話会談で、2度目の中朝首脳会談での北朝鮮側の要請を受け入れる形で、米国に対して「北朝鮮の体制の安全を保証してほしいという要求にも考慮すべきだ」と求めたと見られる。習主席が米国にそうした働きかけをしている中で、李克強首相が日本の「圧力の継続」や「CVID」を受け入れるわけにはいかなかった。
結果的に「共同宣言」は、「地域情勢」の項目の中で北朝鮮問題に言及し「我々は、朝鮮半島の完全な非核化にコミットしている。我々は、朝鮮半島及び北東アジアの平和と安定の維持は、我々の共通の利益かつ責任であることを再確認する。我々は、関係国の諸懸念に関する、関連国連安保理決議に従った、国際的な協力及び包括的な解決によってのみ、北朝鮮にとって明るい未来への道が拓けることを強調する」とした。
日本は「圧力の継続」や「CVID」を直接、共同宣言に盛り込むことに失敗した。ただ日本は、「関連国連安保理決議に従った、国際的な協力及び包括的な解決」という表現を入れることで、国連安保理決議には「CVID」を含んだものもあるから間接的ながら「CVID」を盛り込んだ、と解釈し、中韓側は直接「CVID」に言及しなかったと解釈するという、玉虫色の決着となった。
一方で中韓両国は、日本が強く主張する「拉致問題の解決」を、中韓が主張する「日朝の対話」と折衷させた「中華人民共和国及び大韓民国の首脳は、日本と北朝鮮との間の拉致問題が対話を通じて可能な限り早期に解決されることを希望する」という形にして盛り込んだ。
「板門店宣言」支持の「共同宣言」にこだわった韓国
韓国の関心事は共同宣言ではなく、先に行った南北首脳会談での「板門店宣言」への支持をうたった別の「共同宣言」の採択にあった。それは韓国では、「板門店宣言」支持の「特別宣言」という位置付けであった。
韓国の『聯合ニュース』は9日午前11時20分、「板門店宣言」の支持宣言が採択されたと報じたが、これも実際に発表されたのは深夜になってからであった。
日本政府はこの宣言にも「CVID」を盛り込むように求めたが、韓国政府は「板門店宣言」支持だけを明記すればよい、とした。韓国側は北朝鮮の非核化は米朝首脳会談で扱う問題であり、その前に交渉の中身に第3国が介入することは米朝首脳会談の助けにならないとした。
また、日本政府が主張した「圧力の継続」にも中韓両国は抵抗した。特に中国は、北朝鮮が非核化の道を歩むことに合わせて制裁も段階的に解除していくべきだという姿勢だった。
韓国政府は、今回の日中韓首脳会談の大きな目的はこの支持宣言採択であったので、当初の方針を守り、支持の内容だけにする姿勢を貫いた。
その結果支持宣言では、3国首脳は「北朝鮮をめぐる現在の前向きな動きについてのこれまでの国際社会による全ての努力を評価する」とし、日中首脳は「板門店宣言」を「特に評価し、歓迎する」とした。その上で、3国首脳は「来る米朝首脳会談を通じ、関係国による更なる努力が、地域の平和及び安定に向けた関係国の懸念の包括的な解決に貢献することを強く希望する」と表現するに留まった。
経済分野でも大きな成果なし
日中韓3国はこのほか、経済分野で日中韓の自由貿易協定(FTA)交渉の加速化、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の推進、アジアでのインフラ整備での協力、多国間の自由貿易の重要性の共有などで合意したが、目新しい大きな成果はなかった。
日中韓FTA加速やRCEP交渉の推進はこれまで何度も確認しているが、交渉を加速化する動力に欠けるのが実情だ。共同宣言には、日中韓3国の経済・社会・文化各分野での協力課題がかなりの分量盛り込まれたが、日中韓3国の国民レベルでの友好関係や協力関係が基盤にないと、こうした協力関係は加速化しない。
米中の経済的な対立の激化という状況の中で、日本や韓国の立ち位置が問われているのが実情である。その意味では日韓、日中、中韓という2国間の関係の進展がなければ、日中韓3国の協力関係の進展は難しい。
興味を引いたのは、文在寅大統領が日中韓首脳会談後の共同会見で言及し、共同宣言にも盛り込まれた「北東アジアのリレー五輪」の活用だ。文大統領は「平昌冬季五輪に始まる北東アジアのリレー五輪は、まさに2度とないよい機会だ」と強調した。2018年の平昌冬季五輪、2020年の東京夏季五輪、2022年の北京冬季五輪という北東アジアで続く「リレー五輪」を活用し、人的往来の活性化や友好協力関係の発展に結びつけようとの提案だ。
だが、開催には大きな意義
今回の日中韓首脳会談は、その中身についてはあまり成果があったとは言えないが、その開催自体に意味があったと言うべきだろう。
本来は毎年開催するはずであった3国首脳会談が、それぞれの国内事情や歴史問題などでの対立や葛藤を背景に、2年半にもわたり開催できなかったことこそが問題であった。それぞれの国内事情を乗り越えて、定期的な開催を重ねることが、3国間の関係強化に動力を与えることであったはずだ。
安倍首相は世界を駆け巡ったかもしれないが、近隣外交では大きな空白を生み出した。北朝鮮問題をめぐる安倍政権の蚊帳の外状況は、安倍首相が「日本は全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を一貫して支持します。改めて日米が100%ともにあることを力強く確認しました」と、米国の軍事行動までを容認すると取られかねない発言までしてきたことのしっぺ返しであった。「100%ともにある」トランプ大統領が金正恩党委員長との首脳会談を受諾してしまった瞬間に、圧力一辺倒だった安倍政権は出口を失ってしまったのである。
2国間関係で修復の機会提供
ただ、2国間関係では転機を生み出す機会になった。
文在寅政権は慰安婦問題などでは日韓合意を受け入れることができないとしながらも、北朝鮮問題など外交安保分野や経済、文化などの分野では協力関係を強化する「2トラック」を主張している。これは実は、朴槿恵(パク・クネ)前政権が慰安婦問題を日韓関係の優先的な課題として出してきた際に、日本政府が主張した路線だ。
安倍首相は文大統領に、南北首脳会談で日本の拉致問題を提起することを求め、文大統領はこの要請を受け入れて金正恩党委員長に安倍首相の立場を伝えた。これは文大統領が「2トラック」政策を取っているから可能なことであった。
今年は小渕恵三首相と金大中(キム・デジュン)大統領(いずれも当時)が「日韓パートナーシップ宣言」を発表して20周年の年だ。今回の文大統領の来日は日帰りだったが、改めて文大統領の訪日を実現し、日韓首脳の相互訪問というシャトル外交を復活すべきだ。
また、日中関係も今年は平和友好条約締結40周年という節目の年だ。日中首脳会談では今年中の安倍首相の訪中、その後の習近平主席の訪日実現を目指すことで合意した。
日中両国は、明確に関係修復の方向性を持って動き出した。安倍首相は、日中首脳会談で「全面的な関係改善を進め、日中関係を新たな段階に押し上げていきたい」と意欲を表明した。中国側も習近平主席の訪日を視野に入れて関係修復に動き出している。
安倍首相は、外交を内政で苦境にある政権浮揚の道具にせず、今回の日中韓首脳会談を近隣外交立て直しのスタートにすべきだろう。だが問題は、9月の自民党総裁選で果たして3選されるかどうかにある。
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。