大学が子どもの貧困対策 宮崎や岡山でフードバンクや学習支援など

学校法人順正学園は昨秋から、子どものいる生活困窮世帯を支援する取り組みを宮崎県内で開始した。食品を届けるフードバンクと、学習支援が柱。

九州保健福祉大の外観

九州保健福祉大学などを運営する学校法人順正学園(加計美也子理事長)は昨秋から、子どものいる生活困窮世帯を支援する取り組みを宮崎県内で開始した。食品を届けるフードバンクと、学習支援が柱。自治体とも協定を結ぶなど、大学教育の枠を超え、活動の幅を広げている。

フードバンク事業の対象は、中学生以下の子どもがいる困窮世帯。宮崎県内の3市2町(延岡市、日向市、宮崎市、門川町、高鍋町)と協定を結び、役所に困窮の相談に訪れた人とつないでもらう。

食品は米や缶詰、レトルト製品などで、月2回のペースで最大3カ月、箱詰めして送るという。食品は、メーカーなどの企業、生協などの団体、個人から寄贈を募る。

一方、2015年12月から開始した学習支援は、16年2月までに5回開催した。大学のある延岡市と連携し、困窮世帯の小中学生10人が参加したという。

講師は同大学の学生がボランティアで勤め、会場は延岡市中心部にある高齢者施設の一室を借りた。いずれも土曜日の午前中に開催し、勉強した後はみんなで昼食をとる。「昼食付きなのは、宮崎出身で児童福祉の父と呼ばれる石井十次が唱えた満腹主義の教えによるものです」と黒川真舟・同大学生課長は説明する。

このほか同大学は10年度から、社会福祉法人石井記念友愛社が運営する児童養護施設の出身者に、学費などを免除する特待生制度も設けている。15年度は2人が入学し、16年度も3人が入る予定だ。

同大学によるこうした子どもへの支援は、法人創立50周年の記念事業でもある。同法人が運営する吉備国際大学のある岡山県内でも同様に自治体と提携を結び、フードバンク事業を行っている。

黒川課長は「宮崎と岡山で活躍した石井十次の理念を大事にしながら、多様な支援をしたい。困っている子どもをどう見つけるかなど課題もあるが、継続した支援を目指す」と話している。

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